fujimaki2nd 2015年5月13日発売、現在活動休止中のレミオロメンのボーカリスト・藤巻亮太のミニアルバム。全6曲収録。初回限定盤には藤巻自身が撮影した写真集が付属。

 2012年10月にソロデビューアルバム「オオカミ青年」リリース後、ライブ活動はあったものの、その後のリリースが滞り、その間の藤巻は海外に登山に出かけたり、写真を撮影したり…と、約二年もの間ミュージシャン的な創作活動の話がまったく聞こえてこず、「藤巻亮太は一体何をやっているんだ!」と若干憤りを感じていたのですが(苦笑)、昨年秋に2008年までレミオロメンとして所属していたSPEEDSTAR RECORDSに復帰し、配信限定シングル「アメンボ」、そして12月にはシングル「ing」をリリース。そして本作はミニアルバムながら約二年半ぶりのアルバム作品。なお、「アメンボ」や「ing」の収録曲は今回は収録されず、全6曲すべてが初の音源化となる楽曲となります。

 前作は比較的ロックバンド的なアプローチの曲が多く、ギターロックから始まってピアノやストリングスを潤沢に使用したポップなサウンドへの移行を経て、「音楽性を一回りして戻ってきたレミオロメン」というイメージがあったのですが、本作に関しては前作のバンドサウンドを踏襲しつつも、ミディアムやバラードが中心ということもあり、割とポップ寄りでしょうか。藤巻本人が単独で全曲のアレンジを担当し、ギターのみならずベースやシンセを弾いている曲もありと、本人の成長が窺えるのが嬉しいところでもあります。
 楽曲制作について本人自身はインタビューなどで語るところによると「レミオロメンとソロとの差異を図ることに悩んでいた」、ということですが、本作はそこにうまく回答を見つけられたと語っており(大意)、実際に「旅立ちの日」や「名もなき道」など、過去の日々に手を振ってこれからの道を歩んでいこう、という決意を感じられる曲も収録され、ようやく吹っ切れたのかな、とひと安心(?)したり。斬新な驚きはないですが、楽曲、アレンジ、歌声と共に、以前よりも安定感を感じることができました。

 改めてソロミュージシャン・藤巻亮太の再始動宣言のミニアルバム、といった趣。本作に至るまでに空白期間が開きすぎたこともあってか、話題性としてはかなり厳しい現状であり、今後は如何に従来のファン以外に向かって自分の音楽を発信していくか、というのが課題になるのではないかと思います。筆者としては本作に収録されているヴァンフォーレ甲府の応援歌として書き下ろされた、彼の中では珍しいシンガロングタイプの「ゆらせ」という曲がちょっと新鮮であり、こういうタイプの曲も書けるんだ、と思いましたので、まだ新しい切り口が彼の中には幾つかあるのではないか…と期待しています。