2017年11月

2017年11月25日 21:15

YELLOWMONKEYISHERE 2017年5月21日発売、THE YELLOW MONKEYのセルフカバー・ベストアルバム。全16曲収録。購入早期特典として新曲を収録した「2017 LIMITED SPECIAL SINGLE CD」の同梱版あり。また、初回生産限定で2枚組のLPレコード盤、インストバージョンを追加したCD2枚組のファンクラブ限定盤が存在するそうです。本レビューは同梱CDなしの通常CD形態となります。

 2016年に再結成を発表後、全国ライブツアーやロックフェスへの出演、新曲をパッケージメディアや配信でリリースと精力的に活動を続けている彼らですが、再結成後初のアルバムリリースはセルフカバーベストという形に。選曲は解散時の2013年にリリースされたファン投票ベスト「イエモン-FAN'S BEST SELECTION-」全16曲を曲順そのままで全曲新録音。アンサーソングならぬ「アンサーアルバム」なる通称もついているようです。

 オリジナル音源での最新ベスト盤の全収録曲を再録音という経緯もあり、シングルタイトル曲のピックアップが多くなったことで、「JAM」「SPARK」「楽園」「BURN」などライト層にも食いつきやすいヒット曲が中心。どの曲も原曲のアレンジを踏襲しており、基本的には一発録音を軸にし、さらにリバーブなどのエフェクトも極力使用しない方向性になっているようで、原曲と比べると音の厚みがシンプルに。また、「追憶のマーメイド」など原曲ではなかったストリングス隊が新たに加わった曲もありますが、どの曲もメンバーの出す音を核に、ゲスト陣は楽曲を覆わない程度の味付けにとどまっており、原曲の雰囲気を尊重しながら現代的な音にまとまっています。

 さて、約15〜20年ぶりぐらいに新たに録音された本アルバムの全体像ですが、鳴っている音こそほとんど原曲と変わっていないものの「やけにすっきりしたなぁ」と。先述のレコーディング方針もありますが、吉井和哉の余裕のある(ように聴こえる)ボーカルや、他のメンバーも50歳を超えてベテランらしい安定感のある演奏力を手に入れた代わりに当時の妖艶さやギラギラした色気のようなものが抜け去ったな、という感じ。アルバムタイトルの「〜IS HERE」に象徴されるように、現時点でのTHE YELLOW MONKEYはこうなんだ、という彼らからのメッセージといったところでしょうか。音を加工していない分、生身の彼らがスピーカー越しに近付いてきた、という印象も受けますが、リアルタイムでオリジナルを聴いてきた耳には少々物足りなく感じるのが正直なところ。

 まったく収録曲も曲順も同じということで、本作と「イエモン〜」で、新旧の聴き比べも容易に楽しむことができる作品。昔からのファンにとっては賛否ありそうですが、一聴の価値は大いにありだと思いました。

2017年11月18日 20:07

karashimacashmere 2017年10月25日発売、辛島美登里のセルフプロデュースによるカバーアルバム。全12曲収録。

 2001年に邦楽ポップスのカバー集「Eternal-One」、2012年には小田和正のカバー集「Love Letter」をそれぞれリリース。3作目のカバーアルバムにあたる本作は、カバー曲8曲、セルフカバー曲4曲という構成。各曲基本的には辛島美登里の歌に、島健(ピアノ)、扇谷研人(ピアノ)、伊藤ハルトシ(アコースティックギター&チェロ)と、伴奏を担当するミュージシャンが1名ずつ寄り添うという、「歌+楽器一本」という最小単位のシンプルな編成でレコーディングされています。

 カバーは新旧邦楽ポップスの著名アーティスト・有名曲を中心にピックアップ。最近の作品は手嶌葵の「明日への手紙」ぐらいで、竹内まりや(「いのちの歌」)、中島みゆき(「糸」)、小田和正(「たしかなこと」)といったカバー企画の原曲アーティストとしてお馴染みの顔触れから、辛島美登里と同世代近い原田真二や久保田早紀など、主に80年代の音楽シーンに親しんだ世代が懐かしく聴けるような楽曲を採り上げている印象。どの曲も前述の通りシンプルにアレンジされ、ミディアムテンポ中心の各曲が映える趣に仕上がっています。そんな中で筆者のお気に入りは小泉今日子の「あなたに会えてよかった」。本作で数少ないリアルタイムに原曲のヒットを体験したナンバーということもありますが、アコギに乗せて辛島先生の切々と歌われる儚げな歌声がツボでした。

