deenbutterfly 2016年6月1日発売、「Summer Special Album」と銘打たれたDEENの企画アルバム。全11曲収録。CDに加えて初回生産限定盤Aには昨年夏のライブツアー公演を収録のBlu-ray、初回生産限定盤Bには今年春のビルボード公演を収録のライブCDがそれぞれ付属。今回ご紹介するのは初回生産限定盤Aとなります。

 夏をテーマにしたコンセプトアルバムは2010年の「クロール」以来。それ以前にも四季をテーマに展開したマキシシングル「classics」シリーズもありましたが、本作はこれまでの「夏=アコギで爽やかリゾート気分」的な路線から外れ、スカバンドSKAFF-LINKSのメンバーをレコーディングに招いての「DEEN de SKA!」とのことで、DEENにとって初めての取り組みとなるスカサウンドに挑戦。普段はライブメンバーと共にレコーディングを行う彼らですが、今回はSKAFF-LINKSがアレンジも含めて全面的にフィーチャリングされ、トランペットやトロンボーン、各種サックスがほとんどの曲で大活躍するという、通常のアルバムとは完全に雰囲気が異なるサウンドが新鮮です。

 本作の目玉はDEENの代表曲3曲、著名カバー2曲のスカアレンジによる新録音。前者は「ひとりじゃない」「Smile Blue」がSKA Style名義で大胆にアレンジ変更、「coconuts」はfeat.butterflyとクレジットされ原曲の引用部分と一部歌詞が変更のマイナーチェンジ。後者は「真夏の夜の夢」(松任谷由実)は比較的原曲に沿ってスカ風味に、「風になりたい」(THE BOOM)はかなりテンポを落としたビートでリアレンジされるなど、様々なタイプでのアプローチが展開。これらと比較するとオリジナルの新曲6曲は小粒な点が否めませんが、久々のAOR風ミディアム「アマルフィ」や田川伸治、上海…ではなく(笑)山根公路の各ソロ、近年のアルバムの締めでは定番の王道バラード「ひまわり」などを取り揃えた盤石の内容でファンも納得の構成ではないでしょうか。「クロール」は避暑地でまったり聴きたい雰囲気でしたが、本作は晴天の海岸沿いをドライブがてら聴いてみたい作品ですね。

 Blu-rayは昨年8〜9月にかけて開催されたライブツアー、DEEN LIVE JOY-Break 19 〜全開恋心!!〜の開幕公演となったZepp Tokyoでの2Daysの2日目、8月29日の模様を全曲ノーカットで収録。初日に観に行った筆者の感想はこちら(収録日とは日替わり楽曲に違いがあり)。当時の最新アルバム「全開恋心!! 〜Missing You〜」から全曲+シングルカップリング曲をフルコーラスで演奏することに重きを置き、定番曲やアコースティックコーナーでの楽曲が日替わり、あるいはメドレーなどで簡略化されるなど、レコ発ライブに相応しい内容で、MCはおろかエンディング部分もほぼカットされてしまったのが残念ではありますが、従来のマンネリを打破する意欲も感じられ、コアなファンほど嬉しい内容。記録映像を残す、という意味でも、これからも最低限、ニューアルバムを引っ提げたツアーではこれぐらい新作を全面に押し出して欲しいものです(苦笑)。