2008年07月

2008年07月30日 22:06

liveburn 2008年5月21日発売。今年の1月に渋谷C.C.レモンホールで行われた風味堂初のホールツアー「〜HOT LOVE SONG〜」のファイナル公演を収録したライブDVD+ライブCD。初回盤のみ新曲「ファイト」を収録したCDが同梱。

 今までシングルやアルバムの特典でライブの模様が数曲ずつ収録されたDVDやCDはあったのですが、ライブ一公演を完全収録したDVDは今回が初めて。風味堂というと「スリーピースのピアノロックバンド」というイメージが強いと思いますが、今回のステージではサポートにキーボードとパーカッションを従えた五人編成になっています。まあ、CDでも音に関しては「三人である」ということをあまり強調していない曲も多いし、以前はホーン隊とツアーを廻っていたこともある彼らなんで、音楽的にも違和感はなく観る&聴けました。
 選曲は、メジャーデビューしてからの曲が中心で、最新のアルバム「風味堂3」からの曲が割と多め、というように「今」の風味堂をパッケージした感じですね。今までのシングル曲も多く演奏されていて、ベスト的な構成になっています。

 ライブDVDでは公演が完全収録ですが、ライブCDでは収録時間の関係で何曲か削られています。まあこれは仕方ない・・・というか、同じ内容のDVDとCDが付くっていうのはある意味画期的な気がしますね。DVDは自宅で、CDは外でなど、用途に合わせて楽しめる豪華(?)パック。これで3,900円というのは安いです。この辺を参考価格にして、他のアーティストの皆さんもこういう形態でライブアルバムを出してくれたら嬉しいなぁ。

2008年07月27日 21:40

tookunotomodachihe 「今週の1枚」も30回目を迎えました。ものぐさな筆者が週イチで1カテゴリーを定期的に更新しているという事実に自分でも驚いています(苦笑)。さて、前口上はこのぐらいにして、今週ピックアップする一枚は、今西太一のサードアルバム、「遠くの友達へ〜END OF MY INNOCENCE〜」。

 「今西太一って誰?」という声も少なからずあると思うので、ここで軽く前歴をご紹介。その昔、バーモントカレーのCMソングを唄っていた人らしいです(筆者もその辺りはよく知らない^^;)。1994年にメジャーデビュー。その年のうちにアルバムを2枚リリースするも、しばらく活動が停滞し、今回ご紹介のアルバムが発売されたのは1999年2月24日。デビュー当時の作品群では、打ち込みロックサウンドに、激しいシャウトを込めて歌い上げる系の、ある意味熱い(暑い?)楽曲が多く収録されていたのですが、ブランクの間に方向性を転換したのか、先に出ていたシングル「さよなら それなら」からはプロデューサーにチト河内氏を迎え、アコースティックギターと生バンドサウンドをメインに据えて、以前とはまったく異なるサウンドアプローチを展開。有山じゅんじ氏や馬場一嘉氏といったベテランのミュージシャンが多数参加し、クオリティの高いアンサンブルを聴かせてくれています。
 そして、今西太一自身も、前作で見られたハイキーでのギリギリの歌い方から一転、各曲のキーも従来よりもかなり低めに設定し、穏やかに、でもどこか耳に残るヴォーカルスタイルで丁寧に歌い上げています。かつての気迫の代わりに、土の匂いのするような朗らかさというか、日だまりの中にいるような、どこかヌクヌクとした雰囲気で、第一印象・インパクトという点では以前よりは薄く、欠けるかもしれませんが、その分、聴けば聴くほど心に沁みるメロディーを書いている、といった印象を受けました。

