2014年11月

2014年11月29日 18:55

GOINGMONSTER 約半年ぶりの、そして今回で2014年分は終わりそうな(苦笑)「今週の1枚」。ご紹介するのは年末にビクター在籍時のオリジナルアルバム+αを紙ジャケジャケット仕様にしてボックスに収めた、その名も「THE BOX」をリリースするGOING UNDER GROUNDの「おやすみモンスター」。

 GOING UNDER GROUND(以下「ゴーイング」)は、埼玉県桶川市出身の五人組ロックバンド。いきなり余談になりますが、筆者の生まれ育った市の隣に住み、ほぼ同年代の彼らとは当然面識はありませんが妙に親近感があります(笑)。インディーズ活動を経て、メジャーデビューを果たしたのが2001年。音楽ファンに認知度を広げたのが2003年のシングル「トワイライト」と、同年の3枚目のアルバム「ハートビート」。その後も「STAND BY ME」や「VISTA」などの、ポップなメロディーにセンチメンタルな歌詞を乗せた楽曲をスマッシュヒットさせ、2006年にはベスト盤リリースと武道館ライブを敢行。今回ピックアップの「おやすみモンスター」はその翌年、2007年11月7日に発売されたメジャー通算6枚目のオリジナルアルバムとなります。

 前年まで順調に活動を積み重ねてきた彼らですが、当時のインタビューなどで触れられているように、本作の完成に至るまでにはかなりの試行錯誤を繰り返したとのこと。音楽活動がルーチンワークと化して惰性に陥りそうになる寸前のところをリセットした、というのが真意なのだと思いますが、そう言われて歌詞カードに目を落とすと確かに、従来の「青春」「純愛」「センチメンタル」など、世間一般的にゴーイングがよく評されるキーワードからもう一歩踏み込んで、「自分の中の自分」と向かい合い、従来の枠から飛び出そうともがく歌詞が目に付きます。
 歌詞のフレーズを引用すると、「生きてくってことは 誰かを踏みつけて(「PLANET」)」、「青春ごっこも終わりを告げて(「暗夜行路」)」、「嫌いな奴らもきっと誰かの愛しい人(「モンスター」)」、「傷だらけの世界は 僕ら生きて来た証明(「さかさまワールド」)」等々、今までのロマンチックでどこか絵空事っぽさも感じられた表現と異なる、やけに内省的で生々しいフレーズが散見されます。これらはメインライターである松本素生が壁にぶつかり、自分と対峙して紡ぎ出した「生きた言葉」なのでしょう。それだけにリアルだし、心に引っ掛かる表現が多く、リスナーにもより響く歌詞となったのではないでしょうか。

 歌詞に内省的なフレーズが増えた一方、収録された楽曲のメロディーラインはどの曲もポピュラリティーを含んだものが多いのも本作のポイント。過去のアルバムではインストや実験的な路線をバンド内に持ち込むことの多い河野丈洋の単独作品が1曲だけということもありますが、歌詞のどんより具合(笑)を程よく中和するとびきりポップなメロディーが全編にわたって展開。「TRAIN」「PLANET」などが特に顕著でしょうか。
 また、アレンジに関してはメジャーデビュー当時を彷彿とさせる、エレキギターを前面に押し出したロックサウンドで統一。といっても当時の模倣、というわけではなく、ここに至るまでの数枚のアルバムなどで試みられていた打ち込みサウンドを大々的に取り入れた「TWISTER」や、レゲエ的アプローチを楽曲内に盛り込んだ「海にまつわるエピソード」、さらにはお遊び楽曲「ナカザのロック★」のようなナンバーも中盤に登場するなど、これまでの音楽性を吸収した上で原点に戻った感があります。

