deenprecious2 年の瀬も押し迫った2016年12月21日に2作目のカップリングベストを発売したDEEN。前作以降の収録範囲である2006年から2015年までにリリースされたシングルのカップリング曲をライブテイクやリミックスを除いて網羅した本作を、今回の「CD Review Extra」では全曲レビューいたします。加えて、初回生産限定盤に付属する昨年のカウントダウンライブの映像を収録したBlu-rayの内容も併せてご紹介。「続きを読む」からご閲覧ください。
DEEN「Another Side Memories 〜Precious Best II〜」全収録曲レビュー


1.シャララ ハッピーデイ!
 作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:くどうたけし
 2015年10月7日発売、44thシングル「ずっと伝えたかったI love you」カップリング曲。
 表題曲同様、DEEN史上初のEDMサウンドを導入した楽曲。ライブではバンドと同期して演奏され、今後も盛り上げゾーンなどで使用されそうな作品である。歌詞は自己啓発を明るく描いている。
 このシングルを発売した当時は、「次はエレクトロなアルバムでも作るのではないか」と予想していたが、その後のリリース傾向を見る限り、そのような動きはなさそうである。

2.Crossroad
 作詞:池森秀一/作曲・編曲:山根公路
 2015年6月24日発売、43rdシングル「千回恋心!」カップリング曲。
 カップリング曲ながら日テレ系「ぶらり途中下車の旅」のエンディングテーマに起用。明確な季節描写はないものの、人生の岐路をテーマにした歌詞なので春寄りのイメージ。アコースティックギターのフィンガリングが心地良いカントリー調のナンバーで、なかなかの佳曲。

3.ありのまま抱きしめよう
 作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
 2014年10月1日発売、42ndシングル「君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている」カップリング曲。
 キャッチーなサビを持つエッジの効いたロックナンバーで、表題曲に負けず劣らずのノリを持つ作品。近年のDEEN(池森)を象徴するような若々しいラブソングであり、「全曲ラブソング」がコンセプトの翌年7月のアルバム「全開恋心!! 〜Missing You〜」にも収録。その際には一部のキメ部分に変化が加わったアルバムバージョンで収められた。

4.Future
 作詞:池森秀一/作曲・編曲:山根公路
 2013年11月27日発売、41stシングル「もう泣かないで」カップリング曲。
 パチスロ展開を見せたテイルズシリーズ「テイルズ オブ デスティニー」の挿入曲として、「夢であるように」と共に起用された。「君を守りたい 守れる ぜったいに守るから」と告げる相手が地球…という、やけにスケールの大きな(ある意味)ラブソングの体裁を取ったアップテンポ。同年翌月のアルバム「CIRCLE」にはシンセのフレーズやボーカルの後追いエコー等を追加したアルバムバージョンで収録。

5.Hello
 作詞:池森秀一/作曲:池森秀一、山根公路/編曲:DEEN
 2012年6月17日発売、39thシングル「心から君が好き 〜マリアージュ〜」カップリング曲。
 「君」の住む街に向けて旅に出発するワクワク感を描いた歌詞であり、デビュー20周年を目前に控えての通算2回目の47都道府県プラグレスツアーのテーマソングという位置付けの楽曲。この年はメンバー3人のみの演奏で構成される「トライアングル・プロジェクト」というコンセプトを掲げており、この曲もそのスタイルで収録されている(ギターの田川はパーカッションも担当)。山根と田川にもソロ歌唱パートあり。演奏時間は3分少々と短いが爽やかなトラベラーズソング。

6.雨がいつか上がるように
 作詞:樹林伸/作曲:山根公路/編曲:DEEN
 2012年6月17日発売、39thシングル「心から君が好き 〜マリアージュ〜」カップリング曲。
 作詞は漫画原作者である樹林伸(「神の雫」「金田一少年の事件簿」などを別名義で手掛ける)。表題曲では池森と共作だったが、この曲や同年8月のアルバム「マリアージュ」では単独で数曲を担当。ストレートな作風がメインの池森では出てこないようなフレーズ(若干臭め)はDEENファンとしては若干の違和感があるのだが(苦笑)、この曲のネガティブからポジティブへ向かおうとする描写は結構好きである。アルバム「マリアージュ」では冒頭で雨のSEが入る他、微妙にミックスを変更して収録された。

7.Flower
 作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:DEEN
 2011年4月6日発売。38thシングル「Brand New Wing」カップリング曲。
 3年前の「遠い夏の夢」(後述)を彷彿とさせるメンバー三人のみの演奏によるアコースティックバラード。直後6月のアルバム「Graduation」には収録を見送られたが、翌年夏の「マリアージュ」にはコンセプトに合致したからか、発表から約1年半後にリミックスされてアルバム収録されるという、DEENとしては異例の経緯を辿った。

8.oh Darlin' 〜KAI〜
 作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
 2010年7月14日発売、37thシングル「coconuts feat.kokomo」カップリング曲。
 夏の海の波間にゆらゆら漂うようなハワイアン風の楽曲。00年代後半から逗子や軽井沢などで開催されるようになったサマーリゾートライブ向け、といった感じもするのだが、表題曲がライブの定番になった(真冬でも演奏するぐらいに・笑)一方、こちらは全くライブでの披露の機会がないという不遇なナンバーのひとつ。

