2017年10月

2017年10月28日 21:10

inochikumahoroba 2016年12月6日発売、井乃頭蓄音団通算4枚目となるオリジナルアルバム。全10曲収録。

 前々作の「おかえりロンサムジョージ」、そして前作の「グッバイ東京」と、アルバムを重ねる毎に元々持っていたアングラ感、特徴的でもあった変態性あふれる(笑)歌詞がどんどん薄れていく路線に意図的に向かっている彼らですが、本作もまさにその延長線上。前作でも数曲あった「意味不明なエネルギーに溢れたワケわからん系」の楽曲がついに今回は皆無に。どの曲も普遍性・抒情性を濃くした内容になっています。また、前作ではメンバー共作が多めだったのですが、本作は松尾よういちろう、ジョニー佐藤、ヒロヒサカトーが単独で詞曲を手掛ける曲がほとんどで、共作は1曲目の「ようこそ我が家へ」(三人での共作)のみとなっています。

 サウンド的には通常のバンドサウンドに加えてマンドリンやウクレレを積極的に起用する「アメリカーナサウンド」(というらしい)で雰囲気を統一。ラウドなブルース調の「偶然金メダル」のようなバンドならではの曲もありますが、バンドを基調+αというよりも、ほぼウクレレの伴奏のみで一曲を通したラスト「ただいま」などのように、上記の楽器を聴かせることにかなり重点を置いており、カントリーっぽさを自らの作風に加えた、という点では彼らの新たな個性獲得への挑戦、と呼べるのかも。

 かつての特徴であった詞に関しては等身大のモノローグに終始しており、各々のメンバーの個性がはっきりと分かれた、という作風でもなく、正直インパクトという点では初期の頃に比べるとパワーダウンの感は否めません。ですが、奇を衒わない穏やかなメロディーラインを含めた楽曲の良さ、演奏面での深化、という意味では地味ながら確実に彼らの成長がうかがえるアルバムでもありました。特に、自分達を支えてくれるライブスタッフの事を歌ったであろう「ここにいて」は名曲。

2017年10月21日 17:47

kubotalive 2017年9月27日発売、久保田利伸のキャリア初となるライブアルバム。全15トラック収録。ライブ本編を収録したCDのみの通常盤、加えてライブドキュメンタリーやアンコールを収録したDVD+フォトブックレット付属の初回限定盤の2形態での発売。本レビューは通常盤となります。

 デビュー30周年を記念した記念企画の一環として、今年の6月から9月にかけて行われた全国ライブハウスツアー10公演の中からのベストアクトを抜粋してセットリスト順に並べられた構成。豊洲、大阪、札幌、仙台、名古屋といった順でライブは敢行されたようですが、曲の途中で「大阪!なにわ!」などと絶叫する曲以外はどの会場からのチョイスなのかは歌詞カードには記載されていないので明確には分からず。MCなどは丸々カットされていますが、本編で披露された曲は全て収録された模様。総演奏時間も73分とたっぷりです。

 久保田以外にはギター、ベース、ドラムス、キーボード2名、コーラス3名、さらにDJもバンドメンバーに加わる大所帯。ピックアップされた曲達で一般的にも特に有名なのは「LA・LA・LA LOVE SONG」「LOVE RAIN 〜恋の雨〜」の月9ドラマ主題歌が双璧でしょうが、デビュー初期の「Shake It Paradise」から現時点の最新シングル(といっても2014年)「Upside Down」「Free Style」までの幅広い選曲や、ブレイク期を中心としたメドレーを矢継ぎ早に披露する「Go Go Old School Medley」など、タイアップソングを多めに演奏しつつもヒットパレードというよりも若干コアファン向けの演目のような。

 そんな30年間のナンバーを時にファンキーに、時にしっとりと歌い上げる久保田利伸のボーカルの安定感はさすが。本来ライブアルバムといえばボーカルも含めて演奏の熱量やスタジオレコーディングとは異なる粗さも魅力のひとつだと思うのですが、本作に関しては久保田も演奏陣もあまりにも上手すぎて観客の手拍子や拍手がなければ普通のスタジオアルバムと錯覚してしまうほど(苦笑)。ただ、長めのイントロを加えた「LA・LA・LA〜」や観客を煽りまくりのメドレー、ラスト近くで披露された「SUKIYAKI」の英語詞カバーなどはライブならではの熱気が感じられました。改めて彼と彼らのパフォーマンスレベルの高さを実感させられる1枚でした。

