YAMAZAKIROSE 2015年8月19日発売、山崎まさよしのデビュー20周年を記念してリリースされたベストアルバム。全15曲収録。初回限定生産盤はカラーケース仕様に加え、CD収録曲+αのMVを収録したDVDが同梱の2枚組。

 20周年記念のベストですが、収録年代はサブタイトルの通り、直近の10年間。デビューからの10年間をまとめたものは2005年に「BLUE PERIOD」というシングルベストをリリースしており、本作はその直系の続編。「BLUE〜」は2003年までの全シングル+当時最新シングル「8月のクリスマス」を収録していましたが、本作は2004年のシングル+2005年の「8月のクリスマス」以外のシングル+それ以降にリリースされたシングルを時系列で並べる構成となり、ラストにボーナストラック的に収録された「One more time,One more chance」の未発表バージョン(後述)も含めて楽曲バージョン的には「BLUE〜」「ROSE〜」共に一切の重複はありません(なお、デビューから2006年までの全A面シングル曲とMVを収録したCD+DVDの「BLUE PERIOD」の期間限定生産盤も2008年に発売されており、こちらとは楽曲が4曲重複)。

 さて、ここ10年間の山崎まさよしの活動はというと、キャリアの代表曲となるような曲は生み出されてはいないものの、定期的にシングルをリリース、アルバムも2〜3年に一度リリースと、音楽シーンの前線からは若干退いた感もありますが、手堅い活動を続けているイメージ。本作に収録されたシングル群も、特に斬新な実験曲や、世間を驚かすような型破りな楽曲は見受けられない代わりに、ベテランらしい安定の「山崎まさよしブランド」を完全に確立しており、安心して聴ける内容。インパクトの面であまりシングルらしくない曲も正直あるのですが、叙情的な「メヌエット」、渋いアプローチの「アンジェラ」、彼の中ではポップ色の強い「花も嵐も」、泣きのバラード「花火」「アルタイルの涙」あたりが改めて印象に残りました。

 最後の2曲は初音源化の楽曲。翌月にシングルとしてリメイクされた「21世紀マン」はゆるいレゲエ風の雰囲気にやさぐれ調(?)な歌詞がマッチした佳曲。そしてラストに配置された「One more time,One more chance」は、ご存知名刺代わりのナンバーの「1993年制作DEMOトラックスVer.」とのこと。ピアノ音色をメインにしての弾き語りバージョンで、朴訥な味わいがあります。1997年発表の曲が4年前の段階で歌詞も含めてベーシックな部分が固まっていたとは驚きのテイクで、ベスト盤ならではのサービスといったところでしょうか。

 なお、同日にはカップリング曲を中心に構成された裏ベスト「UNDER THE ROSE 〜B-sides & Rarities 2005-2015〜」も発売。コアファンにとってはこちらのほうが嬉しい内容かもしれません。こちらもエントリーを改めて後日レビューしたいと思います。