2020年08月

2020年08月30日 14:24

fovextrarare 2020年5月13日発売、FIELD OF VIEWのデビュー25周年(1995年デビュー、2002年解散)を記念してのベストアルバム。CD2枚組全30曲収録+初の商品化映像を収録した約1時間のDVD1枚の計3枚組。

 2002年末の解散までに公認ベストを3枚、解散後はビーイング主導の非公認ベストを3枚リリースしている彼ら。今回のベストはデビュー25周年を迎えたタイミングの2020年にボーカルの浅岡雄也がビーイングに掛け合い実現した(要約)そうで、通算4作目の公認ベスト作品になります。基本的にシングル集だったこれまでのベストと異なり、未発表テイクのシングル曲に加え、アルバム初収録となるカップリング曲4曲、さらに未発表の新曲を5曲収録という大盤振る舞い。リマスターは勿論のこと、歌詞ブックレット内には4頁にわたって収録曲ごとの浅岡本人のライナーノーツも掲載され、かつてないほど気合の入った内容になっています。

 CD2枚は時系列ではなく、DISC 1は「君がいたから」、DISC 2は「突然」という大ヒットシングルから始まり、シングル曲の合間にカップリングやアルバム曲、そして新曲を適度に配置し、最後はバラードナンバーで締めるという、1枚ずつ完結している流れのある構成。シングルの未発表テイクはデビューシングルの「君がいたから」から「ドキッ」までの5作のシングルになりますが、どの曲も正式採用されたテイクの微妙なミックス違いといった感じで、よほどのコアなファンでなければ違いがすぐには分からないようなバージョンなので、正式テイクとの差異を気にしなくても特に問題ないと思います。むしろテイク違いが公言されなかった「青い傘で」のほうが冒頭から明らかに各楽器のバランスが異なる未発表バージョンだったというのがサプライズではありました(笑)。

 新曲5曲は前述のライナーノーツによると制作時期がそれぞれ異なるようで、浅岡が令和の時代になってから歌詞を書きおろしたと公言している曲あり、編曲クレジットに当時ビーイング在籍だった明石昌夫の名前があったり、録音メンバーのクレジットに新旧ミュージシャンの参加表記があったり…と、どこまで作っていてどこからが今回用に再録音したのかは曖昧。曲調は幅があり、彼らのパブリックイメージ的なバンドサウンドから、活動末期の打ち込みを全面的に使用したナンバーまで様々ですが、歌詞は基本的にひとつのテーマを様々な角度から描いているという意味で統一感がありました。ただ、浅岡以外のメンバーで今回の録音に明確に参加していたのはドラムスの小橋琢人が1曲だけ、しかも担当パートはドラムの打ち込みだったというのが少し残念。彼の生ドラムが響く新曲ももう数曲録音して欲しかったな、と思います。

 DVDは「FIELD OF VIEW 〜the Extra Reflections〜」。各オリジナルアルバムから1コーラス程度のプロモーション映像39曲、さらに「Still」「青い傘で」のライブ映像(2000年開催のライブツアーの映像のようです)を収録。プロモーション映像はこの時代のビーイングにありがちだった「スタジオで作業中のついでに素材的に撮る」というものではなく、ちゃんとロケ地やステージセットで撮影用の衣装も着て演奏している本格的なもの。当時のビーイング情報番組「NO.」あたりで流れた映像ではないかと推測しますが、アルバムの曲までこんなに沢山撮影してたんだ…というのが驚き。「CAPSULE MONSTER」だけは謎のモノクロアニメで1曲のみというのが残念でしたが、解散時のMV集「VIEW CLIPS」との被りも全くといっていいほど無しでコアなファンも満足できそうな内容。あとはメニュー画面と曲目表記があれば完璧でした。そして今回は2曲だけだったライブ映像もまだまだ眠っていそうで、今後何かの機会にでも放出してくれたらな、とも思いました(笑)。

 …ということで結構なボリュームのコアファン向けベストであり、代表曲もほぼ網羅されているとはいえ、いきなり初心者がこれを聴くのはちょっと重ため。これまでのベストを1作聴いて、更に彼らの音楽世界を体験したい、というライトリスナーへ「2作目のベスト」として聴く流れがお薦めです。それにしても解散から約18年、まさかこの時点でここまで凝ったベストが制作されるとは思ってもみなかったし、カップリングの名曲達も長い時を経てようやくアルバムに収録され、さらに新曲多数と、ファンとしては「予想さえしてないギフト」を有難く受け取らせてもらいました。

