2018年11月

2018年11月25日 12:29

goingfilms 2018年9月19日発売、GOING UNDER GROUNDのメジャー通算13作目となるオリジナルアルバム。シングル「スウィートテンプテーション」含む全10曲収録。

 二度目のデビューアルバムと銘打たれた一昨年の前々作、従来のバンドサウンドに加えて新たな音楽性への挑戦姿勢も示した昨年の前作と、三人編成となり再出発してからはシングルを挟んで結構順調にリリース活動を続けているように見える彼ら。新体制三作目の本作は、インタビューを要約すると詞曲がほぼ固まってからアレンジを練るという、今までになかった方針で制作を行ったとのこと。その一方で、リードギターの中澤寛規も久々に単独自作曲を持ち寄り、例のハイトーンボイスで歌う曲が中盤に配置されるなど、ひと昔前のゴーイングっぽさを感じさせるアルバム構成にもなっています。

 さて、全10曲、40分にも満たない演奏時間で各楽曲は相当にコンパクト。エレクトロの要素も曲によっては持ち込んでいた前作のような挑戦的な主張がなく、演奏は基本的にはメンバー三人+ドラムス、キーボードのライブサポートも兼ねたメンバを含めた計五人でのスタンダードなスタイル。曲調はフォークロックの「HOBO」、アップテンポの「LOVE WARS」、歌謡曲風の「ペパーミントムーン」など、ある程度の幅はありますが、一聴した感想はというと、やけに地味だな…という感じ。
 ただ、これは本作にとってはかなりプラスになっている…と思うのが、先述の制作方針通り、詞曲の内容に寄せたアレンジになっていて、演奏に突飛なところがなく、また今回は詞の内容が全体的に従来よりも穏やかで、「年相応の人生経験も積んだ大人」になった主人公達のモノローグ「プラットホーム・ノイズ」などはまさにその典型かと)、そんな思いを奏でる音楽、という点。かつての彼らの作品が示していた、青い時代を駆け抜けた、駆け抜けた直後、というイメージからついに完全に離れたような気がしました。

 彼らとほぼ同年代の筆者にとっては、年齢を重ねた分の渋さが出てきた本作品はなかなかに感じ入るところがありました。反面、持ち味でもあったセンチメンタルさは本作では相当薄め。そういったゴーイングを求めるリスナーにはちょっと物足りないかも。その変化を楽しめるかどうかで本作の善し悪しが分かれるのではないか、と思います。

2018年11月18日 11:56

sakaifight 2018年6月20日発売、さかいゆうの通算2枚目のEP盤。全5曲収録。販売形態はCD盤の他に、表題曲のリミックスをプラスしたiTunes Store限定ボーナストラック付きアルバムとしてもリリースされています。

 表題曲「Fight & Kiss」は、さかいのピアノとボーカルに、現在十代後半のリズム隊ユニット・京陸を迎えてのトリオ編成でのファンクチューン。ギターレスですがかなりファンキー、特にうねるベースの自己主張が耳を惹きつけるナンバー。続く「SLOW DISCO」は発売同時期にオンエアされたドラマの主題歌で、タイトル通りスロー、というよりミディアム寄りな四つ打ち曲調。エレクトリックタムらしき音をリフで使用している箇所がインパクトがあり、打ち込みっぽい雰囲気も漂いますが、ベーシックなドラムの部分は沼澤尚が担当しているなど生演奏。かなり淡々としたフレーズを叩いており、何か贅沢な使い方をしているような気も(笑)。

 さかいのアルバムによく入っているような一人多重演奏のバラード「YAORA」に続いては、今年の春にNHKみんなのうたに採用された「父さんの汽笛」。父親が漁師、というさかいのプライベートな部分を、みんなのうた仕様なのかストレートな言葉で綴った暖かいナンバー。汽笛を意識したかのようなサックスやホルンなどの管も交えてのアレンジが光ります。ラストは往年のヒット曲「SWEET MEMORIES」のカバーを通常バンド編成でのスタジオライブで収録。他の曲がだいたい4分前後なのに対し、この曲は何と8分半、という長尺もいいところなのですが、一発録音ならではの緊張感がみなぎる良カバーでした。

 ピアノトリオ、ディスコサウンド、バラードからカバーまで、幅広いさかいゆうのポップスセンスを改めて実感できる1枚。お薦めです。

2018年11月11日 11:24

ASKAFELLOWS ASKAMADEIN
 2018年10月17日より一般発売が開始されたASKAの2枚のベストアルバムを今回は1エントリーにてご紹介。発売に際してASKA自身が語ったインタビュー記事はこちらから。

 「We are the Fellows」はソロデビューして30年経ったのをきっかけにASKAが直接関与する初のベスト盤として企画され、2018年初頭に行われた公式サイトでのアンケートの上位1位〜13位をランキング順にそのまま収録した全13曲。当初は2018年3月12日より同サイトでの受注のみの販売でしたが、後に一般流通で販売されることもこの時点で言及されており、約半年後の10月17日にチャゲアスの2000年までの音源を販売しているYAMAHAより発売。その際に同時発売として、ASKAが選曲を担当し、提供曲のセルフカバー、新曲を含めた全15曲収録の「Made in ASKA」がこちらもYAMAHAよりリリース。両方とも黒を基調にしたデジパックジャケットに貼り付けられた白い歌詞カード、冒頭に詩の掲載、マスタリングエンジニアを含めて制作スタッフも完全に同一という、一対のプロジェクトの様相を呈しています。