 セルフカバーに目を向けると全4曲とも弾き手は違いつつも全てピアノでの伴奏。EMI時代のヒット曲「愛すること」2010年のベストアルバムの新曲「桜」が初カバーで、どちらもオーソドックスな仕上がり。そしてまたまたカバーされた「サイレント・イヴ」は、序盤は原曲に忠実なピアノ演奏が歌が進むにつれてだんだんと盛り上がっていくというアレンジになっていますが、正直また新たなバージョン登場か、と若干辟易気味です(苦笑)。
 残る1曲はラストにボーナストラックとして収録された「雨の日」。この曲は彼女がグランプリを獲得した1983年のヤマハポプコンのエントリー曲であり、正式デビュー前にリリースされたいわゆる「非公認」ソングなのですがこの度本人のピアノ弾き語りにより堂々収録。「お寺の花子さんが〜♪」で始まる童謡・唱歌的な佇まいが結構衝撃的(?)ながら、なかなかの良曲なので、この曲がついに公式ディスコグラフィに載った、ということが何やら感慨深いです。

 アルバムタイトルの如く、辛島先生独特の「冬声」が似合うこれからの季節を暖かく演出する、地味ながら味わい深いカバーアルバムでした。

2017年11月12日 18:01

magokoroflow 2017年9月13日発売、前作から2年10ヶ月ぶりとなる真心ブラザーズの通算15枚目のオリジナルアルバム。2015年に渡辺美里に提供した「鼓動」のセルフカバーを含む全12曲収録。初回盤にはリード曲「レコードのブツブツ」のMVに加え、今年の5月に開催された真心企画イベント「マゴーソニック2017」のライブ映像から3曲を収録したDVDが付属。またタワーレコード限定でLP盤も同時発売されています。

 前作、そして本作との間にリリースされたカバーアルバム同様、レコーディングはLow Down Roulettes(真心二人+ベース岡部晴彦+ドラムス伊藤大地)の四人で行われており、今回はゲストミュージシャンは入れずに完全に四人のみで作り上げられた一発録音モノだそうです。インタビューによると60年代ロックの雰囲気を出したい、ということで全曲モノラルでのミックスを行った、とのこと。

 収録楽曲はミディアム〜バラードの曲がほとんどで、アップテンポの曲はカントリー調の「アイアンホース」ぐらい。前作でのロックバンドとしてのダイナミズムに溢れた「バンドやってるぜ!」的な演奏はほぼ皆無。曲調もYO-KINGがボーカルをとる朗々とした曲が大半を占めているので、前作路線とは一転して一気に地味な雰囲気になったわけですが、モノラル録音ということで入れる音を意図的に減らし、勢いよりもアンサンブル部分の熟成を意識した聴き心地は悪くないです。歌詞のほうは「光るひと」「黒い夜」のような抽象的なモノローグだったり、「雲の形が変化をした」「その分だけ死に近づいた」のような深い意味ありげな歌詞だったりと難解度がアップしていて、失礼ながら「真心ってこんな文学的だったっけ?」と思ってしまうほど(笑)。

 総じて全体像としては内省的。パブリックイメージとはちょっと異なる真心が聴ける1枚。筆者としては桜井秀俊ボーカルによる鉄道をテーマにした「アイアンホース」のようなコミカル&アッパーな曲がもう1〜2曲あればエンタメ的なバランスが良かったかな、とも思いました。

2017年11月05日 17:12

access25 2017年9月13日発売、デビュー25周年を記念してリリースされたaccessのオールタイム・ベストアルバム。CD4枚組全54曲収録。4面デジパック+ブックレット付属の三方背BOX仕様の初回限定盤、プラスチックケース仕様の通常盤が存在しますが収録内容は同一。また、期間限定特典として1993年開催の1stツアーのパンフレットの電子版が本年末まで無料でダウンロードできるカードが封入。