 歌詞の内容にもちょっと触れておくと、「海の見える丘で」とか「銀色のハネムーン」みたいなハッピーな曲もあり、「夏が行く」「過ぎ去りし君へ」といった失恋ソングもありなのですが、表現の仕方が感情込めてドーン!(何それ)という感じではなく、喜怒哀楽を含めてむしろ淡々と歌っている曲が多くて、これが却って歌詞を浮き立たせているような気がします。歌い方が朴訥なので、失恋ソングでも何だかポカポカしてくるのが不思議(?)。ラブソング以外にも、日常を切り取ったその名も「日々」、自身の行方をタイトルに託した(と思われる)「カザミドリ」など、心の琴線に触れる曲が多数。小説風の「Freeday's」は例外的に歌い方が前作に近い感じで異彩を放っています。
 ・・・そして、個人的に気に入っているのがいわゆる望郷系とでもいいましょうか。シングル曲でもあり、アルバムタイトル曲にもなった「遠くの友達へ」。シングルタイトル曲にもかかわらず7分超という長さを持ったこの曲、故郷を離れ、「お前に逢いたい、今も頑張ってるかな」という気持ちを綴った歌詞、終始穏やかながら存在感のある歌メロと歌唱、シンプルなイントロからバンドアンサンブルを経て、サビの合唱になるアウトロまで、無駄なものは一切無い、このアルバム一番のお薦め曲。「遠き暮れ方」といい「ナツメロ」といい、どうも筆者はこういう系に弱いらしいです(苦笑)。
 あと、特筆すべきはCD盤の音質の良さ。筆者の素人耳でもアコギの音色の立ち方をはじめ、各楽器の主張のバランスや、パンの振り方が絶妙で、これはミュージシャンの技量によるものか、ミックスの腕によるものか、多分両方なのではないかと思うのですが、とにかく聴いていて「いい音だな〜」と思えるアルバムでした。この作品を聴く時はヘッドフォンを着けて聴くと、より楽しめるのではないかと思います。
 それにしても、このアルバムのサブタイトル(END OF MY INNOCENCE)って何か深い意味がありそうで邪推してしまいそうだなぁ・・・^^;。

 今作が発売された1999年初頭といえば、女性R&Bシンガーが台頭し、ビジュアル系が猛威を振るっていた頃(ちょっと懐かしいな)。そんなメインストリームからかなりかけ離れた音楽性を詰め込んだこのアルバムは、残念ながら当時の音楽シーンの中では埋もれてしまう結果となってしまいました。むしろ、音楽のジャンルが細分化・多様化した現在ならば、受け入れられる土壌はもう少し広かったのかもしれませんが・・・。なお、このアルバムを最後に今西太一はメジャーから離れ、以降はインディーズシーンでギター片手に各地で歌い続け、今では「奇跡のオッサン」と呼ばれているそうです。彼の最近の作品(といっても2005年のアルバムですが)は、本作とはまたベクトルの違う方向性で勝負していて、筆者の音楽的嗜好からするとやはり「遠くの〜」をひいきしてしまうのですが(笑)、こちらの作品もいつかは採り上げたいと思っています。その前にライブに行って、その奇跡っぷりを一度拝見したいものです。全国津々浦々廻っているみたいなんですが、埼玉にはあんまり来てくれないんですよねぇ(苦笑)。

2008年07月25日 23:08

stranger30th J-POPではないので番外編的にご紹介(笑)。
 ビリー・ジョエルの「ストレンジャー」オリジナルLP盤発売30周年を記念して、2008年7月23日、限定で発売された豪華仕様の2CD+1DVDのボックスセットが、本日我が家に到着しました。ネット通販で発売間近に予約したもんで、発売日には届かなくてヤキモキしていましたが、無事到着して良かった良かった。

 内容はオリジナル盤のリマスターCD、未発表ライブのCD、そして過去テレビで行ったスペシャルライブのDVDと、そして同梱のブックレット(対訳つき)、当時の復刻ポスター、直筆ノートのレプリカ(!)などなど、ボリュームたっぷりの内容。
 今ライブCD聴きながらこの記事書いてます。1977年当時の音源ですが、保存状態が良かったのか、音質のクオリティは最近のCDと遜色ないと思います。

 それにしてもこの作品、30周年記念盤ということで当たり前なのですが、もう発売されてから30年(ホントは31年)も経過しているんですね。もちろん、筆者はその頃生まれておらず、このアルバムを初めて聴いたのも十代の頃で、リアルタイムで当時の雰囲気は知るべくもないのですが、今でも(特に日本では)このアルバムが彼の代表作、タイトル曲が代表曲として認識されて、長年多くの人々に愛され、聴かれ続けているわけですから、このアルバムにとってもまさに冥利に尽きる(こんな言い方あるのか^^;)30年だったのではないでしょうか。