 別々に見ていきますと、ファン投票ベストの「We are〜」は前述の通り順位がそのまま曲順ということで、いきなり冒頭に「けれど空は青 〜close friend〜」「月が近づけば少しはましだろう」という、激重バラードナンバーがワンツーを占めるという事態に(苦笑)。「はじまりはいつも雨」「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」といったASKAソロの二大代表曲、根強い人気の提供曲カバー「伝わりますか」、アッパーな「HELLO」、昨年の復帰第1弾アルバムからも「東京」「と、いう話さ」「しゃぼん」と、タイプの異なる3曲が選出されるなど、ファン投票とはいえマニアックな曲は選ばれず、ASKAのパブリックイメージ(音楽に関しての、です)に沿った選曲が成された模様。ただ、こちらのアルバム制作時にはユニバーサル在籍時の楽曲は使用の許可が下りなかったようで、もし収録範囲の13位内に選ばれていたら本作の発売はできなかったとのこと。また、シングル曲に関しては本アルバムにはシングルバージョンが収録され、「君が愛を語れ」のシングルバージョンはアルバムバージョンに慣れた身としては音の抜き差しの違いには新鮮な驚きがありました。たぶんオリジナルバージョンで聴いたのは25年ぐらいぶりなもので(笑)。

 対する「Made in〜」は、「We are〜」収録曲以外の楽曲からのASKAセレクト。時系列順に並んでいますが、冒頭の「MIDNIGHT 2 CALL」2010年のセルフカバーアルバムバージョンで収録というサプライズが。シングル曲では「ID」「ONE」といった「We are〜」未収録楽曲、またユニバーサル時代の「心に花の咲く方へ」(ファン投票15位)「UNI-VERSE」(同18位)の2枚のシングルもこちらでは無事に(?)収録。その他はASKAが選んだだけあって、世相を描いた「はるかな国から」、やさぐれ感満載の「Now」、スピリチュアル系(?)の「いろんな人が歌ってきたように」など、自身の主張が並んだ楽曲が集められた雰囲気を感じます。とはいえこちらもサウンド的には実験している等のアプローチはないので、詞のテーマの割りには結構ライトに聴けるかな、という感じ。コアなファン向けには新録として1995年に黒田有紀に提供した楽曲のセルフカバー「cry」、新曲の「メリーゴーランド」が聴きどころ。特に地元の友人達との思い出を描いた後者は筆者の心に響くものがありました。

 リマスター、高音質UHQ-CD仕様ということもあり、両方とも定価で買うと合計7,500円を超える…という規格外の価格はちょっといただけないのですが(苦笑)、かつての「ASKA the BEST」を近年の作品までフォローしたオールタイム決定盤ベスト、という意味では理想的な2枚。これからASKAに触れるリスナーには…まずはレンタルなどでお試しあれ。

2018年11月04日 18:31

kanla 2018年10月10日発売、KAN自身の編曲による弦楽四重奏とのレコーディングによるセルフカバーアルバム第2弾。全10曲収録。

 昨年3月にリリースされた第1弾(この時は第2弾があるとは思わなかったのですが・笑)に引き続き、ストリングスカルテットのメンバーは完全固定し、KANのピアノ+ボーカルが加わる編成。冒頭にカルテットによるインスト新曲「l’Addestramento dell’Arrangiamento」を配置し、自身のオリジナル曲に加え、ビートルズ、ビリー・ジョエルの各曲のカバーを収録する構成は前作とほぼ同じ。インストの長ったらしいイタリア語タイトルや、何て読むのか分かりくいアルバムタイトルまでも前作を踏襲しております(苦笑)。

 色々な要素が絡んでまさに兄弟盤といった趣なのですが、前作では代表曲的ポジションの楽曲のセルフカバーが多かったのに対し、本作で選曲された曲は自選ベストには収録されたものの正直代表曲とは言い難い「サンクト・ペテルブルグ」「Happy Time Happy Song」といったシングル曲(ポリドール時代のシングル曲は1曲もなし)、アルバム作品からも彼のパーソナルな要素の濃い「50年後も」「永遠」などが選曲されるなど、結構コア向けに攻めてきたな、という印象を受けます。

 とはいえ、流麗なストリングスをバックにピアノで弾き語るKANの姿が浮かぶようなアレンジなのは前作と変わらず。アレンジの方向性は、原曲のフレーズや曲のサイズを尊重しつつ、この編成で再構築を試みており、まったくの完全新規アレンジで驚き!ということはありませんでしたが、歌詞やメロディーに寄り添った、仰々しくならず良い案配でのストリングスアレンジはバンドがいない分目立ちますし耳を惹きます。コミカルな内容の「君はうるさい」が美しい旋律と共に聴ける、というのは何だかおかしかったですが(笑)。

 注文を付けるとすれば、ビリー・ジョエルの「Lullabye」のカバーがほぼ原曲通り(原曲もほとんど同様の編成)だったのでもう一ひねり欲しかったところと、今回はセルフカバー曲が前作より2曲減ったので、もう1曲ぐらいあっても良かったかな、と思った点ぐらい。改めて彼のメロディーメーカーとしての良さを再認識させてくれるアルバムでもありました。

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