2020年08月23日 10:26

begin24-7 2020年8月19日、各音楽配信サイトで販売開始されたBEGINの通算4作目の配信限定シングル。

 作詞・作曲は単独名義でのシングル発売は初となるギターの島袋優、編曲はBEGIN名義。沖縄発祥のビール会社・オリオンビールが発売したプレミアムクラフトビール「75BEER」のCMソングとして起用され、BEGIN本人達も楽曲を演奏する役としてCMに出演。既に昨年末の時点で冒頭のスロー部分にスキャットを入れたバージョンでのCMオンエアは開始されていたようですが、フルサイズバージョンでこの夏ようやく配信という形での発売となった模様。

 タイトルの「24-7」は音楽用語?と思いきや、24時間・7日間、「年中無休」を意味する(読みは「にいよんなな」)という造語らしく、「頑張っている全ての方に向けた、BEGINの応援ソング」とのこと。辛い出来事や上手くいかない事が多い世の中だけど、明日に向かって歩いていこう、というメッセージ(大意)を大上段からではなく彼ららしい水平の角度から綴った、曲調はブルース寄りのロックですが前向きで力強い楽曲に仕上がっています。

 なお本作で特筆すべきはボーカルのパート割り。Aメロとサビの大部分を島袋が、Bメロをキーボードの上地等が歌い、普段はメインボーカルを務める比嘉栄昇は曲全体にほぼ休みなくフレーズを入れるブルースハープの演奏に徹し、歌うのはサビで2回出てくる「Have a good life / good life」のみ、という斬新な試みがなされています。かつて「海の声」でも島袋がメインボーカルを務めるなど、タイアップ関連曲で比嘉が脇に回る曲は初めてではないですが、初めてMVを観た時は結構衝撃的でした。比嘉が全部歌うとかなり濃い感じになったと思われ、曲の印象も全く違ったものになるのでしょうが、ビールのCMソングらしい爽やかさにはナチュラルな島袋・上地の歌声がマッチ、といったところでしょうか。そこに短いフレーズ担当ながら聴き手に強烈なインパクトを残す比嘉のボーカルが飛び込んでくるのが良いアクセントになっていると思います。

 2010年前後ぐらいから共同名義のクレジットがほぼなくなり、メンバー個人名義での楽曲クレジットが増えてきたBEGINですが、今回は「三人で歌うBEGINナンバー」として新鮮な作品でした。

2020年08月15日 21:30

makiharafront 1997年よりデビュー以来在籍したワーナーを離れ、Sony Records(→SME Records)に籍を移した槇原敬之。同時にセルフプロデュースを開始し、ワーナー時代とは少し違った角度からの楽曲が増えてきた時期でした。自身の楽曲制作以外にもカバーアルバム、他者のプロデュース、初のアリーナ級のツアー、変わったところでは菓子パンのプロデュースなど、意欲的な活動が目立っていたのですが、思わぬ形でソニー時代は終わりを告げることに。今回の「Artist Archive」では、そんな彼の1997〜1999年に残した全アルバム、その後にリリースされたソニー関連の非公認的なベストも含めて1枚ずつレビュー。「続きを読む」からご閲覧ください。

第1次ワーナー時代(1990〜1996)の全アルバムレビューはこちら
同時期の全ベストアルバムレビューはこちら

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2020年08月09日 11:35

artblakeyjustcoolin 2020年7月17日発売、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの世界初登場となる発掘音源アルバム。未発表楽曲2曲を含む全6曲収録。

 2019年はアート・ブレイキー生誕100周年、そして今年2020年は同氏の没後30年。このタイミングで本作のリリースがアナウンスされたのは今年の3月。本来は4月24日に全世界での同時発売を予定していましたが、新型コロナウイルスによる影響と国際状況を鑑みてリリースを8月7日に延期。その後発売が前倒しになり、通常盤SHM-CD、LP盤は7月17日に、SA-CD盤は8月7日にそれぞれリリースという経緯を辿りました。本作のレビューはSHM-CD。なお印刷差し替えが間に合わなかったのか、ジャケットの発売表記が8月7日のままなのはご愛嬌。

 録音年月日は1958年3月8日。ブレイキーの録音史としては代表作「MOANIN'」の約半年後の録音で、演奏パーソネルはブレイキー(Ds)、リー・モーガン(Tp)、ボビー・ティモンズ(P)、ジミー・メリット(B)に、「MOANIN'」でのベニー・ゴルソンに代わってハンク・モブレー(Ts)が加わった五人編成。発売レーベルはかつてブレイキーが所属していた老舗のジャズ・レーベル、ブルーノート・レコーズ名義からで、全曲スタジオ録音、ブルーノートの公式レコーディング記録にも残っていた「未発表公式スタジオ録音盤」となっています。

