tmgetwild 2015年3月21日発売、同日と翌日の二日間にわたり横浜アリーナで開催された「30th FINAL」にて会場限定で発売されたTM NETWORKの限定シングル。表題曲のインストを含む全3曲収録の紙ジャケット製CD。約1ヶ月後の同年4月22日にはiTunes等で配信がスタート。その際に新たに1曲を追加して収録しています。

 表題曲の正式名称は「Get Wild 2015 -HUGE DATA-」。ご存知(?)「Get Wild」のリアレンジバージョンなのですが、オリジナル(1987年)、「〜'89」(1989年)、「〜techno overdub mix」(1993年)、「〜DECADE RUN」「〜DECADE RUN -112 CLUB MIX-」(1999年)、「〜DECADE RUN '99 Version」(2003年)、そして昨年発売された「〜2014」と、TM名義のスタジオ音源だけでも今回のリリースで実に8回目(他、ライブ音源は無数に存在)という、TMを語る上で切っては切れない代表曲なわけですが、この度は2014〜2015年の各全国ツアーで演奏されていたバージョンを「Get Wild 2014」をベースに再構築。4分を超える派手なEDMサウンドの長尺イントロが過ぎると、原曲の印象的なイントロフレーズが顔を出し、歌が始まると意外と原曲を尊重したパート演奏(リズムトラックは全然違いますが)が続き、最終的にはまた長いアウトロで締め…という、演奏時間11分超の大作ですが、その大半を構成するインスト部分も結構動きがあるのでそれほど長さを感じさせず聴ける作品に仕上がっています。

 2曲目は「Children of the New Century -FINAL MISSION- 〔Instrumental〕」。原曲は5thアルバム「humansystem」収録曲で、2013年のライブ「START investigation」のオープニングナンバー仕様のインストアレンジ。オリジナルよりもテンポを落とし、歌メロ部分は完全にカット。変わってイントロのリフを核に据えたこちらもバリバリのEDMサウンド。このイントロが始まるまで一体何の曲なのかが分からない、という、TMのライブの醍醐味を体感できる楽曲です(笑)。

 3曲目の表題曲インストを挟み、配信用に追加で収録されたのは「Just Like Paradise 2015」。こちらは「30th FINAL」のオープニングムービーと共に流された、8thアルバム「EXPO」収録曲のリメイク。構成を簡略化した上で、原曲のハウスサウンドを洗練させたタイプのリメイクで、宇都宮隆はほとんど歌っていないものの(苦笑)、木根尚登や葛城哲哉のコーラス、原曲で使用された女性のコーラスも引用され、高揚感が強まった印象。昨年から続くリプロダクション作品の中で、最後にして最高の出来のナンバーが登場した、と筆者は思っております。

 現在はそれぞれソロワークに戻った彼ら。一連の30周年の活動の締めくくりは11月22日発売の横浜アリーナのライブ作品で恐らく打ち止め。以前にも書きましたが、予想以上の充実した30周年でした。次にまたこの三人がTMで動き出す時を気を長くして(笑)待っていたいと思います。