2017年10月14日 21:42

comealong3 2017年8月3日発売、山下達郎のコンピレーション・アルバム「COME ALONG」シリーズ第3弾。全13曲収録。

 「COME ALONG」シリーズは1979年にレコードショップの店頭演奏用レコードとして企画された、山下達郎非公認のコンピレーション盤が始まり。その辺りの詳しい説明はこちらを参考していただくとして、本作は1984年の「COME ALONG II」から実に33年振りに同シリーズとしてリリースが決定。本作発売の際に過去2作品も公認作品としてリマスターされ、3枚同時に発売の運びとなった経緯があります。

 コンピ盤ならではの要素として、通常のベストアルバムとは異なり、過去2作品にも参加していた小林克也が三度DJとして登板。いきなり1曲目の「Keoki la Molokai Kid 偉大なサーファー伝説?!」から3分強の間、英語でまくしたて、次曲の「CHEER UP! THE SUMMER」へとノンストップへと繋いだり、前曲と次曲の間には曲紹介や雑談などを含めたアナウンス(これも全部英語)を入れたりと、CD1枚約一時間弱のラジオ番組風で構成。本ブログの過去ログの中でも紹介しているDEENの「ナツベスト」的な演出がユニークで、例えばカーステなどに搭載して夏のドライブを楽しむ…などのニーズ(?)に応えた内容となっています。

 選曲は1983年以降の楽曲からシングル曲を中心にした夏向けセレクション。「高気圧ガール」「ドーナツ・ソング」、近年では「僕らの夏の夢」などを始めとしてタイアップ曲が満載で、達郎ファンでなくてもどこかで耳にしたような曲が取り揃えられ、軽快なDJとも相俟って聴き心地は最高。また、サマーソングコンピといっても陽気なナンバーだけではなく、終わりゆく夏へ哀愁を漂わせたり、過ぎ去った遠い夏の思い出を振り返る…といったメロウな曲も選ばれ、「さよなら夏の日」「Juvenileのテーマ 〜瞳の中のRainbow〜」などには筆者も思わず感傷的な気分になってしまいました。

 なお、大半が2012年のオールタイム・ベスト「OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜」にも収録(特にDisc.2)されており、同作を持っているとかなり被ってるな…という印象は否めないものの、「OPUS〜」にはないDJやノンストップ要素が加わり、なおかつCD1枚ということで、山下達郎に興味はあるけどいきなり重量級のベストアルバムは…と敬遠しているリスナー層への入り口(夏コンピなので「クリスマス・イブ」は入っていませんが)としては最適かも。本作を聴いてより興味が沸いた方は「OPUS〜」へと進んでもらうのはいかがでしょうか。

2017年10月08日 21:39

k2clastbest 2017年8月8日発売、米米CLUBの全シングルA面曲を時系列順に収録したオールタイム・ベストアルバム。全曲リマスター、Blu-spec 2CD規格の3枚組全38曲の通常盤、リミックスCD+MV他を収録したBlu-rayを加えた初回生産限定盤の2種での発売。今回のレビューは通常盤となります。

 SONY所属アーティストの宿命(?)か、公認・非公認に関わらず結構な数のベスト盤がリリースされている彼らですが、本作は再結成直前の2005年発売のリクエストベスト以来、12年振りのベストアルバム。シングル曲をリリース順に網羅するベストアルバムは、1997年の解散直後に「HARVEST」シリーズとして2作連作で発売されており、本作のDisc 1、Disc 2は完全にほぼ丸被りな内容。対して、再結成以降の全シングルを収録したDisc 3はベスト盤にはすべて初収録の楽曲。また、最新のデジタルシングル「コドモ ナ オトナ」「Uplight」は初CD化となります。

 まずDisc 1は1985年のデビュー曲「I・CAN・BE」から1991年の「ひとすじになれない」までの11曲。筆者が初めて彼らを知った曲は「浪漫飛行」で、それ以前の曲は後追いなのですが、この時期はファンク調のサウンドを基本にしながらも「加油」「KOME KOME WAR」「FUNK FUJIYAMA」など、これ普通シングルにするか?!というような(笑)攻めの姿勢の強さを改めて感じました。代表曲「Shake Hip!」やメロウ路線の「TIME STOP」なんかもこの時代の曲なのですが、前述の曲達のインパクトの前では結構かすみがちと言いますか(苦笑)。そういえば「Shake Hip!」は1990年に再録音されたシングルバージョンも存在するのですが、今回は(も?)収録されなかったのが残念。あのバージョンの方が馴染みがあるもので…。