 ビリー氏のファンなら少々値が張っても買うべきアイテムですね(笑)。そして一日でも早く、次作のオリジナルアルバムが製作されることを期待しましょう!・・・もう15年も待ち続けてるんじゃ〜!!(涙)

2008年07月21日 21:39

 奇跡の三日連続更新!(自分で言うな^^;)
 そろそろ7月も終盤に近づいてまいりましたが、2008年の上半期(1月〜6月)に発売されたアルバムの中で、個人的ベスト5を選んでみましたので、カウントダウン形式でご紹介いたします。
 タイトルのリンク先は、当ブログ内での該当アルバムのレビュー箇所になっています。

第5位/「BEGINライブ大全集」BEGIN
 デビュー当時から現在に至るまでのライブ音源をセレクトしたライブ盤。
 ひょっとしたらオリジナル音源を超えている?と思える出来の曲もあり、特にDISC-2のマニアックな選曲&楽曲の変貌ぶりには驚かされます。

第4位/「秘密」aiko
 通算8枚目のオリジナルアルバム。
 今作も彼女の恋愛ジャンキーぶり(笑)が楽しめる内容。相変わらず楽曲のクオリティは高いのですが、アレンジがやや画一的だった分、この順位に。

第3位/「ZARD Request Best〜beautiful memory〜」ZARD
 ファンによる投票により決定された、追悼リクエストベスト。
 隠れた名曲の数々の再収録や、リアレンジ曲、ライブバージョンありと、既存の音源を持っている身としても、ライナーノーツ以外は(苦笑)新たな魅力の詰まったベストでした。

第2位/「I'm Home」中西圭三
 本当に久し振りになる待望のオリジナルアルバム(ミニアルバムですが)。
 時代が変わっても独特のハスキーヴォイスは健在。作曲だけでなく、作詞も本格的に手がけられて、今後も順調に活動していって欲しいアーティストです。あと、遅くなりましたがご再婚おめでとうございます(笑)。

第1位/「WONDERFUL WORLD」ゆず
 つい先日レビューしたばかりのゆずのアルバム(発売日に購入しましたがレビューが遅くなりました)。
 今作では、30代の「ゆずの素」を目指したということで、様々なアレンジャー、プロデューサーとコラボレートしながらも、「ゆず」としての芯を見せつけてくれる名盤に仕上がっていました。

 以上、ベスト5の発表でした。
 上半期はベストアルバムの発売も結構多かったのですが、質の高いオリジナルアルバムも多数発売されて、耳を楽しませてくれた作品が多かったように思います。
 今年発売のアルバムで、まだちゃんと聴ききれていない作品も数作あるのですが、それは2008年のランキングに回すとして(笑)、年末にはベスト10ぐらいで発表してみたいと思います。

2008年07月20日 23:32

lindberg9 今週の1枚は解散から早くも6年が経過した、リンドバーグの通算9枚目(「EXTRA FLIGHT」等を除く)のオリジナルアルバム、その名も「LINDBERG宗廚鬚款匆陝ちなみに9枚目ということで発売日も1996年9月9日発売だったそうです。

 前作「LINDBERG次廚離螢蝓璽晃紂∈までのレコード会社(徳間ジャパン)からテイチクに移籍したリンドバーグ。徳間ジャパン時代末期に発表されていた彼らの作品は、詞も曲も良く言えば落ち着き、悪く言えば停滞感が漂っていて、初期の「今すぐKiss Me」や「BELIEVE IN LOVE」に代表されるような、「元気で前向きなロックバンド」路線をひた走っていた音楽性が好きだったリスナーの中には物足りなさを感じていた方々も多かった様子。ですが、今回の移籍で心機一転を図ったのか、いきなり移籍第1弾のシングル「もっと愛しあいましょ」でディスコサウンドにコスプレPV(笑)と、驚きの方向転換を行った彼らは、1996年に入って一気に再ブレイク。続く「君のいちばんに・・・」で王道のロックナンバー、そして「every little thing every precious thing」ではストリングス導入の力強いバラード(この曲は近年、阪神・藤川球児投手の登板テーマとして有名になりましたね)、「Green eyed Monster」ではアッパーでたたみかけるようなポップロックと、全盛期の勢いが戻ってきたようなクオリティの高いシングル曲を連発。そして、これら4作のヒットシングルをすべて収録し、満を持してリリースされたのが今作でした。発売当時、新宿駅の看板広告にバーンとこのアルバムの広告が掲載されていたのは圧巻だったなぁ・・・(遠い目)。

