chagehurray 2015年9月16日発売、Chageの通算4枚目(ミニアルバムとしては初)となるオリジナルアルバム。同年7月に配信限定でリリースされた「天使がくれたハンマー」を含む全6曲収録。初回限定盤には同曲のMVやファンクラブイベントでのライブ映像を収録したDVDが付属。

 2009年以降無期限活動休止中だったCHAGE and ASKA。2013年に復活ライブを宣言するもののASKAの体調不良で開催中止、そして翌年のASKAの逮捕でチャゲアスとしての活動は完全に白紙になってしまった…という、本人達にとってもファンにとっても激動のここ数年間。その間Chageはファンクラブツアーや配信楽曲などをリリースし地道に活動してきましたが、本作はそんな彼が5年振りにリリースしたオリジナルアルバムとなります。なお、プロデュースはChage本人と、長らくチャゲアスの活動を支え続けた山里剛との共同名義。

 Chageのソロを聴くのは1998年のベスト「PROLOGUE」以来。この作品はチャゲアス名義での彼メインの曲や、MULTI MAXの楽曲を構成したものだったので、純粋なソロ作品という意味では初めて。イメージ的にはバラードや、マニアックな実験曲が多い、という先入観で見てきたのですが、本作はそんな印象を一気に覆す、CDジャケットの花柄シャツに黄色いサングラスという派手な出で立ちも納得の(笑)ポップでカラフルなナンバーが目白押し。勢いのあるプログラミングとミュージシャンの生演奏、コーラスが潤沢に、でも詰め込み過ぎずにバランス良く成り立っているアレンジの曲が多いですね。
 そしてもうひとつの特徴は歌詞。Chage本人が本作のために書き下ろした歌詞は「Hurray!Hurray!」のみ、他は松井五郎の手によるものなのですが、大変な時期に見守ってくれたファンへの感謝、そして「どんな壁だって 苦しみながら 進むために 砕いてきた」(「天使がくれたハンマー」)、「思いの果ては まだここじゃないさ」(「equal」)、といった歌詞が語るように、今後も辛いことがあるかもしれないけど前を向いていくよ、というメッセージがアルバム全体に溢れているのにはかなり心の琴線に触れるものがありました。

 また、目玉としてはチャゲアス名義のセルフカバーが2曲、「ロマンシング ヤード」と「光の羅針盤」が2015年バージョンとして収録されています。特に前者は1987年にシングルとしてリリースされ、大ヒットしたベスト盤「SUPER BEST II」にも収録されているので彼の曲の中でも知名度の高い曲。原曲よりもキーが下がり、激しめで攻撃的なロックという面は後退して、ポップミュージックとして再構築したような内容になっていますが、内面から湧き上がる熱情のようなものは原曲と負けず劣らず。筆者もこの曲のセルフカバーが気になって本作を手にしたという経緯がありますが(笑)、チャゲアスのファン層にもChageソロへの引き込みという点では良いカバーだと思います。このカバーも含めて全6曲、予想以上の良作でした。