
同時発売のA面シングル集「ROSE PERIOD 〜the BEST 2005-2015〜」の兄弟盤であり、デビュー10周年記念時にリリースされたカップリング集「OUT OF THE BLUE」の続編たる本作。2004年以降にリリースされたシングルのカップリング曲のうちオリジナルアルバム未収録曲を一部バージョン違いを除いて収録、さらに配信限定シングルだった「心の手紙」の初CD音源化、山崎まさよし名義の作品には初収録となる「ホームタウン」「黄昏のビギン」の各カバー曲、タイアップソングとして既に発表されていた「青いタペストリー」「うたたね」の初音源化、さらにラストにはインディーズ時代に録音された「ビートルズメドレー」がボーナストラック的に収録されるなど、まさに全編ごった煮の内容になっています。
曲順は発表時系列…と思いきや、なぜか最終盤に2004〜2005年の作品が収録されていたりと、若干意図が読めない並び方(笑)。楽曲の流れを考慮したオリジナルアルバムとは一線を画す混沌感が漂うのですが、曲単位で聴いてみると、実は彼のオリジナルアルバムや、「山崎まさよし」のイメージを重視せざるを得ないA面シングル集よりはっきり言って面白い、という印象。「non ignition」や「幸せのBefore&After」のようなロック色強めの楽曲、往年の名曲を朗々とカバーした「君が好き」「浜辺の歌」、Eテレ教育番組に提供した「おなかとせなかがぺっタンゴ」のセルフカバーでは、言われなければ山崎本人だと判別できなさそうなバリトンボイスで熱唱するなど、アナザースタイル的な遊び心を加えた楽曲がとても愉快。
今やオフィスオーガスタの屋台骨としてベテランの風格も漂ってきた山崎まさよし。もちろんそんな彼のパブリックイメージに沿った曲も良いですが、シングルカップリングを実験の場として、一定のクオリティを保ちつつ、良い意味で好き放題やっている、というナイスな「裏」を見せてくれていることを再認識した1枚でした。
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