 本作は全部で12曲の楽曲を収録。このアルバムの新曲群のキーワードとしては、「野心的な曲調」であり、「ライブで盛り上がる曲」、といったところでしょうか。渡瀬マキと小柳昌法(ドラムス)のロカビリー風脱力デュエットソング(笑)「渚の新郎BAD」を筆頭に、こぶし突き上げ系のオープニング「ねむりたい」、彼らにしては斬新な3/4拍子の異色ヘビーチューンが展開される「Like a Rollin' Stone」、ラストの「Party Party」などは名前の通りのパーティーソング、などなど、お遊び的要素・ライブ的要素を多く含んだ曲が多くを占めていて、新曲では唯一といっていい正調のミディアムバラード「風ぐるま」(個人的イチオシ)がむしろ異彩を放っているぐらいです^^;。インタールード的なインストも隠しトラック的に仕込まれているし、全体的に「楽しく遊んでいる」といった印象
 他は「アジサイ」とか「かなしそうな顔」といった、聴き込むと染みてくる、失恋系歌詞の曲もあるんですが、これらの曲はそれぞれシングル曲のカップリングとして既発表なわけで、アルバム全体を総括すると「王道なナンバーはシングル曲で、インパクト重視な遊び心満載のナンバーはアルバム曲で」と、明確な線引きがされているような気がしてしまうのは筆者だけでしょうか。それだけに、このアルバムに収録されたシングル曲をきっかけにこの本作品を手に取った新規のリスナーにとっては、肩透かしの内容になってしまっているかもしれません(苦笑)。このアルバム自体はセールス的には成功といっていい数字を収めましたが、この後の作品が数字的に伸び悩んだのも、新規が固定にならなかったという意味で、ここでのアプローチが原因だったのかも・・・?

 正直な話、「リンドバーグのオリジナルアルバムの中での最高傑作は?」と尋ねられたら、多分筆者はこのアルバムではなく「検廚「后廚△燭蠅鮨笋垢隼廚い泙后ではなぜ、このアルバムをピックアップしたかというと・・・筆者にとって、この「宗廚初めて一枚ちゃんと聴いた彼らのアルバムだから、という単純な理由だったりするんですね(笑)。数ある彼らの作品の中で、初めてリアルタイムで触れたオリジナルアルバムということもあり、今作を聴くと当時の思い出が甦ってくるという意味で、今でも思い入れは結構ありまして、時々ラックの中から引っ張り出しては聴いています。
 今作に収められたシングル群は、後年のベスト乱発でほぼ毎回のように収録されているので、もはやシングル目当てに聴くならこのアルバムよりもベスト盤に手を出したほうが無難な聴き方ではありますが、ベストを聴いて「王道じゃないリンドバーグを聴いてみたい」という欲求が芽生えた方がもしいらっしゃれば、このアルバムを、そっと(笑)お薦めしたいと思います。

2008年07月19日 16:27

wonderfulworld 2008年4月16日発売。ゆずの2年2ヶ月ぶりになるオリジナルアルバム。

 久々のアルバムとなった今作の特徴は、基本的に寺岡呼人とゆずの共同プロデュースであった従来と違い、(寺岡氏&ゆずのプロデュース曲もありますが)様々なプロデューサーを立てている点。蔦谷好位置、亀田誠治、葉加瀬太郎、久石譲と、それぞれ違ったサウンドアプローチでゆずの楽曲をプロデュースしていますが、どの曲も良い意味でゆずらしさが消えていないとでも言いましょうか、逆に言うと、ここまでのキャリアを積み上げていながらも、いまだにどんな音楽性にも染まることのできる透明性を持ったゆず、という印象を受けました。
 また、今作は北川悠仁、岩沢厚治ともに、非常に親しみやすく耳に残りやすいメロディーを書いていて、15曲というボリュームのアルバムではありますが、多彩なサウンドと相俟って、途中で中だるみがなく、最後まで楽しめます。お薦めは「うまく言えない」「行こっか」そして、タイトル曲の「ワンダフルワールド」。
 デビューから約10年、どんな音楽性を示そうとも、根底にあるゆずの「変わらなさ」を感じることのできるアルバムです。

