goingblue 2016年8月24日発売、約2年半ぶりとなるGOING UNDER GROUND通算11枚目のオリジナルアルバム。シングル「the band」を含む全10曲収録。

 昨年1月末でドラムスの河野丈洋が脱退し、メンバー三人となってからの初のオリジナルアルバム。メジャーデビューから2009年まで在籍していたビクターからの発売で、前作や近年発表のシングルはインディーズ流通だったため、久々のメジャー復帰作。プロデュースはバンド名義+サポートキーボードの橋口靖正の連名。クレジットには橋口とドラマーの冨田政彦が「Additional musician」として表記され、レコーディングはメンバー三人+橋口+冨田の5人のみで行われたようです。なお、四人時代の末期にシングルのカップリングとして発売され、アルバム未収録曲だった「スパイス」は新録での収録(Alternative Ver.)。

 「脱・青春」という路線を強調するようなアルバムタイトルの本作。既に四人時代からこういった作風の歌詞は多く見受けられたのですが、キーボードの伊藤洋一が脱退し、ポニーキャニオンに移籍した直後ぐらいの「無理やりにでも前へ!」と大きく舵を切っていた頃から年月を経て、本作では「青春が終わって友達とも別れて、それでも人生の旅は続いていくんだね」(要約)的な、葛藤の時期を越え、「Teenage last」「Driffting Drive」、そして「Soul train」に代表されるように、ようやく地に足を着けた楽曲が多いイメージ。
 アレンジ的には直球パンク調の「天使たち」、モータウン風の「45rpm」、全作品が松本素生の作詞曲である中、橋口が作曲に名を連ねている「天国の口、終わりの楽園」は珍しくベースラインが強調されていたりと、バンドの再出発にあたって落ち着くどころか攻めの姿勢を感じました。ドラムス以外にキーボードやプログラミングも担当していた河野が抜けた影響か、従来にあった上モノ系の音は鳴りを潜め、ギターを軸にしたロックバンド的なアプローチはメジャー初期を彷彿とさせ、CD帯の「2枚目の"ファーストアルバム"である」という煽り文も一回りして原点に立ち返った、という意味なのかも。

 「the band」はシングルとしてはちょっと弱いかな?と思いましたが、バンドの決意表明、というスタンスの楽曲として本作でラストに配置されたと捉えるならば、大きな扱いを受けるシングル表題曲として世に出したのは納得。一方でアルバムタイトル曲の「out of blue」が意図的であろうとはいえヨレヨレのチューニングで収録されたのは勘弁してくれ、と思いましたが(苦笑)、筆者としては「おやすみモンスター」以降では一番気に入ったアルバムになりました。メジャー作品なので大きなレンタル屋では目にしますし(前作は探すの大変だったんですよ・笑)、新生ゴーイングの新たな出だしとしては上々のアルバムだと思います。