kanthink 2014年10月15日発売、同年2月から4月にかけて開催されたKANの全国バンドライブツアー(ライブタイトルは商品名と同じ)の中から、3月28日のNHK大阪ホールでの公演を収録した2枚組ライブDVD。

 二年ぶりのバンドライブとなった本公演、この約二十年間ほぼ固定だったツアーメンバーに変更が見られ、ギターに佐藤大剛、コーラスに菅原龍平という、二名の三十代ミュージシャンを迎えての新布陣。かつてのKANのライブはダンス&コーラス要員が存在したのですが、ここ十年ほどのライブではコーラス担当が不在だったということもあり、今回菅原龍平の加入によってコーラスを重要視する曲も含めて選曲に幅ができた、とはKAN本人の談。新メンバー二人共、全編に散りばめられたKANのライブ特有の音楽的ギャグを演奏と並行してこなすのは大変だったと思いますが(笑)、それぞれ前任者とは違った良さを見ることができました。

 セットリストの方は、前述の選曲の幅を活かしたのか、近年のライブではまったく披露されることのなかったアルバム収録のレア曲を随所に散りばめた若干マニアックな傾向。結構な数のライブDVDがリリースされているにも関わらず映像作品初収録のナンバーもチラホラあります。また、「明るいだけのLove Song」「君から目がはなせない」などのポップでメロディアスな曲を中心にした序盤、「Bracket」「ホタル」「Girlfriend」などのアダルトな曲を取り揃えた中盤、KANや菅原が所属するユニット・Cabrellsのセルフカバーを挟んで、待望の未発表新曲「scene」「桜ナイトフィーバー」を絡めつつ「愛は勝つ」「Oxanne〜愛しのオクサーヌ〜」でロックバンド的な大盛り上がりを見せる後半と、ブロック的に音楽性の違いが明確に仕切られた曲順、アンコールの浜田省吾のパロディキャラ・ハラショー(苦笑)が登場し「エンドレス」を熱唱する…というオフザケ部分も含めて(?)彼のジャンル毎の振り幅の大きさを実感できるライブだと思います。

 毎回恒例の副音声コメンタリーは、前作同様STARDUST REVUEの根本要を迎えての収録。前作はライブと関係ない裏話がメインでしたが、今回は事前に映像作品をチェックした根本がライブを映像を見ながらステージ演出について質問し、KANがそれに解説を入れる、というちゃんとした体裁(という言い方も変ですが・笑)のコメンタリーが実現。今後もこの方向で続けて欲しいですね。