 Disc 2は1992年の「君がいるだけで」から1997年の(当時)ラストシングル「Special Love」までの13曲。月9タイアップでトリプルミリオンに近い数字を叩き出した「君が〜」以降は、タイアップなどの関係もあるのかポップス路線へとシフト。「愛はふしぎさ」「俺色にそまれ」「手紙」「JUST MY FRIEND」など、筆者は完全にこのディスクがリアルタイムなので思い出深い曲が多いのですが、ミリオンヒットで大きく知名度を上げたバンドに、世間から求められる曲が変わってきたのか、Disc 1を経由して聴くと安定を狙った曲が多い印象は否めません。本作発売時のインタビューでもそれが遠因となって解散した(大意)と語られており、ファンの中でもこの時期の活動には否定的な意見をネットなどで散見したりしますが、良質のポップスを聴かせる、という点では3枚中一番優れたディスクだとも思います。

 再結成後のDisc 3は2006年の「WELL COME 2」から最新作「Uplight」までの14曲。復活シングル「WELL〜」を筆頭に、「E-ヨ」「MATA(C)TANA」「御利益」「080808」などの悪ノリもありの(笑)ファンク路線、「君を離さない」「ふりむかないで」などのバラード路線、「WE ARE MUSIC!」「恋のギャンブル」などのポップス路線と、彼らの見せる様々なジャンル毎のバランス配分が一番良いのがこの時期。腰を据えてちゃんと聴くのはほぼ初めての曲ばかりでしたが、Disc 1、2の良いところを凝縮させたとも思える、予想以上に良かったディスクでした。余談ですが、近作の「どんまい」やデジタルシングル2曲などには良い意味でクレイジーケンバンド的な雰囲気も感じられたのも、筆者の趣向的には好ポイントでした。

 「LAST BEST」というタイトルは一体…と思いましたが、前掲のインタビューによると、「LAST」と付ければ最後だと思ってみんな買ってくれるんじゃないか、という身も蓋もない(苦笑)理由でまあひと安心。期間限定復活の最後で永続活動継続を宣言した前歴もありますし、彼ららしいかな、と。32年間の活動を収めた大ボリュームのベストながら、1枚1枚はそれほどぎっちりでもないのでベテランのベストにしては結構聴きやすいと思います。米米入門リスナーの方にもお薦め。

2017年10月01日 13:03

BILLYAIR 久々の洋楽盤レビュー。2017年9月6日発売、最新デジタルリマスタリング仕様のビリー・ジョエルのブロードキャスティングライブ・コンピレーション盤。全10曲収録。帯には同年8月30日発売と表記がありますが、一週間の発売延期になったようです。

 日本ではSONYレーベルに所属のビリー・ジョエル、今回はインディーズメーカーからのリリースとなっていますがブートレグの類ではなく、半公式商品の模様。本作は1975年から1989年までのプロモーションを兼ねて出演したテレビ番組でのスタジオライブや、ドイツでのライブ公演からの楽曲を抜粋した、いわゆる「蔵出しライブ音源集」。同封ライナーノーツによると、元々は2005年の「Live On Air」という日本国内未発売DVDの音源らしく、今回その映像作品がリマスターされて再発されるのに伴い、世界初CD化された、とのことです。

 収録曲は「Just The Way You Are」「Only The Good Die Young」「We Didn't Start The Fire」などをそこそこに、他はライブでの定番レパートリーで構成。「She's Got A Way」の収録アルバム名が前述のライナーノーツでは間違っているのはご愛嬌ですが(苦笑)、「The Ballad Of Billy The Kid」「Miami 2017」「Summer,Highland Falls」など、ブレイク期のライブアルバム「Songs In The Attic」に収録されている佳曲をこうして再び新たなライブバージョンで聴くことができるのは嬉しいポイント。他にもスタジオ録音とは段違いのエネルギーを聴いていて感じさせる楽曲が揃っています。

 難点はやはり昔のライブ音源なのでリマスターしたといえども曲によって音質にバラつきがあること、フェードインで始まり曲の冒頭部分が数秒欠けている曲があること、そしてライブ盤で総演奏時間40分というのはかなり短めで、腹六分(?)ぐらいで終わってしまうあたりでしょうか。とはいえ、近年はライブ音源の類も発売されず、リリース的には完全に隠居状態になっている彼の「新譜」、ファンの方は是非ご一聴のほどを。

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