2017年05月

2017年05月28日 18:19

saitonebraska 2017年4月26日発売、斎藤誠のアコギ弾き語りセルフカバーアルバム。先行配信された「初恋天国」を含む全12曲収録。高音質SHM-CD仕様のみでのリリース(定価は一般のCD価格程度)。なお、発売一ヶ月前に配信された「今 僕を泣かせて」はアルバム未収録なのでご注意。

 二年三ヶ月前の前作に引き続き今回もセルフカバーアルバム。ただし前作と本作では明確な違いがあり、一部例外を除いて前者は斎藤誠がソロ活動を一時期休止した1990年までの楽曲をバンドアレンジで再構築したアルバム、後者はソロ活動を再開した1996年以降の楽曲をMartin製のアコースティックギターで完全に一人で弾き語っているアルバム。1996年以降の作品は当時の音楽シーンの流行を取り入れたという要素がほぼ無く、現代においても普遍的に受け入れられる生音バンドサウンドが中心であり、それを今回は「曲を作った時のシンプルな状態」として聴かせるサウンドにお色直し(化粧落とし?)。アルバム制作にあたっては、自身の弾き語りツアー「ネブラスカ」開始20周年記念、という意味合いもあるようです。

 選曲は8thアルバム「Dinner」から現時点での最新12thオリジナルアルバム「PARADISE SOUL」までの各曲に加え、カバーアルバムの表題曲「Waltz In Blue」(当時オリジナルの新曲として発表)、ラストの「恋のやりとり」だけはデビューアルバム「LA-LA-LU」より。シングルタイトルは「天気雨」の1曲のみと、かなりコア寄りのピックアップのような。アップテンポの曲は序盤の「Coolest Sister」ぐらいで、ミディアムやバラード曲が中心。アコギ一本になることで大きく印象が変わった、という曲もなく、全体的に淡々と進んでいく展開。「ギターマンの純情」や「Missing Serenade」などを選べばもっと華やかさが増したのではないかと思いますが、本人が述べているように「一日の終わり、眠りにつく前に聴いてもらえたら」という落ち着いた演奏に終始しているので、若干物足りないものの今回のラインナップはまあ納得。

 前作のように80年代の曲が現代的に再構築されて感動!入門編にお薦め!ということはなく、あくまで原曲を知っているリスナー向けのアイテムではありますが、まったりとした聴き心地でメロディーや歌詞を意識できる「ネイキッドな斎藤誠」を堪能できるアルバムではあります。とりあえずファンは必聴、ですかね。

2017年05月21日 19:31

suchmosthekids 2017年1月25日発売、Suchmosの2ndオリジナルアルバム。「STAY TUNE」「BODY」(EP「LOVE & VICE」収録曲)、「MINT」「DUMBO」(EP「MINT CONDITION」収録曲)を含む全11曲収録。初回限定盤には昨年秋に行われたライブツアーの映像を収録したDVDが付属。

 発売後にHondaのCMソングというタイアップが付き、今年は某国際大会でのCM中などにも大量オンエアされた「STAY TUNE」が気に入って初めてSuchmosの作品を手に取りました。彼らはボーカル、ベース、ギター、ドラムス、キーボードにDJという六人組バンド。2013年結成、本作を含めて2枚のオリジナルアルバムと3枚のEPをSPACE SHOWER MUSICよりリリース。今年4月末にはソニー・ミュージック・レーベル内にプライベートレーベル「F.C.L.S.」を設立した、とのことです。

 前置きが長くなりました(苦笑)。彼らの音楽ジャンルについては諸説あるところのようでここでは触れませんが、現時点で一番知名度が高い「STAY TUNE」のキャッチーさに比べるとアルバムリード曲の「A.G.I.T.」を筆頭にあまりポピュラーに寄せた楽曲は少なく、敷居は若干高いですが、一度嵌まれば癖になりそう、という中毒性という意味では、誤解を恐れずに書くならば「コア層の音楽ファン向け」といった雰囲気が全体を占めているように感じられます。メンバー各自の技量を活かした演奏で何となく良い聴き心地…で終わってしまいそうなところがそうはならないのはその歌詞で、「TOBACCO」「DUMBO」「SEAWEED」など、世相を皮肉ったような、何となく心に引っ掛かりを残す若干毒っ気(?)のある作風がアクセントになっていると思います。