 シリアスな歌詞+親しみやすいメロディー+今までの集大成的なアレンジで聴き進めていき、河野の手による純バラードの「愛のうた」を経て、この年一発目にして超王道シングル「胸いっぱい」に辿り着く頃には歌詞のまんまではありますが「お腹いっぱい」(笑)。そんな満腹状態を優しくクールダウンするのがラストのメンバー全員参加のアカペラ「おやすみ」…という具合に余韻に浸りつつ幕を閉じる本作。なお、「おやすみ」は初回盤のみに収録されているボーナストラックなのですが、この曲が無いとジョギングの後の整理体操を怠った翌日のような状態になること必至なので(なんつう喩えだ^^;)このアルバムを手に取る際には是非とも初回盤をお薦めいたします。通常盤のほうが実は枚数が出ていないと思いますし…(汗)。

 本作リリースから既に7年。その間、キーボードの伊藤洋一の脱退、松本、河野がソロ活動を開始、レコード会社移籍、他アーティストへの楽曲提供などのコラボ活動、インディーズレーベルへの移行、そして来年1月末のライブツアーファイナルをもって河野の脱退が決まっているなど、本人達にとってもファンにとっても激動の時代が過ぎていきました。「おやすみモンスター」以降、何枚もオリジナルアルバムをリリースしている彼らですが、近年の路線変更もあって、個人的には本作を超えるアルバムは今のところ残念ながら登場しなかった、というのが正直なところ。来年2月以降、三人体制となるゴーイングの新たな歩みに光明がありますことを願います。

2014年11月24日 12:25

deenclips20082013 2014年10月1日発売、DEENのVIDEO CLIP集。Blu-ray盤とDVD盤で同日にそれぞれ発売されましたが、内容は同一の全13曲+特典映像を収録。初回仕様にはケースの上にスリーブパッケージが付属。本エントリーではBlu-ray盤のレビューとなります。

 DEENの歴代のPVを収める映像作品集「THE GREATEST CLIPS」シリーズ。デビュー10周年の際に「1993-1998」「1998-2002」がVHS/DVDで、15周年の際のベストアルバムの特典DVDとして「2003-2007」がリリースされており、今回はシリーズ第4弾。パッケージのアートワークなどは従来のシリーズを踏襲していますが、DVDのみならずBlu-rayで発売されるのは本作が初めて。

 本編の収録内容は2008年の「永遠の明日」から2013年の「もう泣かないで」までの全9曲のシングルタイトル曲のPVを発売順に並べた「SINGLE CLIPS」、アルバム収録曲4曲のPVを収めた「OTHER CLIPS」。以上13曲中、既に各作品の初回盤映像特典として商品化されているのは8曲で、初商品化されたのは「coconuts」「心から君が好き」「もう泣かないで」「卒業」「神の雫」の5曲のみ。既出のDVD映像では大き目のテレビで視聴すると引き伸ばしっぽくなってしまっていたPVが、Blu-ray規格になったことで滑らかに見えるようになったという利点はあると思います。
 またPVの内容ですが、純粋にメンバーの演奏を収めたものよりも、俳優などのゲストを招いて華やか&賑やかに画面を彩る作品が多く、石原さとみ、水野美紀、ジロー・ラモ、マイケル富岡、川崎希、吉田沙保里など、DEENとどこでどんな繋がりが?!と思えるような(笑)面々が楽曲に華を添え、各作品ごとに楽しめる内容になっていると思います…が、もっとメンバーの映っている姿を見たい!というファンには彼らの出番が少なく(特に池森以外)物足りなさも感じてしまうかもしれません。

 特典映像は「LOOKIN' FOR THE NEXT STAGE -DEEN in New York-」と、2008年以降のTV SPOT。前者は「DEEN NEXT STAGE」の初回盤DVDに収録されていたメイキングを再収録。これは別にレア映像でもないので(苦笑)どうせならこれを入れる代わりにVTR撮影はしているもののカットされたBreak15や18の未発表ライブ映像でも入れてくれれば…と思ってしまいました。後者のTV SPOTはCSなどで流れたものだと思われますが、「DEENAGE MEMORY」のSPOTがなかったのは意外。余談ですが、15周年以降、BMG→アリオラ→EPICと、この5年間でレーベルが内部移動しまくりの中、「DEEN」のロゴマークはずっと不変。デビュー期を除いてロゴは作品ごとに変わっていた印象があったので、現在のロゴはかなりの長寿。よほどお気に入りなのでしょうか…などとSPOT映像を見ながら思いました(笑)。

