
インタビューによるとリリース前年の秋にヨーロッパツアーを終えてから製作に入ったという二年振りのオリジナルアルバム。ツアーでの経験を踏まえて取り組まれたという本作の特徴を大きく二つ挙げるとすると、ひとつは元からあった疾走感、勢い重視の演奏スタイルをより一層パワーアップしたかのような曲調が多い点。そしてもうひとつは1曲にやたらドラマチックな展開を施す従来の楽曲に比べると、ひと固まりのフレーズを繰り返し、その中でアドリブ的な要素を盛り込んでいく「TASOGARE」や「Nostalgia」などに象徴される曲が大半を占めたという点。これらは意図して行ったということで、計算され尽くした感のあったこれまでの楽曲構成から一歩はみ出し、CD音源ながら即興性やライブ感を際立たせることに一役買っています。
ライブ感といえば、カホンのHIROがこれまで以上に(笑)叫びまくる「BLUE BLOOD BOOGIE」はその極致かなと。個人的にはちょっと叫び過ぎで初のボーカル曲か?と思ってしまうほどでしたが(苦笑)、これはこれで彼らの新しい挑戦の一環としては面白い試みかな、と思います。
本来の彼ららしい組曲風の構成の「FILMS」もあり、ヨーロッパの夕景が目に浮かぶような「Sicilia di mare aperto」のようなエピローグ風の曲もありと、従来の面も見せつつ新たなフィールドへと向かう→Pia-no-jaC←の「今」を体感できる1枚でした。
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