deenkioku 2016年11月2日発売、DEEN名義の「記憶の影」、KYADEEN名義の「遊びにいこう!」の両A面スプリットシングル。通常盤には上記2曲に加え、ボーナストラックが1曲追加収録。初回生産限定盤Aの【DEEN盤】には池森秀一の街歩きドキュメンタリーDVDが、初回生産限定盤Bの【KYADEEN盤】には「遊びにいこう!」のMV+メイキング映像収録のDVDがそれぞれ同梱。本エントリーは通常盤のレビューとなります。

 DEENとしては通算45枚目のシングル作品となる「記憶の影」は作詞が池森、作曲がキーボードの山根、編曲が元GARNET CROWの古井弘人。近年の作風ではやたら歌詞の内容が若かったり、アレンジにEDMを導入してみたりと実験的な面が感じられたのですが、今回は久々のDEEN王道バラード。さらに失恋ソングとなるとシングルでは2009年の「Negai」以来。いつものサポートメンバーによるバンド演奏+ストリングスカルテットも招いて盛り上げる定石っぷりには目新しさはありませんが、安心して聴ける(?)1曲に仕上がっています。

 「遊びにいこう!」DEEN×キャイ〜ン=KYADEEN(キャディ〜ン)の企画作品。先日配信されたニコ生によると、元々はキャイ〜ンのラジオ番組に池森がゲストで出演して意気投合。さらにDEENのA&Rである山口氏が、かつて天野ひろゆきが在籍していたブラックビスケッツの担当だった、という縁もあり、今回のコラボが実現したとのこと。作詞は池森が1コーラス目、天野が2コーラス目を手掛けたそうです。「記憶の影」と対をなす元気なアップテンポナンバーで、ボーカル配分も池森・天野がほぼ半分ずつを担当するなどDEENとキャイ〜ンの両者の扱いはイーブン。元々天野は歌唱力があり、曲自体もネタに走ることなく正統派な作りなのが好印象。なお、ウド鈴木はクレジットによるとコーラス&エアサックスで参加しているようです(笑)。

 通常盤にはボーナストラックとして「Let's Show Time!」がDEEN名義で収録。ゲストミュージシャンを招かず、作編曲を担当した田川がほぼ一人でプログラミング&ギターを弾いたような打ち込みナンバーなのですが、ジャズテイストで歌詞も含めアダルトな雰囲気が最近のDEENとしては異色。大きなライブ会場よりもビルボードライブのオープニングナンバーに似合いそうな好楽曲。AOR期ファンの筆者としてはこういった路線もたまにはやって欲しいと思っていたので嬉しい作品でした。