 既発映像が多い&メイキング再録など、今まで彼らの作品の初回盤を買い続けてきたファンにとっては価格も含めて残念な部分もある本作。既発のものに関しては例えばオーディオコメンタリーを収録したりなどの工夫がほしかったところ。今後もこのシリーズは続くと思いますが、こういった点は是非改善していってもらいたいものです。

2014年11月15日 21:04

xjapanbest 2014年6月17日発売、発売元のワーナーのHP等で「初の全世界ベスト」と冠されたX JAPANのベストアルバム。Disc1には歴代の代表曲をセレクト+αの全11曲、Disc2には1993年にリリースされた30分近い組曲「ART OF LIFE」を収録のCD2枚組。更に初回限定盤には「ワールドツアーライブ映像によるWorld Tour Trailer」を収録したDVDが付属。

 オリジナルアルバムよりもベスト関連の点数のほうが多いX JAPANですが、2007年の再結成後初のCDアイテムはまたまたベスト…(苦笑)。それでもこれ以前のベスト盤は2001年の「X JAPAN BEST 〜FAN'S SELECTION〜」以来13年振り。とは言っても発表したオリジナル楽曲の絶対数が少ないということもあり、今回もまた看板楽曲が中心のセレクションという結果に。他のベストと異なる点を挙げるとすれば、最大ヒットの「Tears」や、「Say Anything」「CRUCIFY MY LOVE」を未収録にしバラードの配分を減らした点、そしてライブ音源とはいえ新曲「Without You」を収録している辺りでまあ何とか差別化は図れているかな?と思います。

 そんなわけで久々に通して聴く彼らのアルバム。オリジナルアルバムは一通り聴いてはいますがコアなファンとは言い難い筆者の言うことなのですが、やはり素直に良い曲が揃っているな、と感じられました。「Silent Jealousy」「Rusty Nail」「DAHLIA」のようなハイスピードナンバーも、「ENDLESS RAIN」や「Forever Love」といったバラードも様式美の極みといったきらいはあるものの、それでこそX!とでも言いましょうか(笑)。また、音源のほうは最新リマスタリングにて収録ということで、さすがに音質は良好。といっても筆者手持ちの1993年発売の「X SINGLES」(最近リマスター盤が発売されたそうです)が比較対象なので当然といえば当然なのですが(笑)、本作では各楽器の分離も良くなり、音圧も上げすぎずに適度なレベルで調整されていて好印象でした。

 先述の「FAN'S SELECTION」が入手困難になってしまっている今、ライト層が入り口として手にするオールタイムベストとしては現時点で最適な1枚。それでもやはりコアなファンには「再結成してからもう7年、いい加減新作オリジナルアルバムを…!」というのが切実な願いだと思いますし、筆者もそういう経験をTM NETWORKで散々味わってきたので(苦笑)、そろそろ善処をお願いしたいところですね^^;。

2014年11月09日 14:08

SPARKPLUG 2014年9月3日発売、CRAZY KEN BANDの通算15枚目のオリジナルアルバム。シングル「スパークだ!」を含む全19曲収録。初回限定盤には昨年末に行われたイベント「箱根ヨコワケハンサムワールド」のダイジェストDVDが付属とのこと。

 アルバムタイトルは自動車部品の名称。そんなタイトルを反映してか、本作では自動車の商品名をそのままタイトルにした「2CV」や、ストーリーの展開で登場する「モータータウン・スイート」、そして「ドライヴ!ドライヴ!ドライヴ!」など、車をモチーフにした内容の歌詞の曲が多数。まあ元々彼らの曲の詞は自動車、ご当地、情事の三点セットというのが定番なのですが(笑)今回はアルバムジャケットやブックレットも徹底して自動車ネタで飾られていて、ある意味コンセプトアルバムのような印象。

