beginpia 2015年9月28日発売、デビュー25周年を記念して「ぴあMOOK」として刊行されたBEGINの特集書籍。

 主な構成は、25年間の活動を振り返る「LONG INTERVIEW」、デビュー日である今年の3月21日に石垣島で開催されたメモリアルコンサートの「ライブレポート」、BEGINの歴史を沖縄の歴史と共に年表で辿る「BEGIN HISTORY」、シングル・アルバムの「DISCOGRAPHY」、2001年から毎年BEGINがホストを務める「“うたの日コンサート”の軌跡」、元THE BOOMの宮沢和史らとの「Special Talk Session」、そして親交のあるミュージシャンやファンからの「お祝いメッセージ」といったところ。コンテンツはそれぞれ独立していますが、全体的にBEGINへのインタビューを基に記事を起こしてのテキストが多く、彼らの生の言葉を感じられる内容に。

 グランドイカ天キングとなり、予想外の速さでのデビューを果たして「恋しくて」が大ヒット、しかしその後は試行錯誤の時期が続いた90年代、「島人ぬ宝」など、地元である沖縄に密着した音楽を全面に出してブレイクした00年代、そして日本のみならずハワイ、ブラジルと、国境を越えて皆で楽しめる音楽を提唱し始めた10年代と、一括りにBEGIN25周年といっても様々な時代がありますが、今回のムックではメンバーは過去の話については「こんなこともあったね」といった触れ方にとどまり、むしろ今後の活動についての意欲的な発言が印象に残りました。筆者も「いい加減新しいオリジナルアルバム出してくれ!」と思ったりしているわけですが(苦笑)、各インタビューでも語られているように「日々の暮らしに溶け込む音楽」を常に目指し、「うたや踊りに携わる人たちが音楽をやり続ける“場所”を作る」という意欲がある限り、今後のBEGINも懐古的にならず、新たな要素を取り入れて活動をしていってくれるのではないかと期待が持てそうです。

 そして、筆者的にとても勉強になった(?)のは「DISCOGRAPHY」。一部ベスト盤を除く彼らの全アルバムを1枚ずつ、11頁という結構なスペースを割いて丁寧に解説しており、各アルバム作品毎に詳細な、楽曲への愛情を垣間見せつつ、決して崇拝的ではない客観的な視点でまとめられているレビューには感服いたしました。文責が書いていないのでどなたの文章なのかははっきりとしないのですが(この書籍に全面的に関わっているライターの方かも?)、私も本ブログで感想を書く身として、とても参考になりました。そんな私見とは別に(笑)、こうやってBEGINがリリースしてきた歴代の作品を一挙にレビューした書籍は今回が初めてではないかと思いますので、ついに出てくれたか…という感慨もひとしおですね。

 読み応え満載のインタビューやレビューが取り揃えられた「一冊まるごとBEGIN特集」。税込約1,500円ですがコストパフォーマンスに優れた、BEGINファン必読本ですね。今月末には待望のオリジナルニューアルバムの発売も決定。この本を読みながら発売を楽しみに待っていたいと思います。