hztpianocraze 2016年9月7日発売、ピアノ+ベース+ドラムスで構成されるスリーピース・インストゥルメンタルバンド、H ZETTRIOの3rdオリジナルアルバム。「EXCITING FLIGHT盤」「DYNAMIC FLIGHT盤」の2種形態で発売され、今年2月から6月にかけて配信されたシングル8曲を含む本編12曲は共通、ボーナストラックの13曲目が異なる仕様。本エントリーのレビューは「EXCITING FLIGHT盤」となります。

 2013年末にCDデビューを果たしたH ZETTRIO。メンバーはH ZETT M(ピアノ)、H ZETT NIRE(ベース)、H ZETT KOU(ドラムス)の三名。以前から活動歴のあるH ZETT Mは、設定上はそうではないと否定しているものの(笑)、元PE'Zのヒイズミマサユ機であり元東京事変のH是都Mと同一人物。そしてこれもインタビューなどでは否定されてはいますが(苦笑)、このバンドのメンバー全員が元PE'Z。そんな彼らが配信シングルとして今年3月にリリースした「晴天 -Hale Sola-」が、PE'Zの「Hale no sola sita 〜LA YELLOW SAMBA〜」のカバーとして発表され、本作に収録されていたことから興味を持ち、今回初めて彼らの作品を手に取ってみることにしました。

 既配信曲と新曲で構成された本作、前半はタイトル曲「PIANO CRAZE」を筆頭に、ジャズ的要素を根底にとにかくパワフルなピアノロックが炸裂。元々AZ YOU LIKE(東野純直のトリオ編成)、風味堂、そして→Pia-no-jaC←などの、ギターレスのピアノトリオ編成を好んでよく聴いていたということもあり、筆者のストライクゾーンにドンピシャ。4曲目に収録された先述の「晴天 -Hale Sola-」も、原曲のホーン+ピアノのダブル主役からピアノトリオでカバーするにあたって、ピアノのみらずベースでメロディーを弾くなどの見せ場も作られ、PE'Zのオリジナルを尊重しながらもトリオならではのアプローチで満足の出来。
 ただ、このまま最後まで全力で突っ走られると正直聴く側としては辛いな…と思い始めた辺りの6曲目の「Den-en」以降、終盤にかけては、メロウな楽曲を中心に取り揃え。「ダイナミックにとろけて」ではシンセのブーストっぽい音を使ったり、「MESHI -episode 2-」では途中でラップが登場したり(このラップ、クールな曲とはミスマッチだと思うのですが・笑)と、リスナーを飽きさせない工夫を凝らしつつ、ディズニーライクなマーチ風の「夢と希望のパレード」では賑やかに、本編ラストの「Wonderful Flight」ではアグレッシブに締めと、適度なバリエーションで最後まで楽しませてくれます。ボーナストラックの「炎のランニング」はメンバー各自の一大セッション大会の様相で、アンコール的なポジション。この位置での配置は納得。

 ピアノトリオのバンドは、音色も含めて多彩な表現ができるギター不在の中で如何にバリエーションを作っていくか、という点で、どのバンドも苦心しているようなイメージがあり、彼らもその見えない壁と戦っているような気がします。その成果が本作には表れているのではないでしょうか。現時点では未聴の以前の作品にも興味が沸いてきました。ピアノサウンドが主役のインスト好きの方にお薦めしたい作品です。