ikimono7 2014年12月24日発売、いきものがかり通算7枚目のオリジナルアルバム。シングル「ラブソングはとまらないよ」「熱情のスペクトラム」「涙がきえるなら」「GOLDEN GIRL」を含む全16曲収録。初回生産限定盤はCD+DVD+特典を収めた三方背ボックス仕様。

 最初と最後のトラックを短いインストで挟むという新たな試みがされている本作。今回はアルバム曲を多く手掛けていた山下穂尊の作品が減り、水野良樹の作品が割合的にアップしたという点以外は、本間昭光を筆頭に亀田誠治、江口亮、鈴木Daichi秀行、島田昌典といった、彼らの作品ではすっかりお馴染みのアレンジャー陣とポップス畑の代表的ミュージシャンを豊富に取り揃え、適度にバラエティ感のある楽曲が実質14曲配置というのはいつも通り。いつも通りといえば、70分超えのオリジナルアルバムという点も同様なのですが、一曲一曲の演奏時間はそれほど長くはないし(短くもないですが)、それなりに緩急を付けて作品が進んでいく、本作も「王道で正道を行く」仕上がりに。

 さて、今回ひとつ気になったのが、メジャーデビューしてもう10年、メンバーも三十路を迎えたわけですが、ラブソングにしても応援ソングにしても、歌詞が真面目で真っ直ぐ、良くも悪くもNHK御用達的(という表現も変ですが)な部分に変化がない点。本作はアルバムに1曲ぐらい入っていた「じょいふる」や「ぱぱぱ〜や」といったお遊び曲がゼロ、ということからもそういった印象を受けてしまうのかもしれませんが、彼らの実年齢の割にはちょっと擦れてないと言いますか、歌の世界が優等生過ぎかな、とは感じました。敢えてポップなアイコンを意識した作品づくりをしているのかもしれませんが、メロディーのほうは陰を感じさせる「LIFE」や「春」、歌謡曲的な「陽炎」、しっとりバラードの「SNOW AGAIN」と、画一的になることなく書き上げることが出来ているので、むしろ今の彼らには歌詞の面で今後の変化を期待したいと思ってしまいました。

 個人的には「熱情のスペクトラム」や「陽炎」のようなマイナー歌謡曲路線に魅力を感じているので、こういった面をもうちょっと表に出してくれると嬉しいですかね…。