kobukurotimeless 2016年6月15日発売、前作から2年半ぶり、通算9枚目となるコブクロのオリジナルアルバム。シングル「陽だまりの道」「奇跡」「未来」、配信限定シングル「42.195km」「Twilight」「hana」「SNIFF OUT!」を含む全15曲収録。初回限定盤はジャケットフィルム封入+学園祭ライブ映像を収録したDVDが同梱。本エントリーは通常盤のレビューとなります。

 現時点での最新CDシングル「未来」が、かつての「桜」を彷彿とさせるスプリングパッケージで発売されたり、その「桜」を収録した約10年前のオリジナルアルバム「NAMELESS WORLD」を捩ったアルバムタイトルを冠するなど、過去の作品との関連性が少なからず話題に上がった本作。とは言っても特に「NAMELESS〜」の続編、というコンセプト的なものはないようで、従来通りのコブクロ節(小渕節?)が奏でられるファン安心安定の楽曲集となっています。

 そんな中で今回面白いな、と思ったのは、既発のシングルも含めてアルバム全体でちょくちょくと顔を出す実験的路線。カーナビを恋愛に喩えた「tOKi meki」、ロカビリー調の「SNIFF OUT!」、バンド演奏が基本の彼らのサウンドにプログラミングを導入した「サイ(レ)ン」、更にEDM的要素も取り入れた黒田俊介作の「Tearless」。コブクロの代名詞たる壮大バラードが良くも悪くもいつも通り…な感想しか抱けなかったのに対し、あくまで「コブクロの枠内」ではありつつ、バリエーション、実験色、さらに布袋寅泰に作曲を依頼し、彼のギターとコラボした「NO PAIN,NO GAIN」など、新たなステップに進む模索のような意志が見受けられたのは嬉しいポイント。中でもマラソンをモチーフにした全編関西弁のアップテンポ「42.195km」のようなコミカル路線は、終盤へと向かうアルバムの良いアクセントになっていて好感でした。

 全15曲(うち新曲8曲)、総演奏時間75分と、相変わらずアルバム1枚の情報量が多く、筆者の持論ではオリジナルアルバムにしては長過ぎる、というのは毎回書いているような気もするのですが(苦笑)、前述の楽曲のバラエティ感と、長尺の作品も目立ってないということもあり、近年のコブクロのアルバムの中でも比較的聴きやすい作品ですね。