 筆者の嗜好としては、元々ベタ寄りなものが好き(笑)ということもあり、彼らに関しては興味はあるけれど嵌まるまでは…というのが正直な感想。とはいえ、こういったタイプの音楽がヒットシーンを賑わすのは面白い傾向だな、と。

2017年05月14日 21:24

hiraistill 2016年7月6日発売、平井堅通算9枚目のオリジナルアルバム。シングル「告白」「グロテスク feat.安室奈美恵」「ソレデモシタイ」「おんなじさみしさ」「君の鼓動は君にしか鳴らせない」「Plus One」「TIME」「魔法って言っていいかな?」、配信シングル「桔梗が丘」を含む全14曲収録。初回限定版には収録曲のMV等が収録されたDVDが付属のスリーブケース仕様。また、同年12月14日には20周年記念ライブの模様を全曲収録したBlu-rayまたはDVDが付属の「〜Deluxe Edition -Special Limited Package-」としてもリリースされています。

 前作より約5年振りという久々のオリジナルアルバムですが、その間にはコンセプトカバーアルバム「Ken's Bar III」を挟んだり、安室奈美恵とコラボした「グロテスク」や、奇抜なインド人衣装で話題を呼んだ(笑)「ソレデモシタイ」など、シングルリリースに関しても話題作りを行うなど積極的に活動していた感のある平井堅。本人がインタビューでも語っていますが、本作は「5年間の闘いの軌跡を刻んだアルバム」とのことで、前作以降にリリースされたシングルタイトル(両A面含む)を全曲収録、既にタイアップソングとして発表されていた「Missionary」「ON AIR」に加え、まっさらの新曲が3曲という、ハーフベスト…というよりセミベスト的な5年間の活動を集約したかのような内容に。

 かつてのR&B隆盛期に同路線の男性シンガーとしてブレイクを果たした、という経緯は皆さんもご存知のところ。その後は2ステップだったり、壮大なバラードだったり、洋邦楽問わずのカバーだったり、歌謡曲ライクなポップスだったり…と、良く言えばジャンルに捉われない、悪く言えば節操がない…(笑)というある意味独自の路線を突き進んでおり、それはここ数作のオリジナルアルバムでもその傾向が顕著だと思うのですが、本作収録のシングルも哀愁漂う「告白」、ノスタルジックな「おんなじさみしさ」、EDMライクな「Plus One」、生バンド+オーケストラの「TIME」、平井堅印の王道バラード「魔法って言っていいかな?」等々に加え、新曲群もコミカルでシニカルな「かわいいの妖怪」、若手ミュージシャンを招きキレのある演奏を聴かせる「驚異の凡才」、かと思えばラストにはスタンダードな直球ポップス「それでいいな」を配置するなど、まさに様々なジャンルがひしめく幕の内弁当状態。

 先述のインタビューでも語られているように、彼自身はミュージシャンではなくシンガーである、というスタンスのようで、音楽性に関しては雑食というイメージを受けるのも納得。一方で彼のボーカルがオケなりトラックなりに乗ることで「完全に平井堅ワールド」になる、という歌い手としての技量には圧倒されます。まさに「歌バカ」な彼の世界を堪能すべし、という好盤。シングル曲があまりに多い点はオリジナル盤としてはどうかな?という思いもありますが、彼の2012〜2016年の足跡がこのアルバムに詰まっている、という意味で、昔は良く聴いてたけど最近は…というリスナーにも再入門編(?)としてうってつけの1枚だと思います。

2017年05月07日 19:48

getwildsongmafia 2017年4月5日発売、TM NETWORKの代表曲「Get Wild」のリリース30周年を記念したコンピレーションアルバム。CD4枚組全36曲収録。

