kanaruimi 2016年3月23日発売、2012年1月〜2月にかけて全国主要都市にて開催されたKANの同タイトルのバンドライブツアーの中から、最終日の2月19日ZEPP TOKYOでの公演を収録した2枚組ライブDVD。

 4年前のライブを商品化した今回のDVD、元々は2012年10月3日に発売が決まっていましたが、終演後に流れる洋楽曲の使用許諾が下りずに一旦発売延期、その後行われた2014年のライブツアーのほうが先にDVD化されるなど、一時は幻のライブDVDになってしまうかと思われましたが、この度終演後の場面を再編集して無事発売の運びとなりました。なお結果的にはなりますが、長年常にギタリストとしてバンドツアーに帯同してきた中野豊が、現在のところ最後の参加となったツアーでもあります。

 本ツアーは過去に発売してきたオリジナルアルバム(この時点で全15枚)から1曲ずつ選曲というコンセプトだったらしく、「セルロイドシティも日が暮れて」「STYLISTIC」「NO-NO-YESMAN」などの初期の楽曲、「青春国道202」「甘海老」「紅のうた」など、ライブでは滅多に選曲されないレアな楽曲が選曲される中、「プロポーズ」「丸いお尻が許せない」といった有名曲に加え、当時の最新シングル「Listen to the Music」も面白い演出(笑)と共に披露されるなど、KANの20年以上のキャリアを代表曲・レア曲のバランス良く楽しめるセットリストに。個人的にはライブ映像では初の商品化となる「小羊」の収録が嬉しいところ。妙にロックな衣装を身に着けてロックっぽい(?)アプローチを狙ってするKANと一部バンドメンバーのオフザケぶりも相変わらずの安定感です(笑)。

 気になった点としましては、ライブの前半部分が終わったところで長大な楽曲解説MCがあったらしいのですが、これが完全にカット。他にもMCがあったであろう箇所はことごとく削られ、最後の挨拶ぐらいしか喋りのシーンがない構成になっていたこと。副音声のオーディオコメンタリーでも触れられていましたが、「後で見返してあまり面白くなかったんでバッサリとカットした」そうなのですが、あのダラダラしたMCもエンタメ性を志向するKANのライブでは重要な要素だと思っているのでこれはちょっと残念。またその影響で収録時間も前後のDVD作品と比較するとだいぶ短く、片面1層の2枚組で120分程度。これならディスク1枚にまとめてもう少し安く…と思わずにはいられませんでした(苦笑)。