deenzenkai2 2015年7月29日発売、DEEN通算15枚目のオリジナルアルバム。シングル「君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている」「千回恋心!」のアルバムミックス(全開MIX)を含む全11曲。初回生産限定盤にはプラスチック製のスリーブケース+昨年末のカウントダウンライブを全曲収録した143分にも及ぶBlu-ray Discが同梱の2枚組。なお、彼らの映像作品がDVDではなくBlu-rayのみで発売されるのは今回が初めてとなります。

 約一年半ぶりのニューアルバムである本作のテーマは「全曲ラブソング」。といってもこのコンセプトは初めてではなく、2010年末にアルバム「LOVERS CONCERTO」でも取り組まれていたのですが、「LOVERS〜」がゲストアーティストとのコラボを打ち出し、比較的大人びた作風だったの対し、本作はDEEN+ツアーのバンドメンバーという固定ミュージシャンでほぼ作り上げられ、また真夏のリリースということもあってか、作風も40代半ばであるメンバーの実年齢から考えられないほど(笑)若い、「夏・海・恋」のイメージ…という好対照な作品になっています。
 この「若さ」、ボーカル池森秀一によるピュアな歌詞が一役も二役も買っているのではないかと思うのですが、本作には長年連れ添ったようなカップルは登場せず、「スマイリン」や「ジェットコースター」をはじめ、付き合い始めてそれほど経っていない雰囲気の二人が悩みを打ち明けたり、喧嘩したりしつつ君が好き…といった恋愛を生きる主人公達の物語が多く描かれており、既に30代も後半を迎えた筆者には「初々しいな〜」という感想です(笑)。もう少し大人な内容のラブソングも欲しかったかも。

 なお、構成のほうはここ数年のアルバムを踏襲してか、中盤に田川伸治、ラスト一個前に山根公路(=上海ロックスター・笑)のそれぞれのソロ作品を配置していますが、ソロではいつもはアグレッシブな曲が目立つ田川がリラクゼーションミュージックのような「Emerald Ocean」、飛び道具系の楽曲の多い上海ロックスターが王道ポップスの「Wild Road Dreamers」と、それぞれ定番崩し的な作品を揃って出してきたのは新鮮でした。この2曲と比較すると他の楽曲は斬新な試み、という感はありませんでしたが、全体的には先行シングル2曲+カップリングの「ありのまま抱きしめよう」の勢いでアルバムをリードする、夏向け全開アルバムという印象ですね。

 Blu-rayは2014年大晦日にZEPP TOKYOにて開催された「DEEN LIVE JOY-COUNTDOWN SPECIAL 〜マニアックナイトW(`0`)W〜」。当日のライブの感想はこちら。定番曲は一切演奏せず、要所要所でフェイント演出を挟みながら楽曲発表前後にしか演奏されなかった曲、今まで一度も披露しなかった曲を十二分に演奏しながら進行していく、DEEN史上最もコアファン向けのライブで、当然ながら多くの曲は初ライブ映像化となります。ライブ当日に既にリリース予定と語られていましたが、もう二度と演奏されない曲もありそうですし、全曲収録の完全版で世に出してくれたことには感謝感激。またBlu-rayということもあってか、メニューやチャプター画面がしっかりと見栄え良く作られたところも嬉しいポイントです。
 さて、感想にも書きましたが、二階席の立ち見ゾーンまでもが完売するという盛況っぷりだったので、多くのファンは代表曲・定番曲の連発だけではなく、レア曲の演奏も求めている、ということをメンバーをはじめスタッフの方々に改めて認識してもらえたのではないでしょうか。まあ今回ほどマニアックなライブは当分ないとは思いますが(笑)、今月末から開始のZEPPツアー、そして10月の武道館公演ではそのバランスを考慮して楽しませてもらいたいな、と思っております。