2008年07月16日 22:32

 インターネット投票により収録曲を決定する、B'zのウルトラベスト第2弾「ULTRA Treasure」の収録曲が発表されました。

 ちなみに、私が投票した3曲は・・・
 「FRIDAY MIDNIGHT BLUE」(4th ALBUM「RISKY」収録曲)
 「Mannequin Village」(Single「Don't Leave Me」2nd Beat)
 「SLAVE TO THE NIGHT」(7th ALBUM「The 7th Blues」収録曲)

 見事、3曲揃って落選でした(苦笑)。マニアックすぎたか・・・。
 今回の投票対象290曲中何位ぐらいにランクインしたのかが気になります^^;

 ・・・ざっと収録決定曲を見ていくと、シングル曲は、「ULTRA Pleasure」で大ヒット曲にもかかわらず外された「Don't Leave Me」「MOTEL」、そして「BLOWIN'」(これは再録だとか)ぐらいにとどめて、各アルバムの名曲が選ばれている印象ですね。
 「太陽のKomachi-Angel」「孤独のRUNAWAY」「OH!GIRL」がランクインしなかったのがちょと意外だったかも。

 個人的には「Wonderful Opportunity」の収録が嬉しいです。確か、10年前の「Treasure」の時に投票したんだっけかな。ようやくベストに入って感慨深いです。

 そして、新曲も入るということですが・・・まさかの複数商法が展開されるとは(汗)。
 多分、2CD(新曲1曲入り)+ライブDVDのほうを買うことになると思います。
 3CD(新曲2曲入り)のほうはレンタルで出るだろうし・・・。

 まあ、何だかんだで、9月が楽しみではあります(笑)。

2008年07月12日 14:28

facelessman 最近やたら顔のアップのジャケットを紹介しているような気がするのですが、決して意図的なものではないのであしからず(苦笑)。本日ピックアップする「今週の1枚」は、THE BOOMの5枚目のオリジナルアルバム「FACELESS MAN」。1993年8月21日発売。

 デビュー以後、「スカのビートに乗せて、ヴォーカル宮沢和史が個性的な歌詞を歌い上げる」という路線から始まり、アルバムを重ねるごとに少しずつ、スカ以外の要素を取り入れながら徐々に作風を変化させてきた彼ら。前年(1992年)にそんな初期の4枚のアルバムを総括したベスト「THE BOOM」をリリースし従来の音楽性に一区切りをつけたのか、明けた1993年に彼らが発売した楽曲は、一気にメーターを振り切った、今までのイメージを覆すものばかりでした。シングルの「月さえも眠る夜」は朝本浩文、「真夏の奇蹟」は久保田真琴が共同プロデュースと、(当時は)従来のTHE BOOMの音楽性から見ると異色のコラボレートだったように思えます。また、このアルバムが発売された時期は、前作「思春期」からシングルカットされた「島唄」がロングヒットを続けていた最中。一躍時の人として注目されていたTHE BOOMが放った今作「FACELESS MAN」は、いい意味でリスナーを裏切る、色々な意味での問題作だったように思います。