 公認ベストとしてはデビュー15周年時の2007年にリリースのCD3枚組(+初回盤DVD付)「access best selection」に続く10年振りのベストアルバム。同作には初CD化のリメイク音源などが数曲収録されていたのですが、本作は全曲リマスタリングを施されているものの、何らかの形で世に出ていた音源のみで構成されて新曲などは特になし。内容はDisc 1、2がシングル全集、Disc 3がバラード集、Disc 4がリミックス集と、明確に各ディスクの色が出ているのが特徴。以下、各ディスクに分けて具体的にご紹介していきます。

 Disc 1、2は「All the Singles Vol.1」「(同)Vol.2」。1992年のデビューシングル「VIRGIN EMOTION」から、2017年リリースの最新28thシングル「Knock beautiful smile」までのシングルタイトル全28曲を時系列順に完全収録。Disc 1全曲+Disc 2の2曲目までは15周年ベストと内容が曲順も含めて丸被りということで既視感ありありなのですが、続く「Dream Runner」以降の12曲はベストアルバム初収録、さらに「永遠dive」以降の7曲はアルバム初収録。
 なお18thシングル「Higher Than Dark Sky」から27thシングル「24sync」までは本ベストリリース元のSONYではなく、浅倉大介のプライベートインディーズレーベルDarwinからのリリースとなっており、なかなかレンタルもできなかったので(笑)今回の一挙収録は嬉しいところ。基本的にはどの曲も浅倉によるアッパーなデジタルサウンド+貴水博之のハイトーンボイスで攻めまくるキャッチーなEDMナンバーで、正直似たような曲も多いのですが、もはや偉大なるマンネリズムこそがaccess。今後もこの姿勢を貫いてもらいたいです。

 Disc 3は「BEST Ballads」。各オリジナルアルバムに収録されてきたミディアム〜バラードナンバーを時系列順に12曲+ボーナストラックとして「Xtal X'mas」(2012年ライブの配布シングル)、「Missing 4 seasons」(2016年ライブのパンフに付属)の2曲が一般流通化されて収録。accessのバラードはシングルでもなかなかなく、一般的知名度があるのは「TRY AGAIN」(Disc 1に収録)ぐらいだと思うのですが、今回こちらに収められたバラードも知名度こそ低いものの「PALE BLUE RAIN」「I SING EVERY SHINE FOR YOU」「STAY MY LOVE」等々なかなかの佳曲揃い。時代が進むに従って通常のバンド編成では演奏できないようなエレクトロなバラードが増えていき、それが彼らの個性を助長しているような気もしました。

 Disc 4は「BEST Remixes」。文字通りのリミックスセレクト盤で、シングルタイトル曲を中心に、ファンハウス時代(〜94年)末期のリミックスマキシシングルから、活動再開後のリミックスアルバム、そして近年のシングルのカップリングとして制作されたリミックスまでを発表順に全12曲収録。原曲からの改造具合(?)は各曲それぞれですが、どの曲も基本的にはボーカルパートをしっかりと残した「歌モノ」リミックスとなっており、難解さは少なく原曲との違いを楽しめるバージョンが多数。原曲から一転してスローに変貌した「TEAR'S LIBERATION」、ピアノ一本で歌い上げる「Higher Than Dark Sky」、加工したボーカルで遊びまくる「Be Nude」のリミックスが特に印象に残りました。

 以上ディスク4枚、彼らの25年間(実働期間は15年ぐらいですが)を一気に振り返ることのできる重量級ベストアルバム。15周年ベストとの重複はDisc 2以降はほとんどないという配慮が嬉しい一方、ライト層向けにDisc 1&2のシングルコンプリート盤を別売すれば良いのに…という気もします。何といっても全54曲とかなりのボリュームなので全部聴き終わるまでに結構な時間と体力を要しました(笑)。まあライト層には非公認ながらファンハウス期のコンプリートシングルベストもありますし、そちらを足掛かりに本ベストに挑戦するのをお薦めいたします。

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