seiyasongselection 2016年8月24日発売、今年で漫画連載&アニメ放送開始30周年を迎えた車田正美のコミック「聖闘士星矢」を記念してリリースされたベストアルバム。2枚組全33曲収録。「2016年最新リマスタリング」の表記あり。

 連載元の「週刊少年ジャンプ」の看板作品でもあり、同年には早くもアニメが開始され、連載・放送終了後も根強い人気を誇り、派生作品を数多く生み出した本作。それだけに各媒体作品での主題歌なども数多く、実際過去に「主題歌&BEST」(2006年)、「SONG BEST」(2012年)という主題歌中心のベストも発売されており、今回は3度目のベストアルバム。各映像作品ごとの挿入歌集やサウンドトラックなどがそれぞれのレコード会社から数多くリリースされ、その中から選りすぐった30年間のベストオブベストに相応しい内容とボリュームに溢れた2枚組となりました。

 基本的に楽曲は時系列順。DISC 1は原作漫画のアニメ化として1986〜1989年に放送されたテレビシリーズ全114話で起用された主題歌や関連楽曲を主に収録。「星矢」の看板たるオープニングテーマ「ペガサス幻想」(MAKE-UP)を筆頭に、「永遠ブルー」(同上)「聖闘士神話」(影山ヒロノブ&BROADWAY)などの80年代アニソン王道の熱いテーマソングに加え、MAKE-UP、影山に加えて堀江美都子も参加した各劇中挿入歌もバッチリ収録。「氷原の貴公子」「ネビュラチェーン・兄弟の絆」(MAKE UP PROJECT)などの濃い目のキャラソンもセレクトされているあたりも嬉しいところです(笑)。歌詞の大半が英語という異色作品の劇場公開作品「真紅の少年伝説」のエンディングテーマ「YOU ARE MY REASON TO BE〜愛は瞳の中に〜」(当山ひとみ&OREN WATERS)や、主人公のペガサス星矢を演じる古谷徹自らが歌う「ペガサス幻想」(色々な意味で一聴の価値あり)などもピックアップされ、この1枚でテレビシリーズに関しては完全網羅されていると思います。

 DISC 2はテレビシリーズが終了、漫画連載も完結して時を経た1997年に企画されたドラマCD「1997〜少年記〜」からの楽曲を経て、2003年からOVA作品として展開された「冥王ハーデス編」の主題歌を完全収録。時代が移って楽曲の作風にも変化が起こり、従来路線の熱いテーマ曲もありますが、「地球ぎ」「君と同じ青空」(まつざわゆみ)といった穏やかな中にも芯を感じさせる作品が出色。中盤以降はさらに時代が下った2012〜2014年のテレビシリーズ「聖闘士星矢Ω」、2015年にWebアニメとして展開された「黄金魂-soul of gold-」の各派生作品の主題歌で締め。この辺りになると21世紀の類型的なアニソンとして「星矢」も現代的になったなぁ、という気がする中、サビ頭にアニメタイトルを持ってくるというスタイルの「新星Ω神話」(ROOT FIVE)のインパクトが抜きん出ている印象でした。

 全映像作品のうち、2014年公開のCG映画「Legend of Sanctuary」の主題歌のみが未収録(YOSHIKI絡みの音源未発売の曲なのが原因?)、その代わりにミュージカル風劇中歌「Mr.Deathmask」(平田広明)が収録されるというウルトラCには驚きましたが(笑)、とにもかくにも「星矢」ファン必聴のオールタイムベスト。また過去二作のベストでは明言されなかったリマスタリングも今回は気合が入っており、特に80年代作品の音の広がり・奥行きは文句ナシ。今年は30周年を祝うイベントもぼちぼち開催されているようですが、その一環として各作品を知っていればいるほど楽しめるベストアルバム。価格も2枚組で3,000円+税と安価ということもあり、お薦めです。