 彼らの代名詞的な存在となった「島唄」に代表される、沖縄民謡風サウンド「いいあんべえ」で幕があがると、2曲目の「YOU'RE MY SUNSHINE」ではブラスファンク、3曲目の「真夏の奇蹟」ではソウルミュージックに接近と、この冒頭からの3曲の完成度の高さとインパクトで、リスナーをTHE BOOMの新境地へと誘う役割を果たしています。ベストアルバム「THE BOOM」を聴いて、何となく彼らの音楽をイメージしてからこのアルバムを聴くと、あまりのギャップに驚かされるかも。それだけ今までの作品にない、斬新なアプローチが作品全体を包括しています。全英語詞によるエッジの効いたギターロック「Black Guitar」「有罪」「雪虫」のバラード2曲連続も、それぞれのアプローチが全く異なるので構成的にもダレることはありません。のちの名曲シングル「手紙」のプロトタイプ?とも思わせるポエトリーリーディング「YES MOM!」も面白いし、和風の音階が美しい唱歌「つばき」、ほのぼのとしたアコースティックバラード「帽子の行方」もいい感じ。他にも様々なジャンルの音楽がアルバム1枚にぎっちりと収録されており、多種多様な顔を見せてくれています。「FACELESS MAN」=顔の無い男と冠されたアルバムタイトルですが、これは逆説的に「いくつもの顔(音楽性)を持つ男(THE BOOM)」という意味で名づけられたのではないか?と勝手に妄想しています(笑)。
 個人的に気に入っているナンバーは「幸せであるように」。詞もサウンドも暖かさを感じるこの曲。アバンギャルドな曲を生産しまくっていた当時の彼ら(というか、宮沢和史)が、こういった純朴な「歌」もしっかりと書いてくる、その振り幅の広さこそ、彼らの魅力であり武器でもあるのでしょう。

 今作以前のアルバムで示されていた、「四人のバンドとしてのTHE BOOM」という括りを外し、今作も含めてそれ以降(特にソニー時代において)、もはや四人では表せないような音も多数含んだ、誤解を恐れずに表現するならば「THE BOOMという巨大プロジェクト」という側面を見せるようになった彼ら。この辺りでファン層が入れ替わったという話もなんだか納得が行く感がありますが、ひとつのバンドを長く続けていくと、必ずと言っていいほどぶち当たる「マンネリの壁」を、彼らは一般的なロックサウンド以外の要素、たとえば琉球音階や、ワールドミュージックのエッセンスを大胆に取り入れることで、見事に打破していった点は大いに評価できると思います。
 来年の結成20周年に向けて、久々に動き出すという噂のあるTHE BOOM。各自のソロ活動を経て、今度はどんな音楽を聴かせてくれるのでしょうか。とりあえずは前作から4年間もリリースされていないオリジナルアルバムの発売を期待したいところですね。かくいう筆者も最近は彼らの音楽から遠ざかっていたので(コラ!)、この機会に、過去の音源をじっくりと聴いて振り返ってみたいと思います。

2008年07月08日 22:23

scoscoscoscoscottish 2008年6月4日販売開始。今年の3月14日にZepp Tokyoにて行われた、KANのライブツアー「NO IDEA」ファイナルの模様を収録したライブDVD。同日の模様はM-ON!TVで生中継されましたが、カメラのカット割りを含めて再編集して商品化したようです。ちなみに、筆者も3月9日の公演に参加

 ベスト盤「IDEAS」を引っさげてのツアーで、「愛は勝つ」「まゆみ」「言えずのI LOVE YOU」「世界でいちばん好きな人」といった代表曲を盛り込みつつ、ベスト盤には入っていないコアなアルバム曲も披露されるという、新旧ファンどちらもとっつきやすいような構成。バンドメンバーもおなじみの顔ぶれで、ベテランらしい安定した演奏を見せてくれています。また、KAN本人以外にも彼らが均等にカメラに収まっているのも嬉しいポイント(特にドラムの清水淳さんはあらゆる意味で面白すぎる・笑)。

 ライブの内容自体は極めてシンプルではあるのですが、ひときわ目を引くのはやはりステージ衣装(ジャケット写真参照)。スコットランドの正装・キルト姿のバンドメンバー・・・。本人もオーディオコメンタリーで「(この格好)気持ち悪いでしょ?」とか語っています^^;本編のおふざけ度があまりなかった分、こっちでサービスということでしょうか?ファンじゃない人がこのDVDを鑑賞した時の反応が気になります(苦笑)。

 残念なのは、演奏された全曲が収録されているわけではない点。DVDの流れを考えて何曲かカットしたとのことですが、せめて「秋、多摩川にて」は収録してほしかったなぁ。あと欲を言えば「何の変哲もないLove Song」も・・・ってキリがないんですけどね。まあKANの映像作品としてはかなり久々のリリースなので、それだけでも嬉しいところです。

