
tacicaは2005年に結成された北海道出身のロックバンド。インディーズ活動を経て2008年にSME Recordsからメジャーデビュー。2014年1月にドラマーが脱退し、現在のメンバーは猪狩翔一(Vo&G)、小西悠太(Ba)の二人。本作は約1年10ヶ月ぶりのニューアルバムとなり、その間にリリースしたシングル「HALO」は三人時代の楽曲ですがアルバム収録に際しての変更などは無い模様(但し、元ドラマーの演奏クレジットは無表記)。他の9曲のドラムスに関してはサポートドラマーを起用して録音。プロデュースはYUKIやいきものがかりなどの楽曲アレンジを手掛ける湯浅篤が担当しています。
彼らの持ち味…というか最も特徴的な部分を挙げるとすれば、何と言っても「言葉」でしょう。他のアルバムは未聴なので断言はできませんが、本作に限れば猪狩の書いた全10作の歌詞の内容、どの曲も抽象的過ぎて文学、哲学の域を超えて難解で訳が分かりませんでした^^;。明確なストーリーを描くのではなく、モノローグを思わせる文節を多く見受けたのですが、比喩や暗喩らしきものを散りばめ、リスナーに解釈を委ねていると思われるこの作風がtacicaの強烈な個性なのかも…と思いました。
そんな難解な「言葉」とは逆に、「楽曲」のほうはかなりシンプルで明快。どこか哀愁を漂わせるメロディーに、ギター+ベース+ドラムスのスリーピースで演奏陣は完全に固定。ギターの音は重ねていたり、演出的にノイズを挿入したりという箇所はあるものの、イメージとしては一般的な認識としてのBUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATION辺り、といった感じで、ギターロック系としては分かりやすい部類のバンドだな、という印象。
「LUCKY」のような爽快なビートロックや、メロディーが美しい「幽霊のいない街」など、聴いていて「おっ!」と思った曲もありましたが、筆者としてはあまりにも歌詞が理解できなくて…という意味では嵌まることは出来なそう(苦笑)という感想を抱きました。相反する「言葉」と「楽曲」のミスマッチを楽しめるか、という意味で好き嫌いが分かれそうな作品であり、バンドであるかな、と。
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