saitoput 2015年1月21日発売、斎藤誠の初となるセルフカバーアルバム。全14曲収録。洋楽カバーアルバム「幸せを呼ぶカバー集」と同時発売。また上記2枚にMV3曲を収録したDVDを同梱したボックスセット「Put Your Hands Together! DELUXE BOX」も同日にリリースされています。

 2013年に斎藤誠がDJを務めるラジオ番組「THE SESSION」(2015年9月に番組終了)の企画として、オリジナル曲と洋楽カバー曲をアコースティックアレンジで配信する企画「MAKOTONE SONGS」が本作でCD化。既配信の6曲に加え、ファンからのリクエストも参考にして構成された楽曲群は、ラストに収められた「別に奇跡なんかじゃないから」(2008年)以外は、1985年のデビューから1990年までに発表された作品からのセレクト。「この時代の歌を多くの皆さんに聴いてもらいたかった」という斎藤本人の意向があるようで、選曲的には初期の斎藤誠作品のベストセレクション的な役割を果たす1枚になっています。

 各楽曲を見てみると、デビューアルバム「LA-LA-LU」から7thアルバム「笑顔にご注意。」までの各アルバムから1〜3曲程度をセレクトし、成田昭彦、片山敦夫、河村智康などの共に活動を続けてきたベテランの音楽仲間達と共に新たにアコースティックアレンジでお色直し。アコアレンジと言っても全体的にシンプルな…というわけではなく、プログラミング的な演奏を極力使用しないアンプラグド風バンドアレンジといったほうが意味が近いでしょうか。

 アレンジ構成面では基本的には原曲に忠実で、極端なリアレンジは加えていない曲がほとんど。オリジナル音源はほぼ80年代にリリースされたということもあり、サウンドの面で当時お洒落と認識されて使用され、現代においては「時代を感じる音」と言い表せてしまう音色が本作では完全に払拭され、いつの時代でも普遍的なアレンジとして聴けるスタンダードなサウンドとして新たに甦ったのが大きな特徴。特にリズム隊のグルーブ感の増した「Call Me Daddy」や、ほぼオリジナルアレンジの再演奏に近い「SOMEDAY SOMEWHERE」での音の太さには感動を覚えるほど。一方で斎藤自身が年を重ねたからこそ出せる渋みの「或るグレイな恋の場合」や、テンポを若干落とした肩の抜き加減が絶妙な「音楽友達」などは原曲にはなかったアプローチで、原曲も好きだったけどこういうバージョンも良いな、と感じられました。

 本作収録範囲の彼のアルバムは2004年の「BALLAD'S BEST」(オリジナル音源で5曲重複)以外は全て廃盤、2005年に「ゴールデン☆ベスト」でコロムビア時代(1983〜1985年)の曲はリマスターされ纏められているものの、やはり時代性を感じる音が…ということで、現在の斎藤誠とはサウンド的に乖離する部分が多く、強くお薦めできなかったのですが、本作をもって90年代のアルバム「Dinner」や、かつて本ブログの「今週の1枚」でもご紹介した「Number.9」に直結する作品がようやく登場した!という感慨深い(?)気分。「プロデューサーやプレイヤーとしての斎藤誠は知っているけど、ソロではどんな音楽やってるの?」と興味を持っている方への入門編にも最適な1枚です。