9.Dear Friend
 作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
 2009年4月29日発売、35thシングル「Celebrate」カップリング曲。
 ブライダルをコンセプトにしたマキシシングルの中の1曲。こちらは新郎新婦の友達目線から彼らを祝福する、結婚式の余興っぽさを意識したかのような明るいアップテンポ。いつになく真っ直ぐな池森の歌詞が上手く曲にハマっている佳曲。ライブでは作品発表の約5年後、2014年末のカウントダウンライブ「マニアックナイト」にて初めて披露された。

10.遠い夏の夢
 作詞・作曲:池森秀一/編曲:DEEN、時乗浩一郎
 2008年12月10日発売、34thシングル「永遠の明日」カップリング曲。
 ノスタルジックな小品バラード。池森が「いつか三人だけで演奏したアルバムを作りたい」と語り出したのがこの頃。4年後のアルバム「マリアージュ」でそれは一応の結実を見るのだが、今回は途中から生のストリングスが導入されている他はメンバーのみで演奏しており、その第一歩的な楽曲。

11.Sunrise Sunset
 作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
 2007年8月22日発売、コンセプト4thマキシ「Classics Four BLUE Smile Blue」収録曲。
 海辺の家に住んで、犬を飼って、サーフィンを始めて…などの夢を彼女に話して聞かせる主人公。最後に「そして年老いても 君と海辺を歩きたい」というフレーズが登場するが、先の将来までを綴るメンバーの年相応の歌詞がこの後あたりからほとんどなくなってしまうので今聴くとやけに新鮮。リゾート的な開放感のある曲で、イントロやアウトロでの海面に反射する日光を意識したようなギターの音が印象的である。同年12月発売の「DEEN The Best クラシックス」の他、2010年7月の「クロール」の初回特典「ナツベスト」にも収録。東海地区の結婚式場「クレールベイサイド」のCMソングとしてもオンエアされたらしい。

12.僕の未来
 作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
 2007年4月25日発売、コンセプト3rdマキシ「Classics Three PASTEL 夢の蕾」収録曲。
 四季をコンセプトにしたClassicsシリーズの7年振り第3弾のテーマは「春」。5月前のリリースということもあって、新生活を始めてからの不安や迷いを抱きながらも、「未来の僕に笑われないよう」静かな決意を表明する前向きソング。余談であるがClassicsシリーズの色彩ワードとして「WHITE」(冬)「SEPIA」(秋)と来て、春のイメージカラーを「PASTEL」と捻ったのは良いセンスだと思った。もっとも次の夏は直球で「BLUE」だったのだが…。

13.光の珠 〜The shining ball〜
 作詞:池森秀一/訳詞:ボビー・バレンタイン/作曲:山根公路、田川伸治/編曲:DEEN
 2006年8月2日発売、33rdシングル「ダイヤモンド」カップリング曲。
 プロ野球・千葉ロッテマリーンズ監督のボビー・バレンタインはDEENの熱心なファン。2004年の千葉でのライブのMCコーナーに飛び入り出演したり、DEENが千葉マリンスタジアムでの始球式に呼ばれたりと交流があったが、前年に日本一を果たした際に池森が監督に寄稿した(確かスポーツ新聞にも載った記憶が)メッセージを基に本作を制作したらしい。1コーラス目の日本語歌詞を、2コーラス目ではバレンタインが英詞に訳し、さらにそのAメロでは自身でボーカルも務めるミディアムナンバー。なお、監督退任からだいぶ時が経過した現在でも彼らの交流は続いている模様。

14.HEARTBEAT
 作詞:池森秀一/作曲:山根公路/編曲:DEEN、Steve Good
 2006年5月24日発売、32ndシングル「Starting Over」カップリング曲。
 数年に渡るAOR期を経て、この年掲げたDEEN's ROCKのプロトタイプのような自身を奮い立たせるロックサウンドが展開。ライブ映えしそうな曲ではあるがライブ初演奏は2014年末のカウントダウンライブ「マニアックナイト」のオープニングナンバー(実質)として披露されたきりである。

15.Swing in Love
 作詞:池森秀一/作曲・編曲:田川伸治
 ビッグバンド+ジャズが融合したかのようなアプローチがかなり新鮮な本作唯一の新曲。つい先月発売された最新シングル「記憶の影」の通常盤カップリング(本作には未収録)の「Let's Show Time!」同様、ビルボードライブなどで映えそうな楽曲。


 以上、全15曲のレビューでした。
 2015年から遡って2006年までのカップリング曲を時系列とは逆に並べた本作。アルバム初収録曲は8曲、アルバム収録曲でもバージョン違いは4曲、classicsシリーズの2曲は最新のリマスターでクラシックスベストの時とは異なる音質で聴けるのが利点、そしてベストの新曲外れ無しのDEENなので(?)新曲も良い、というコアファン向けアイテムではありますが、それなりに意義のある裏ベストといったところでしょうか。

 初回生産限定盤に付属のBlu-rayは、昨年の大晦日にZEPP TOKYOにて開催された「DEEN LIVE JOY-COUNTDOWN SPECIAL 〜マニアックナイト W(`0`)W Vol.2〜」の演奏曲を全曲収録。当日参加した筆者のライブレポートはこちら。一昨年の第1回目に負けず劣らずのレア曲満載、ライブ演奏初映像化楽曲多数となっており、正直この特典ディスクのほうが本編のような気もしてしまいますが(苦笑)、こちらもコアなファンほど楽しめる内容になっています。

 今年のカウントダウンライブはカップリングベストを引っ提げてのマニアックナイト第3弾とのこと。筆者も参加予定ですので、2016年残り一週間は本作で予習復習をしようと思っています(笑)。
 それでは皆様、良いクリスマスを。