2016年10月

2016年10月30日 21:40

goingblue 2016年8月24日発売、約2年半ぶりとなるGOING UNDER GROUND通算11枚目のオリジナルアルバム。シングル「the band」を含む全10曲収録。

 昨年1月末でドラムスの河野丈洋が脱退し、メンバー三人となってからの初のオリジナルアルバム。メジャーデビューから2009年まで在籍していたビクターからの発売で、前作や近年発表のシングルはインディーズ流通だったため、久々のメジャー復帰作。プロデュースはバンド名義+サポートキーボードの橋口靖正の連名。クレジットには橋口とドラマーの冨田政彦が「Additional musician」として表記され、レコーディングはメンバー三人+橋口+冨田の5人のみで行われたようです。なお、四人時代の末期にシングルのカップリングとして発売され、アルバム未収録曲だった「スパイス」は新録での収録(Alternative Ver.)。

 「脱・青春」という路線を強調するようなアルバムタイトルの本作。既に四人時代からこういった作風の歌詞は多く見受けられたのですが、キーボードの伊藤洋一が脱退し、ポニーキャニオンに移籍した直後ぐらいの「無理やりにでも前へ!」と大きく舵を切っていた頃から年月を経て、本作では「青春が終わって友達とも別れて、それでも人生の旅は続いていくんだね」(要約)的な、葛藤の時期を越え、「Teenage last」「Driffting Drive」、そして「Soul train」に代表されるように、ようやく地に足を着けた楽曲が多いイメージ。
 アレンジ的には直球パンク調の「天使たち」、モータウン風の「45rpm」、全作品が松本素生の作詞曲である中、橋口が作曲に名を連ねている「天国の口、終わりの楽園」は珍しくベースラインが強調されていたりと、バンドの再出発にあたって落ち着くどころか攻めの姿勢を感じました。ドラムス以外にキーボードやプログラミングも担当していた河野が抜けた影響か、従来にあった上モノ系の音は鳴りを潜め、ギターを軸にしたロックバンド的なアプローチはメジャー初期を彷彿とさせ、CD帯の「2枚目の"ファーストアルバム"である」という煽り文も一回りして原点に立ち返った、という意味なのかも。

 「the band」はシングルとしてはちょっと弱いかな?と思いましたが、バンドの決意表明、というスタンスの楽曲として本作でラストに配置されたと捉えるならば、大きな扱いを受けるシングル表題曲として世に出したのは納得。一方でアルバムタイトル曲の「out of blue」が意図的であろうとはいえヨレヨレのチューニングで収録されたのは勘弁してくれ、と思いましたが(苦笑)、筆者としては「おやすみモンスター」以降では一番気に入ったアルバムになりました。メジャー作品なので大きなレンタル屋では目にしますし(前作は探すの大変だったんですよ・笑)、新生ゴーイングの新たな出だしとしては上々のアルバムだと思います。

2016年10月23日 13:49

hztpianocraze 2016年9月7日発売、ピアノ+ベース+ドラムスで構成されるスリーピース・インストゥルメンタルバンド、H ZETTRIOの3rdオリジナルアルバム。「EXCITING FLIGHT盤」「DYNAMIC FLIGHT盤」の2種形態で発売され、今年2月から6月にかけて配信されたシングル8曲を含む本編12曲は共通、ボーナストラックの13曲目が異なる仕様。本エントリーのレビューは「EXCITING FLIGHT盤」となります。

 2013年末にCDデビューを果たしたH ZETTRIO。メンバーはH ZETT M(ピアノ)、H ZETT NIRE(ベース)、H ZETT KOU(ドラムス)の三名。以前から活動歴のあるH ZETT Mは、設定上はそうではないと否定しているものの(笑)、元PE'Zのヒイズミマサユ機であり元東京事変のH是都Mと同一人物。そしてこれもインタビューなどでは否定されてはいますが(苦笑)、このバンドのメンバー全員が元PE'Z。そんな彼らが配信シングルとして今年3月にリリースした「晴天 -Hale Sola-」が、PE'Zの「Hale no sola sita 〜LA YELLOW SAMBA〜」のカバーとして発表され、本作に収録されていたことから興味を持ち、今回初めて彼らの作品を手に取ってみることにしました。

