zard25 来年2016年はZARDのデビュー25周年アニバーサリーイヤー。様々なメモリアルイベントが企画されているようで、早速デビュー日にあたる2月10日には坂井泉水逝去後のリリース作品を含めたオールタイム・ベスト「ZARD Forever Best -25th Anniversary-」の発売が決定しています。
 本年最後のレビュー記事となる今回は、そのZARDメモリアルイヤーを一週間ほど前倒しし(笑)、「CD Review Extra」として、これまでにZARDがリリースしてきたボックスセットを除く全ベストアルバムを1枚ずつレビューしていこうと思います。「続きを読む」からご閲覧ください。
デビュー25周年記念・ZARD全ベストアルバムレビュー


ZARD BLEND -SUN & STONE-
zard1
 1997年4月23日発売、坂井泉水自身が選曲し、当時は「サマーベストアルバム」というキャッチコピーでリリースされたセレクションアルバム。全13曲収録。
 選ばれた曲はCMソングとして初夏にリリースされたシングル「揺れる想い」「心を開いて」、歌詞の内容に夏のイメージや海を連想させる「あの微笑みを忘れないで」「来年の夏も」「ハイヒール脱ぎ捨てて」、アレンジ的に夏の夜を彷彿とさせる「こんなに愛しても -Hold Me-」など、真夏というよりも夏に向かう時期に合わせた楽曲が並ぶ。この年の冬にリリースされた「Don't you see!」「君に逢いたくなったら…」も収録。この2曲は特に季節感を感じさせないが、最新シングル二作ということでニューアルバム的に収録されたものと思われる。
 また、デビュー曲「Good-bye My Loneliness」は新たにボーカルを新録&リミックス、さらに「IN MY ARMS TONIGHT」なども乾いた感じにリミックスされ、原曲とイメージが結構異なる。後年のベストアルバムには何らかの形で本作品収録曲は全曲収録されているが、本作のみのリミックスバージョンが多く聴ける、というのが2015年時点においての楽しみ方だろうか。


ZARD BEST The Single Collection -軌跡-
zard2
 1999年5月28日発売、「ZARD BLEND」はセレクションアルバムとして分類されているので公式には「初のベストアルバム」。全14曲収録。
 オリコンチャート1位&2位獲得曲からさらに選曲して収録、というコンセプトで、初の1位を獲得した「負けないで」以降、リリース発表時点で最新の1位獲得作である「運命のルーレット廻して」までを時系列順に収録。基本的にはシングルバージョンが収録されているが、イントロがピアノで始まるその名の通りの「永遠(Intro Piano Version)」は、現在でもこのアルバムでしか聴くことができない。
 「負けないで」「揺れる想い」「マイ フレンド」の三大ミリオンヒット曲を筆頭に、ZARDの代表曲をことごとく収録しているので現在でもZARDのヒット曲をある程度押さえる目的であれば中古市場では廉価なのでお買い得な作品。なぜかZYYG,REV,ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄名義の企画モノ「果てしない夢を」まで入っているのはご愛嬌(?)。
 前年のB'zのベスト2作と同様特典祭りが大々的に展開され、出荷毎に手替え品替えの特典が同梱されたが、お薦めなのは第一次特典の「ARTIST FILE」。ビーイング内外からの関係人物からのメッセージは貴重。ネットオークションなどでも結構見かける。


ZARD BEST -Request Memorial-
zard3
 1999年9月15日発売、「〜The Single Collection -軌跡-」に同封されたアンケート葉書によって選曲されたリクエストベストアルバム。全14曲収録。
 リクエスト投票数の多かった曲を1位から順番に収録したとのこと。最上位には「Don't you see!」「あなたを感じていたい」「君に逢いたくなったら…」などの前作に収めきれなかったヒットシングルがひしめき、徐々にアルバムの名曲が顔を出してくるという結果になった。FIELD OF VIEWに作詞提供し、アルバムでセルフカバーした「突然」はミックス変更、「遠い日のNostalgia」は最後のサビがカットされたエディットで収められているなど、オリジナルテイクと細かい違いが見られる曲もある。また、最後に収められた(14位)シングル「MIND GAMES」はオリジナルアルバム未収録でこのアルバムでしか聴けない。
 発売当時は「〜The Single Collection -軌跡-」の次に聴く1枚としてのポジション。現在でも後発のベストに未収録の曲がチラホラあるので「Golden Best」の後の1枚でもいけると思う。
 今回もフォトカレンダーやPV+ライブ出演時のビデオ配布などの特典祭りが開催された。


