
毎年冬になるとヒット曲を中心に手替え品替えのベストアルバムをリリース…という傾向の広瀬香美ですが、今年は少々趣を変え、代表曲6曲のセルフカバー+新曲3曲+アルペンCM起用ソングの新録メドレーを収録という構成。
セルフカバーから先に紹介していくと、TUBEがアレンジをし、演奏・コーラスにもメンバー全員が参加して、彼らのレパートリー「あ〜夏休み」に酷似のイントロアレンジで意表をつかせるという一発ネタ(?)を披露しつつも基本的には王道バンドアレンジの「ゲレンデがとけるほど恋したい 2016」、ピアノ一本のハネたリズムで弾き語られた「愛があれば大丈夫 2016」、オーケストラを従え70名ものコーラス隊と共に歌い上げる「DEAR...again 2016」、そして90年代後半にアレンジャーとして彼女の作品に多数参加していた本間昭光が久々にアレンジに直接関与した「promise 2016」は小編成のアコースティック編成、「ストロボ 2016」は原曲を基にリメイクを試みるなど、どの曲もオリジナルのエッセンスをある程度尊重しつつ、現代的に再構築した聴き応えのある内容に仕上がっていました。
新曲3曲はエレクトロ風味の「青い冬ハジマレ」、軽快なミディアム「最高のエンディングを共に」、メロウなバラードの「A Song For Two」。さすがに上記のヒット曲に混じってしまうと、メロディーの冴えに関しては一歩譲るところがあるものの、どの曲も安心して聴ける広瀬香美印のナンバー。そして実質ラストの10曲目「ALPEN MEDLEY90's」は、「ロマンスの神様」から始まり、99年の「恋のベスト10」までを時系列順に、最後は再び「ロマンスの神様」で締めというノンストップメドレー。一定のテンポをキープし続けるので、バラード曲の捻じ込み方には少々強引な面も見受けられますが(苦笑)、「ストロボ」のリズム上で「I Wish」を続けて鳴らす、というのは意外性のある良アイデアだと思います。
現在の彼女のボーカルスタイルが楽曲発表当時と結構異なっているので、原曲を聴き慣れているとセルフカバーでの歌声には若干違和感がありますが、その「変化」も楽しめる1枚。相変わらず新曲のCD音源での発表の場がベストアルバムの中…という状況ながら、本人が制作にフル稼働している本作はなかなかに楽しめました。
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