 既配信曲と新曲で構成された本作、前半はタイトル曲「PIANO CRAZE」を筆頭に、ジャズ的要素を根底にとにかくパワフルなピアノロックが炸裂。元々AZ YOU LIKE(東野純直のトリオ編成)、風味堂、そして→Pia-no-jaC←などの、ギターレスのピアノトリオ編成を好んでよく聴いていたということもあり、筆者のストライクゾーンにドンピシャ。4曲目に収録された先述の「晴天 -Hale Sola-」も、原曲のホーン+ピアノのダブル主役からピアノトリオでカバーするにあたって、ピアノのみらずベースでメロディーを弾くなどの見せ場も作られ、PE'Zのオリジナルを尊重しながらもトリオならではのアプローチで満足の出来。
 ただ、このまま最後まで全力で突っ走られると正直聴く側としては辛いな…と思い始めた辺りの6曲目の「Den-en」以降、終盤にかけては、メロウな楽曲を中心に取り揃え。「ダイナミックにとろけて」ではシンセのブーストっぽい音を使ったり、「MESHI -episode 2-」では途中でラップが登場したり(このラップ、クールな曲とはミスマッチだと思うのですが・笑)と、リスナーを飽きさせない工夫を凝らしつつ、ディズニーライクなマーチ風の「夢と希望のパレード」では賑やかに、本編ラストの「Wonderful Flight」ではアグレッシブに締めと、適度なバリエーションで最後まで楽しませてくれます。ボーナストラックの「炎のランニング」はメンバー各自の一大セッション大会の様相で、アンコール的なポジション。この位置での配置は納得。

 ピアノトリオのバンドは、音色も含めて多彩な表現ができるギター不在の中で如何にバリエーションを作っていくか、という点で、どのバンドも苦心しているようなイメージがあり、彼らもその見えない壁と戦っているような気がします。その成果が本作には表れているのではないでしょうか。現時点では未聴の以前の作品にも興味が沸いてきました。ピアノサウンドが主役のインスト好きの方にお薦めしたい作品です。

2016年10月16日 21:42

nanasetreasure 2015年10月28日発売、デビュー20周年を記念してリリースされた、相川七瀬のキャリア初となるカバーアルバム。全10曲収録。初回限定盤はスリーブケース仕様。

 1995年のデビューから2000年までの彼女のトータルプロデュースを務めた織田哲郎。そんな彼の本人名義の楽曲や、作家として他アーティストに提供した作品をカバーしたのが本作。織田自身は歌詞ブックレットに相川とのツーショット写真が1枚、巻末クレジットに「Very Special Thanks to〜」として名前が記載されているのみで、今回の作品の制作には直接関わっていないようですが、発売直後の相川七瀬のインタビューではアレンジに関して提言をしていたことが彼女の口から語られるなど、間接的には絡んではいるようです。

 選ばれた楽曲は1991〜1995年まで、相川のデビュー直前までに織田が発表してきた作品の中からのセレクト。この時期は彼のビーイング在籍時にあたり、本人名義の「いつまでも変わらぬ愛を」、近藤房之助&織田哲郎名義の「BOMBER GIRL」を除くと8曲中5曲が当時所属のビーイング系のアーティストに提供した楽曲で占められています。また、ゲストボーカルとしてつるの剛士、SHOW-YAの寺田恵子、杏子、中村あゆみが招かれている他、コーラスとしてビーイング関係者である大黒摩季、宇徳敬子、元WANDSの柴崎浩、元the FIELD OF VIEWの浅岡雄也もクレジット。宇徳以外は自身と関わりのある楽曲のコーラスに主に参加。ギタリストの柴崎がギター演奏ではなくコーラスで参加する、というのは少々驚きましたが、アレンジ、演奏自体は当時のビーイングとは関わりのないメンバーで制作されています。

 さて、リアレンジされた楽曲の感想なのですが、上記のインタビューにもありますが、「相川七瀬の良さってものは、パンチがあるっていうこと」という織田のアドバイスに従って、どの曲もエレキギターがバリバリに鳴り、ドラムが隙間を埋めるように響く、ラウドなロックサウンドが炸裂。「チョット」「Precious Summer」など、元々アッパーな曲に関してはコード進行を一部変更するなどして現代的によりビルドアップ、という感想ですが、「碧いうさぎ」「君がいたから」「翼を広げて」などのミディアム〜バラード系の曲でも歌詞に寄り添う気配はほとんどナシで(苦笑)、良くも悪くも「相川七瀬のセールス全盛期のイメージ通り」の仕上がり。これらの原曲のイメージに思い入れがあるリスナーは正直戸惑うと思います。筆者も一聴してちょっとギョッとした曲もあったのですが(笑)、相川七瀬が織田哲郎作品のカバーをする意味、というものを考えて構築した世界、これはこれでアリかな、とも思いました。