ZARD BLEND II -LEAF & SNOW-
zard4
 2001年11月21日発売、「BLEND」シリーズ第2弾として、坂井泉水が今回は冬向けの楽曲を選曲したセレクションアルバム。全16曲+α収録。
 シングル曲が多めだった「SUN & STONE」と異なりシングルは3曲のみ、代わって1993〜1996年にリリースされ、アルバム未収録だったカップリング曲が8曲(両A面扱いの「Boy」を含めると9曲)選ばれているが、「冬」を感じさせない曲も多く、むしろカップリング集としての存在価値のほうが前面に出ている作品だと思う。一部の曲ではミックス変更が行われているようだ。
 本作の目玉は坂井泉水が作詞提供し、栗林誠一郎がBarbier名義で1995年にリリースしたシングル「クリスマス タイム」のZARDバージョン。GIZA風の打ち込みサウンドがZARDにも取り入れられていた時期だったが、この曲はバンド風アレンジでの収録が嬉しい。本編ラストの「永遠 -君と僕との間に-」はキヤノンのCMで流れていた歌詞の異なるショートバージョン。その後シークレットトラックとして「遠い星を数えて」がオリジナルバージョンのまま収録されている。
 前述の通り、カップリング曲回収という目的には重宝するが、他のベスト盤やオリジナルを何枚か通過した後で聴く流れがお薦め。


Golden Best -15th Anniversary-
zard5
 2006年10月25日発売、デビュー15周年を記念したオールタイム・ベストアルバム。2枚組全27曲収録。
 デビューシングル「Good-bye My Loneliness」から、最新シングル「ハートに火をつけて」までの活動を改めてシングル曲を中心に時系列で並べた構成。Disc1は1995年までのセールス全盛期のシングルをほぼ間断なく、Disc2は1996年以降のヒットシングルを飛び飛びでピックアップしている流れになっており、1999〜2002年の作品で見られた実験的な楽曲は完全にスルー、あくまでZARD王道に的を絞って選曲されており、ライトリスナーでも気軽に手にすることができる集大成的な作品だと思う。「運命のルーレット廻して」のシングルバージョンが初収録、結果的に生前最後のリリースになった「ハートに火をつけて」はこのアルバムのみの収録。
 豪華装丁、活動解説書「Golden History 1991-2006」、質の良さそうな紙に時代毎の坂井泉水の姿が満載の歌詞カード兼フォトブックレットと、15周年記念ということでかなり気合いの入った作りになっている。初回限定盤はCM-SPOT集DVDが3種類という複数商法が賛否を呼んでいた。
 選曲・ボリューム・価格・音質の四拍子(?)揃った決定版ベストとして、入門編として最適。


Soffio di vento -Best of IZUMI SAKAI Selection-
zard6
 2007年8月15日発売、同年5月27日に帰らぬ人となった坂井泉水を偲んでの追悼盤として「Brezza di mare」と共に発売されたセレクションアルバム。公式には「ZARD BLEND」2作に続く3枚目のセレクションアルバムとして扱われている。全13曲収録。
 元々はファンクラブ会報の企画として、生前に坂井本人が選曲した「LOVE & POWER」という架空のコンピ盤の楽曲を基に、一部の楽曲を(恐らくスタッフが)シングル曲等に差し替えて再構成したもの。こうした経緯があるので、サブタイトルには「Best of IZUMI SAKAI Selection」と冠されているが、100%本人の意志による選曲ではないようだ。
 収録曲は「かけがえのないもの」(2004年)以外は90年代に発表された作品群。セールス全盛期のアルバムのナンバーが中心になっており、実験的な要素のない、ZARDのパブリックイメージに沿った楽曲が並ぶので、ある意味安心して聴ける曲ばかりなのだが、この時点で過去のベスト関連に既収録の曲も多く、また本作でしか聴けない曲もないので、コレクターアイテム的な要素は否めない1枚。
 なお、本作には通常仕様でDVDが付属。「My Baby Grand」「カナリア」をバックに、坂井泉水のフォトセッションや、打ち合わせ風景、海外滞在時のカメラを回した時の姿が収められている。生前はPVはおろか、動く彼女の姿はほとんど公開されていなかったのでかなり貴重な映像である。