2008年07月06日 20:38

rare 早くも2008年下半期に突入した7月。なんか今月に入ったら急に暑くなったと思うのは筆者だけ?それはともかく、第27回目の「今週の1枚」は、小林建樹(こばやし・たてき)のセカンドアルバム「Rare」をご紹介。

 小林建樹は、1999年2月にデビュー。翌年2000年の冬にリリースしたバラードシングル「祈り」がスマッシュヒットし、一躍音楽シーンで話題にされるようになった男性ソロシンガーで、作詞・作曲・編曲にプロデュースもこなす才人です。筆者もこの「祈り」で彼を知り、「こういう自作自演系の男性ソロって最近見かけないな〜・・・」と、注目するようになっていました。続けて彼は初夏にシングル「SPooN」を、そして2000年7月5日、アルバム「Rare」をリリース。これらは、筆者が「祈り」一曲での「バラードアーティスト」的なイメージしかとらえていなかった、彼に対する印象を一気に払拭する、「え?小林建樹ってこういう音楽やるの?」という驚きを見せつけてくれる魅力的な作品でした。

 彼の音楽は、一言でいうなら「ひねくれたポップス」、とでもいいましょうか(笑)。ファンク系を下地にした、生音あり打ち込みありのごった煮なサウンドを、スマートに整理して聴かせる一方、曲のところどころにヘッドフォンじゃないと聴こえないようなマニアックな音やフレーズを隠し味的に仕込ませたり、ストレートには理解できなそうな歌詞を並べたり(この辺ちょっとスピッツっぽい?)。これが基本で、あのシングル「祈り」ですら、パッと聴きは普通のバラードなのに、譜面を見てみるとコードが1〜2拍ごとにガンガン変わっていく、弾き語るにはかなり難解な曲だったりして、J-POPリスナーへの挑戦ともとれる行為(言い過ぎか)が連発されるわけです。
 アルバムの楽曲を見ていくと、シングルで先に出ていた比較的穏やかなミディアムバラード「青空」を除けば、一歩間違えば不協和音になりそうなスリリングなスロー「Rare」「進化」、かわいいラブソングと思いきや愛猫の想いを綴った(?)「Cube゜2」、後半いきなりキレキレロックな展開に驚かされる「トリガー」、普通にアレンジすれば美しいピアノバラードなのにエレキギターの即興的ソロを中盤から注入する「目の前」、そしてラストは小林建樹自身のギターとローズの音を絡ませるだけのインスト「Tuning」で締めたりと、最初から最後までやりたい放題、偏執的なサウンドを終始展開させる、ものすごいアルバムになっています(笑)。

 ・・・と書くと、なんか暴走していて実験に走っている・・・と思われるかもしれませんが、ところがどっこい(古いな^^;)、マニアックな臨界点を突破せずに、ちゃんと「ポップアルバム」という枠からギリギリはみ出していないところが今作の評価すべき点でしょう。上記のようにやりたい放題暴れておきながら、どの曲のメロディーラインもしっかりと耳に残る作りになっていて、か細い頼りなげなヴォーカルをフォローするのに一役買っています。このメロディーラインをもっと大衆的に生かす方法はいくらでもあるのではないかと思うのですが、それをやらず、「小林建樹色」を全面に出したアレンジでこのアルバム全体をまとめたあたりに、セルフプロデュースの才覚と、サウンド職人的な資質を感じました。トータルで面白く、驚かされるけども、どこか安心できる点もあるような、そんな一枚です。

 このアルバムの後も精力的にクオリティの高い作品をリリースしてきた小林建樹ですが、近年ではアーティスト活動は一時停止していて、近況(といっても二年以上前の話)では、平原綾香に、NHKトリノオリンピックのテーマソング「誓い」の楽曲提供を行ったり、広沢タダシのサポートでライブに出ていたりするようです。彼といい、東野純直といい、鈴木哲彦といい、筆者が応援する男性ソロアーティストってなんか裏方に回る人達がやたらに多いんですが(汗)、また、日本の音楽シーンを騒がせてくれるような曲で表舞台に戻ってきてくれることを願ってやみません。

記事検索
Recent Comments
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Archives
Profile

SASA

  • ライブドアブログ