 オリジナルバージョンを起点にリミックス、リプロダクション、リメイク、ライブ音源、更にはカバー等々、この30年の間に数々の複数バージョンを生み出した「Get Wild」。本ブログでも本作発売直前の「CD Review Extra」で特集記事を書いてしまったほどです(笑)。TM関連のコンピ盤は数あれど、同一曲のコンピをCD4枚使って企画してしまうそのアイデアにまず脱帽。そのCD内容ですが、DISC1〜3はTM名義でリリースされた「Get Wild」の各バージョンを時系列順に計21曲収録。DISC4は他アーティストによるカバーバージョンをこちらも時系列順に11曲、その後は小室哲哉自身の手によるものをはじめ、本作初出となるリミックスバージョンを4曲収録となっています。

 各ディスク毎のかいつまんでの感想を。DISC1は1987年のオリジナルからTMNリニューアル、TMN「終了」、TM NETWORK再始動を経て、2003年のEPICレーベル25周年記念ライブバージョンまで、すべてSONY音源の計10曲。オリジナル版、「〜'89」「〜DECADE RUN」と、主要スタジオ音源が固まっておりバリエーションが最も豊富なのはこのディスク。ライブ音源ではハードロック期のライブにあたる「“RHYTHM RED TMN TOUR” Version」(1991年)が出色。また1994年の東京ドームファイナルライブでの「“TMN final live LAST GROOVE 5.18” Version」のスケールの大きさにも圧倒されます。

 DISC2はデビュー20周年時の「“DOUBLE-DECADE “NETWORK”” Version」を皮切りに、R&C時代のライブ音源、avex移籍後のライブ音源、2014年のセルフ・リプロダクションアルバム「DRESS2」に収録の「Get Wild 2014」、同年のライブツアー「“30th 1984〜 QUIT30” Version」まで。全8曲中7曲がライブ音源。トランス風味あり、強く生バンド色を出したものもあり、EDM全開のものもありと多種多様。そしてDISC3は2014〜2015年のライブツアー音源2曲にスタジオ盤「Get Wild 2015 -HUGE DATA-」の全3曲…にして収録時間60分近くという恐ろしい長さ(笑)。この辺りになると歌よりイントロ、間奏、アウトロのほうが圧倒的に長くてもう何の曲聴いてるんだか…という感覚に陥ってしまうのが正直なところ(苦笑)。

 残るDISC4は各種カバー音源。作詞を担当した小室みつ子版、小室のユニットglobe版、個人的にイチ推しなH ZETT Mによるインスト版などを収録。演奏形態はそれぞれ異なるものの、原曲や「〜'89」辺りを比較的尊重したアプローチの曲がほとんどで、TMのライブバージョンがいかに原型を留めず弄りまくりというのが却って浮き彫りになる形に(笑)。ラストの新規音源群にはTMN期に一時期関係のあった石野卓球によるリミックス、小室がavexとの関係を築くきっかけになった英語詞アルバム「TMN SONG MEETS DISCO STYLE」を手掛けていたDave Rodgersの手による新規リミックスなども収録。

 いちTMファンとしては、これらの音源よりも歌詞ブックレットの体裁でのTM三人への座談会的なインタビューが面白かったです。「Get Wild」にまつわる話がメインではありますが、30周年時の精力的な活動を終えての感想や、次にもしTMが動くとしたら?といった話題が彼ら自身の言葉で語られているのは読み応えがありました。
 発売直後にDISC3の収録曲にミスが発覚し回収騒動になるなど、意外な形でも話題になったからか、思ったよりもセールス的にも結果を出してしまった(笑)本作。コアなTMファンはまだまだ潜伏し続けているようです。先述の「CD Review Extra」でも書きましたが、TM史上初となるレーベル超えコンピが実現した今、これを足掛かりにいずれオールタイム・ベストを出せるようになれれば…と淡い期待を筆者は抱いております。

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