 せっかくならば久々に織田哲郎プロデュースの新曲でも1曲ぐらい…とも思いましたが、既に独り立ちを果たし、自分の足で歩き続けている彼女ですから、敢えてそうしなかったのかもしれません。本作、特にサウンド面では賛否両論あるとは思いますが、結構面白いアルバムでした。

2016年10月11日 22:19

keizo25 2016年9月7日発売、中西圭三のデビュー25周年を記念してリリースされた2枚組ベストアルバム。全30曲をリマスターして収録。初回限定盤には初商品化となる全11曲のMVを収録したDVDが付属。本エントリーは通常盤のレビューとなります。

 1991年にデビューし、90年代に男性ポップスシンガーとして活躍、その後は提供作家として地道に活動を続ける中西圭三。ベストアルバム自体はこれまでにシングルコレクション2作、セルフセレクション1作、レーベル主導と思わしきベストが2作と、既に5作がリリースされていますが、本作は彼の25年間の活動をレーベルの垣根を越えて選曲し、基本的に時系列順に並べられたオールタイム・ベスト。各ディスクのラストには新曲が収録されています。なお、これまで彼の作品はパイオニア、ユニバーサル、VAPなどからリリースしてきましたが、今回は今まで個人名義としては一度も関わりのなかったワーナーミュージックからの発売となっています。

 Disc1はデビューから1995年までの楽曲を収録。出世曲「Woman」、代表曲「Ticket To Paradise」「You And I」「眠れぬ想い」「非情階段」など、小西貴雄とタッグを組んでいた活動全盛期の楽曲がズラリ。ダンスビートを基調にしたこの頃が今でも中西のパブリックイメージであると思われますが、「Kiss,Merry X'mas」以降、佐橋佳幸をアレンジャーとして迎え、「SO BAD」などのアコギを前面に押し出した時期の楽曲も収録。この路線、当時はちょっと馴染めなかったのですが、今聴くとこの時期の楽曲も改めて良さを感じられました。

 Disc2は1996年から現在に至るまでのセレクション。小田和正をアレンジャー&コーラスとして迎えた「次の夢」、大御所シンガー、ピーボ・ブライソンとのデュエット「What I Do For Love」、ブレイク前のゴスペラーズをゲストに招いた「WITH」など、コラボレートやバラードシンガー的な側面が目立ってきた時期から、「Choo Choo Train」「タイミング」「ぼよよん行進曲」という提供曲のセルフカバー、AOR要素満載の「Twilight Stream」、死別を歌ったバラード「風雅」など、多種多様な楽曲が選ばれています。後半はリリース時期が飛び飛びになっていることもあり、Disc1ほどの統一感は感じられませんが、彼自身が作詞を手掛けた活動後期の曲も多く含まれており、詞曲を手掛けるソングライターとしての手腕も大いに感じられる内容になっています。

 新曲は全部で3曲。「Goods for you.」「美しい唄」はこれぞ往年の中西節の美メロバラード。「千年の誓い」はケツメイシのRYOをフィーチャリングしたEDMナンバーで現代の音楽シーンに寄せた作品と、ある意味両極端の楽曲を配置。だいぶ待たされた(苦笑)新曲ですが、どの曲も好印象の仕上がりでした。

 欲を言えば車のCMソングに起用された「Precious Love」や、「MUST BE HEAVEN」「HIGHER SELF」などのドラマ関連のシングル曲、現時点での最新アルバム「I'm home」からも選曲して欲しかったところですが、それを言い出すとキリがないので省略(笑)。2000年代突入以降はリリースペースが極端に落ち、かつてのように音楽シーンに頻繁に顔を出す機会も減ってしまいましたが、相変わらずのソウルな歌声やメロディーメイカーぶりの健在を堪能できる、お薦めベストアルバムです。

2016年10月02日 23:43

yokohama1998 横浜DeNAベイスターズ、祝・球団史上初のセントラルリーグ・クライマックスシリーズ出場!!長年ベイスターズファンをやっている筆者にとっても2016年シーズンは忘れられない年になりそうです。というわけで(?)今回の「今週の1枚」は番外中の番外編。今から遡ること18年前、ベイスターズが(現時点では最後の)日本一を決めた1998年末、12月2日にリリースの「'98 日本シリーズ優勝記念オフィシャルCD」と銘打たれた、「VIVA!横浜ベイスターズ」をご紹介。