 楽曲・アレンジ面では、昨年発売されたコンピ盤「middle & mellow of Crazy Ken Band 2」からの流れを連想されるメロウな作品が目立つのが特徴。1曲目の「ドライヴ!〜」に「GT」みたいなスピード感を期待してCDを再生すると意表を突かれるのをはじめ、「ハートブレイクBBQ」「あせだく」などインパクトがあるタイトルに反してミディアムなお洒落ナンバーだったりします(笑)。「というわけで」「もうねぇ」「世界、西原商会の世界!」などのアッパーな曲もありますが、従来のCKBに見られるかっ飛ばし感からテンションをやや低めに落とした雰囲気で、彼らのアピールポイントのひとつでもあった「昭和歌謡感」を意図的に排した感があります。
 これは前々作「ITALIAN GARDEN」辺りから感じていたのですが、本作ではいよいよそれが本格的になったかな、と。とはいえそれは決して悪いことではなく、むしろ「middle & mellow〜」で意外とCKBのこういう面が好きだったんだ、と再確認させられた筆者にとっては、近年のオリジナルアルバムの中では一番良かったかも、と思いました。ただし、アイキャッチ代わりのしりとりで3トラックも使われているのはさすがに蛇足だと思いましたが…(苦笑)。

 以上のように、全体的にかなり落ち着いた雰囲気。「タイガー&ドラゴン」や「香港グランプリ」のような中毒性のある曲がないので、そちらの路線を期待しているファンにとっては肩透かしな内容かもしれません。逆にミドル&メロウやAOR的な演奏を好むリスナー層へ向けて、新たなイメージをアピールしているのかな?とも思った1枚でした。

2014年11月02日 20:47

PIKAPIKA 2014年7月9日発売、きゃりーぱみゅぱみゅの3作目のオリジナルアルバム。シングル「もったいないとらんど」「ゆめのはじまりんりん -album mix-」「ファミリーパーティー -album mix-」、限定生産シングル「きらきらキラー」を含む全12曲収録。初回限定盤は二種類あり、それぞれ映像内容の違うDVDが付属しているとのこと。

 基本的な路線、構成は過去二枚のオリジナルアルバムと同様。1曲目がインストで、2曲目からいつものきゃりー節(?)が間断なく配置され、ラストで大団円っぽい歌詞の曲を持ってくる…という、まあこれは予想通りと言いますか。ブッ飛び気味の曲も特に見当たらず、本作はかなり盤石に来たな〜、という印象です。サウンドの方は中田ヤスタカらしいテクノポップですが、音遣いとしては可愛らしく、あまりバキバキした曲もなく、テクノ色はやや薄めなので、同じような曲調の曲が並んでいますが、コンポのスピーカーから聴く分には聴き疲れのしない音のバランスかな、という気がしました。

 …そして、彼女の曲のレビューを書く時に毎回言及している(笑)歌詞なのですが、今回は「ゆめのはじまりんりん」や「すんごいオーラ」のような、比較的(あくまで、彼女の作品の基準で、という意味ですが)情景を切り取ったような曲も数曲登場しており、歌詞の面に関しては少し変化が訪れはじめたかな、と。前作同様、1曲CAPSULEのカバーも収録されている(「do do pi do」)のですが、浮きまくりだった前作の「Super Scooter Happy」と異なり、アルバムの中の1曲として馴染んでいる辺りは、他の作品の歌詞とのバランスが取れはじめてきたのかも、と思います。一方で、いかにもやっつけっぽい「こいこいこい」のような歌詞の曲もあるわけですが(笑)こういう電波っぽい曲は二十歳を過ぎた彼女にはちょっと歌わせるのも辛くなってきているような気もします…^^;。

 前作、前々作と比べると、何だコレ?というインパクトは薄め。今回は攻めより足元を固めにいったという姿勢での作品かな、と思います。ただ、先述の通り歌詞にやや変化が見られてきたので、次作以降彼女(と中田ヤスタカ)がどのような攻勢をかけてくるかが楽しみ半分・不安半分(笑)でもあるアルバムでした。

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