dbkamibest 2016年2月24日発売、鳥山明原作のコミック「ドラゴンボール」のアニメーション放送30周年を記念して企画された歴代テーマソング集。2枚組全38曲収録。初回限定盤には歴代オープニングテーマのオンエア映像を収録したDVD付。

 1986年2月からアニメ放送がスタートした「ドラゴンボール」(以下「無印」)、その続編「ドラゴンボールZ」(1989〜1996年)、アニメオリジナルの「ドラゴンボールGT」(1996〜1997年)、「Z」の再編集作品「ドラゴンボール改」(2009〜2011、2014〜2015年)、そして現在放送中の原作者考案の新作「ドラゴンボール超」に加え、TVスペシャル、各劇場版作品など、この30年で数々の展開を仕掛けてきたアニメ作品ですが、「ドラゴンボールシリーズ」として主題歌がレーベルの枠を超えて一括りに収録されたのは今回が初めて。Disc 1には1994年までの楽曲、Disc 2には1995年以降の楽曲が収められていますが、今回収録を見送られた主題歌が3曲あり(後述)、テーマソングのコンプリート盤ではないので要注意。

 まずDisc 1はシリーズの記念すべき第1号オープニング「摩訶不思議アドベンチャー!」(高橋洋樹)で幕開け。その後は「無印」「Z」の各主題歌、「Z」のTVスペシャル主題歌、「無印」「Z」の劇場版主題歌を時系列順に収録。この時代は強く「アニメソング」を意識し、完全に作品世界に沿った作風の曲が続いていきます。筆者はリアルタイム世代ということもあり、さすがに多数ある劇場版主題歌までは完全には覚えてはいませんでしたが(笑)、この辺りの楽曲は本当に懐かしく、毎週オンエアを楽しみにしていた頃を思い出しました。中でも「Z」の二代目エンディング「僕達は天使だった」と、TVスペシャル主題歌「青い風のHOPE」(共に影山ヒロノブ)は名曲で、今聴いても胸が熱くなります。

 Disc 2は「GT」「改」「超」の各主題歌、その後でDisc 1に入りきらなかった「Z」末期の劇場版二作、そして近年公開された新作劇場版二作の主題歌という流れで構成。「GT」ではFIELD OF VIEWや工藤静香を起用するなど、当時のヒットシーンを意識した節がありましたが、21世紀に突入してからの「改」「超」のオープニングに関しては再び作品世界に寄せた「ドラゴンボール」ならではのテーマソングに。特に「空・前・絶・後 Kuu-Zen-Zetsu-Go」(谷本貴義)の弾けまくりの歌詞には当時仰天したものです(笑)。一方で「改」「超」のエンディングには若手のアーティストを起用して比較的自由にやらせている印象。なお、「超」はまだ放送中であり、既にエンディングテーマは4月から新しいものに変わっていて、その曲は当然ながら収録されていません。

 このように歴代主題歌が満載なベスト盤なのですが、先ほども触れたように、放送中の「超」はともかく、既に作品が完結している「GT」「改」のエンディングテーマが3曲未収録という歯抜け状態になっているのは本当に残念。特に筆者がDEENファンだから…という理由ではありませんが、「GT」の初代エンディングとして最も長くオンエアされた「ひとりじゃない」が漏れたというのは非常に納得が行きません(苦笑)。2枚とも70分超えの収録時間でギリギリ入りきらない、ということならばもう1枚増やしてでも…と思わずにはいられません。まあ価格あるいは版権の関係もあってこういった形でのリリースになってしまったのかもしれませんが、画竜点睛を欠く、とはまさにこの事な気も。
 とはいえ、シリーズの垣根を取り払って一同に会し、リマスターされた楽曲が並ぶ本作は聴き応え十分。私のようなドラゴンボール連載読者世代から若いファンまで、「ドラゴンボール」各作品に思い入れのあるリスナーは是非一度手に取ってみてはいかがでしょうか。