 横浜大洋ホエールズから横浜ベイスターズに球団名を変更して6年目のシーズンを迎えた1998年、数年前から若手生え抜きの戦力がチームを牽引するようになり、バッテリーチーフコーチを経てこの年より監督に就任した権藤博のもと、「マシンガン打線」と「大魔神」の活躍で38年ぶりのリーグ優勝、続く日本シリーズでは西武ライオンズを4勝2敗で下し、本拠地横浜スタジアムで日本一を決めた…というベイスターズ球団史において最高の輝きを放った一年でありました。
 そんな「横浜ブーム」に沸いたこの年、関連商品も数々リリースされたのですが、本作はセ・リーグ優勝記念として選手別応援歌に実況をプラスした「VIVA!YOKOHAMA」に続いての日本一記念盤。なんと日本シリーズ全6戦のニッポン放送でのラジオ実況中継ダイジェストを収録するという驚きの内容(笑)。プロ野球選手が歌を歌ってCDリリース、というのはかつてはシーズンオフでそれなりに見られたのですが、本作のような「試合の中継実況録音」がメインのCD、というのはなかなかないケースだったと思います。正直、この企画よく通ったな…と当時思いましたし(苦笑)。

 さてそんなこんなでようやく本編解説。まずオープニングは現在でも一部歌詞とアレンジを変えて球団歌として受け継がれている「熱き星たちよ」のオリジナルバージョン。ボーカルは個人的には「勇者シリーズ」での熱唱が思い出深い高尾直樹が担当。以降は日本シリーズ第1〜6戦までのダイジェストとなりますが、「完封!炎の連勝」とか、「西武の反撃」とか、「マシンガン打線沈黙」とか、1戦1戦ごとにサブタイトルが付けてあるのが心憎い演出。ダイジェスト部分は主に試合開始直後、得点シーン、最終回の攻防を中心に各4〜5分程度にまとめられていますが、横浜の得点シーンのみならず、西武の得点シーンや、横浜が守備のエラーで失点するシーンなどもピンポイントで挿入されており、「野球の試合を聞いてる」という感覚で聴き進めることができる構成になっています。

 第6戦のサブタイトル「38年ぶり再び頂点へ」で大魔神・佐々木主浩投手が最後のバッターを併殺で打ち取り日本一を勝ち取った瞬間を追体験した後は、既に94年に解散していたアイドルグループ・CoCoが歌うベイスターズ公式応援歌「WINNING」。現在でもアンオフィシャルながら球場での応援団の演奏に使われています。そしてボーナストラックとして1960年の初優勝時の実況をリメイクした「'60 日本シリーズ"V"実況」というオールドファン垂涎の企画を経て、ラストは日浦孝則(元class)が作曲&ボーカルの壮大なバラード「勝利の輝き」でフィナーレ的にまとめられています。

 あれから18年、その後のベイスターズの歴史は聞くも涙語るも涙…という暗黒低迷期になってしまった、という経緯は調べていただくとして、親会社が変わり、横浜DeNAベイスターズにチーム名が変わって5年目にあたる今年、ようやく11年ぶりのAクラス(3位)でシーズン終了、9年前から導入された、Aクラスチームによるポストシーズン「クライマックスシリーズ」に初出場を果たすという快挙(?)を遂げ、今週末より東京ドームにて読売ジャイアンツと戦います。現在、本作発売時に在籍していた選手は三浦大輔投手ただ一人、その三浦も先日引退を表明し、シーズン最終戦でユニフォームを脱ぎました。もう「98年を知るV戦士」は誰もいなくなってしまったという一抹の寂しさと、これからは筒香嘉智ら新しい世代でチームを盛り立てていって欲しいという期待、加えて何となく現在のチームの雰囲気が、かつて石井琢朗や鈴木尚典が台頭してきた96年ぐらいの状況に似ていると感じたりと、色々な感情が渦巻く10月のポストシーズン、ひと試合でも多くファンを楽しませてくれるように願います。

 …というわけで熱く書いてしまいましたが(?)、次週からはまた通常運転に戻りますので、今後とも本ブログをよろしくお願いいたします(笑)。

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