 収録楽曲はバラードは1曲もなく、ミディアムテンポとアップテンポが半々ぐらい。ステレオ録音になっており二管はモーガンが左、モブレーが右に配置され、どの曲もモーガンの勢いのあるトランペットと、モブレーの朗々としたテナーサックスの競演にティモンズの転がるようなピアノが彩りを添えるのが基本的な楽曲進行で、ブレイキーはドラムソロをドカドカ披露するというよりも、各演奏者を鼓舞するような合いの手的なリフを入れる曲が多いのですが、未発表曲「JIMERICK」では長尺のソロも披露しており、このソロ直前の「来るぞ来るぞ〜」的なタメがベタながらとても良いです(笑)。
 ティモンズのピアノのラインを追いかけて聴くのが楽しいもう1曲の未発表曲「QUICK TRICK」は5分弱、他の曲もスタジオ録音ということもあり、ラストのタイトル曲「JUST COOLIN'」以外は6分半前後の曲で比較的コンパクト。熱いソロが繰り出されるライブ録音盤がメッセンジャーズの醍醐味であり、それに比べると(彼らにしては)随分スマートに演奏してるな、という印象なのですが、収録時間約40分、1曲ごとの適度な長さもあってちょうど集中して聴ける演奏時間なので、繰り返し聴いても飽きないような耐久度を持ったアルバムと呼べるでしょう。

 今回のリリースにあたってはクレジットにマスタリングエンジニアとしてバーニー・グランドマンの名前が明記され、音質は今から約60年以上前のマスターを現代においても特に違和感なく聴かせる仕上がり。2020年の今日に至るまでなぜ陽の目を見なかったのか、というのは録音約一ヶ月後のライブで本作の収録曲の大半を演奏した音源が、後に2枚のアルバムとして発売されたから…という当時の状況があったようで。それを差し引いてもここまで眠らせておくには惜しい完成度の作品であり、ジャズ・メッセンジャーズ愛好家には必聴の1枚ではないでしょうか。

2020年08月01日 21:25

gundam40th2 2019年12月11日発売、ガンダムシリーズ放送開始40周年を記念したプロダクトの一つ、DJシーザーによる歴代ガンダムシリーズ主題歌のミックスCD第2弾。

 コンセプトとしては同年4月にリリースされた第1弾の延長戦的な本作ですが、ジャケットは歴代のガンダムがズラリと並んだ前作とうって変わり、シャア専用ザクを筆頭に各作品のライバル機や敵の親玉(笑)が不規則に並んだガヤガヤっぷり。そして内容に関しても、ほぼ作品の顔的な主要オープニングテーマを選び尽くした感があった前作と対になるかのように、普段あまり陽の目の当たらないオープニング(後半話数の主題歌など)やエンディング、番外編的な映画の主題歌などファンは知ってるけど一般的には知名度はそれほど…な楽曲を取り揃えるなど、前作と好対照。これらの曲を40曲、ほぼ1コーラス程度、約67分に渡ってノンストップで収録しています。

 選曲は40周年の前半にあたる20世紀までの楽曲は40曲中12曲と、後半年代の21世紀以降の曲が圧倒的で、第1弾よりもバランスが偏りがち。まあこれは20世紀作品の映画を含む主題歌が前作で大体出尽くしてしまった一方、1クールごとに交代する傾向のある21世紀以降の作品主題歌のストックはまだ潤沢にあるから、という理由なのかもしれませんが、それもあって懐かし需要的要素は比較的薄く、「ガンダムNT」や「ガンダムUC RE:0096」といった最近の作品からのセレクトもあって、全体的には割りかしマニアックな印象を受けました。
 前作と変わらないのは、ポップ色の強い80年代、それにロック色が加わり後半になるとデジタルサウンドに移行していく90年代、各アーティストの色に基本的にお任せしているようにも見える00年代以降と、各年代ごとのサウンドが行ったりきたりで流れが進行するのを聴く楽しさでしょう。ちなみに一番落差があって衝撃的だったのは中盤に出てくる「Meteor -ミーティア-」からの「永遠にアムロ」。同じバラードでもいかにも浅倉大介なデジタルサウンドの前者と、牧歌的サウンドの後者の対比には結構クラクラしました(笑)。

 前作の中盤であったセリフの引用演出は今回はないのかな?と思いきや、一番最後、40曲目の「めぐりあい」の序盤で待望の登場。使いどころの分かっている演出が嬉しいところです。総じて前作よりは敷居が高め、むしろ21世紀以降のガンダム作品がリアルタイム、という世代が懐かしむミックスCDかな、と思いました。さすがに玉を打ち尽くした感はあるので、第3弾は出ないとは思いますが、個人的には劇中挿入歌縛りの超マニアックなミックスCDもあったら面白いな、などと思っております(笑)。

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