Brezza di mare -dedicated to IZUMI SAKAI-
zard7
 2007年8月15日発売、「Soffio di vento」と同時発売の追悼盤。公式には4枚目のセレクションアルバム。全14曲収録。
 こちらはZARD制作スタッフによる選曲の「プレミアムセレクション」。前年の「Golden Best」未収録のシングル曲を中心に、「I'm in love」「止まっていた時計が今動き出した」「少女の頃に戻ったみたいに」などベスト初収録の佳曲もピックアップされており、「Golden Best」を補完する内容となっている。
 またシングル「悲しいほど貴方が好き」がアルバム初収録、「promised you」「さわやかな君の気持ち」のシングルバージョンは本作のみの収録、「君がいたから」「世界はきっと未来の中」は本作用のリミックス(di mare version)で収録されるなどトピックが多く、他のベストと被りがほとんどない存在意義の高いアルバムなので、王道選曲のベストの次に聴いてみる1枚としては最もお薦め。
 「Soffio〜」同様、通常仕様でDVDが付属。「もう少し あと少し…」「眠り」が収録されているが、こちらはわずかながら実際に歌唱している(ように見える)スタジオライブ映像も挿入されているので、疑似PV的な雰囲気を感じさせなくもない。


ZARD Request Best -beautiful memory-
zard8
 2008年1月23日発売、「Soffio di vento」「Brezza di mare」に封入されていた葉書と公式サイトでのネット投票により選出された上位30曲を2枚組として収録した「ファンのリクエストによる究極のベストアルバム」。ちなみにリクエスト第1位は「あの微笑みを忘れないで」
 収録順は投票順位通りではない。また、既発音源を並べただけではなく、「Golden Best」と被った楽曲は生前の坂井泉水の歌声に合わせてバンド演奏がされた前年のライブ音源で収録。さらに発売まで特に告知もなかったが「hero」「Love is Gone」は完全なリアレンジで新録、「明日もし君が壊れても」「息もできない」「フォトグラフ」は原曲のエッセンスを残しつつアレンジに変化が見られるなど、結構手の込んだ構成。体裁的にも「Golden Best」の姉妹盤といったところ。
 初回生産分の特典としてカレンダーが封入、また永続特典として2007年末の紅白歌合戦で中継されたライブメドレーを収録したDVDが付属するなど、メモリアル作品としてのサービスがある一方、暴露に近い楽曲誕生の裏話や、「Soffio〜」で織田哲郎作曲作品が選ばれなかった一因などの事実を曲げて書かれたライナーノーツは、ファンプロデュースのベストで伝えるべきことだったのか疑問が残る。


 …以上、全8作のベストアルバムレビューでした。
 こうして並べてみると、一般向けとしてコストパフォーマンスが高いのはやはり「Golden Best」、リミックスやリアレンジを楽しみたいコアな層には「ZARD BLEND -SUN & STONE-」「〜Request Best」と、色々とベスト毎に棲み分けが出来ている気がします。筆者としてはあまりベストではスポットが当たらない2000年以降の曲が多めにピックアップされた「Brezza di mare」が一押し。
 さて、冒頭にも書きましたが、来年のデビュー25周年企画としてリリースされるオールタイム・ベスト「ZARD Forever Best -25th Anniversary-」は、4枚組・最新リマスター・Blu-spec CD2仕様、他特典も満載のアニバーサリー記念作品とのこと。この流れで勘付いた方もいらっしゃるかもしれませんが(笑)、来年の「CD Review Extra」では、本作品の収録曲52曲の全曲レビューを行いたいと思っております。B'zのベストの時以来の長大なエントリーになることが予想されますが、完走できるように頑張りたいと思います(笑)。