
「弾き語りばったり」はバンドライブツアーと交互して2005年より定期的に行われている単身弾き語りツアー。今回は「#19」とありますが、素数を好むKANの意向で「#1」「#2」(2005)「#3」「#5」(2006)「#7」(2008)「#11」(2009)「#13」(2010〜11)「#17」(2012〜13)とナンバリングを飛ばして今回は9ツアー目の開催。こういうことに拘るのが彼らしいといえばらしいですが(笑)、2008年に「#7」の公演がライブCDとして発売されており、本作は久し振りに発売された通算2作目のライブアルバムということになります。1作目は開催された全会場からのライブ音源で構成されていたのに対し、今回は全28公演行われた中から、北海道、愛媛、香川、福井、福島の五会場からのライブ音源を選りすぐって収録。曲順は各会場共通のセットリスト通りとなっているようです。
選曲は元々弾き語りを前提としたイメージの「世界でいちばん好きな人」「東京ライフ」「君が好き胸が痛い」などに混じって、最初期の作品で本人が作詞を手掛けていない「GOOD NIGHT」、90年代中盤の作品からは弾き語りでこれやるんだ、と思わせた(笑)「ひざまくら」など、結構変化球もあり。中でもツアー中に発売されたシングル「桜ナイトフィーバー」はオリジナル音源のディスコ風から一転、哀愁漂うピアノバージョンとして演奏され、この曲こういう表現方法もあったのか!と驚かされた次第。また中盤ではビリー・ジョエルの「Laura」、秦基博の「アイ」のカバーも披露されていますが、違和感なく完全にKANのステージの中に溶け込んでいる印象です。弾き語りという形ながら「よければ一緒に」「愛は勝つ」が登場する終盤ではバンドツアー同様オーディエンスが盛り上がっている様子も感じ取れました。
本作はライブ演奏に特化しており、彼特有のフザけた(褒めてます・笑)MCはまったく収録されていませんが、ベストテイクを選りすぐったこともあり、前作よりも演奏のクオリティも高く、やはりKANはピアノ上手いな〜、と改めて認識した1枚。ライブアルバムなのでコアファン向けの要素もありますが、ベストを聴いたぐらいのKANライトリスナーにもお薦めできる作品だと思いました。
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