smap25 2016年12月21日発売、同年末に28年に及ぶ活動に終止符を打ち解散となったSMAPの3枚組ベストアルバム。全50曲収録。初回限定盤はデジパック仕様+歴代のアーティスト写真(森且行在籍時のショットも満載)やディスコグラフィー、ライブデータなどが両面に掲載された大判のポスター大の紙が封入。

 彼らのCDデビュー25周年を記念し、2016年秋にビクター公式サイトの特設ページからネット投票を募集。その結果の上位50曲を収録したリクエストベスト。ファン投票の結果はこちら。収録順は投票ランク順ではなく、全50曲中、Disc-1は1991〜2000年、Disc-2は2000〜2006年、Disc-3は2006〜2015年にリリースされた楽曲といった時系列順に構成。アルバム初収録のシングル表題曲・カップリング曲が9曲(オリジナルバージョンがアルバム未収録だった「BEST FRIEND」含む)、ツアーの幕間に使用されたという「チョモランマの唄」は初のCD化。

 昨年の8月中旬に年内での解散を発表、それを受けてと思われる今回のリクエストベストということで、投票数第1位となった「STAY」を筆頭に、恋人・友人・家族など、「誰か」との繋がりを歌った曲が多く選出された印象。もちろんデビューシングル「Can't Stop!! -LOVING-」、出世曲「$10」、六人時代の代表曲「がんばりましょう」、ミリオンセラー「夜空ノムコウ」「らいおんハート」「世界に一つだけの花(シングル・ヴァージョン)」など、SMAPの歴史を語る上で欠かせない曲も選ばれてはいますが、投票ではなくセールス面で客観的に選べば収録されたであろう90年代中盤のヒットシングルがごっそりと抜けていたり、活動後期に関してはシングル曲と同じぐらいの割合で一般知名度の低いアルバム曲が選ばれるなど、投票当時の状況を顧みるに投票が偏った結果、「SMAPの25年間の音楽活動の集大成ベスト」とはならなかった感があります。

 とは言うものの、さすが約400曲ほどの中から選ばれた50曲なだけはあり、収録曲は良曲・佳曲が潤沢。筆者は以前にも書いた通りDisc-1の時期に思い入れがあるわけですが、Disc-2、3で初めて耳にして気に入った「SUMMER GATE」「Dawn」「gift」、久し振りに聴いた「世界に〜」のカップリング「僕は君を連れてゆく」はやっぱり良い曲だなぁ、と再確認できたり、「BANG! BANG! バカンス!」は歌詞はアレだけど(笑)トラック自体はカッコ良いよな…とか、国民的路線から脱却して新しい試みへの挑戦がうかがえた「Joy!!」「シャレオツ」「華麗なる逆襲」などの不惑(?)アイドル路線も、解散がなければもっと続いていたのかな…と色々と思いながら聴くことができました。

 SMAPが「アイドルが歌うポップミュージック」に変革をもたらした要因のひとつでもある豪華外国人ミュージシャンによる演奏期(Smappies)のナンバーが1曲も収録されず、アルバム未収録のままのシングル曲もまだまだある、という点で本作はコンプリートベストとは言い難くはありますが、逆に言えばSMAPの楽曲の魅力はこの3枚50曲だけでは収まり切れないよ、という結果であるような気も。生演奏主体の「COOL」「WOOL」、2000年までの全シングル収録の「Smap Vest」と、まだ存在意義を失っていない各ベスト群への扉として、熱心なファン以外にも、特にSMAP未経験者のリスナーが手に取りやすいベストを最後に作ってくれたのはありがたい作品だな、と思います。