
デビュー30周年を記念して制作された映像作品ではありますが、ソニー主導の企画ということで、やはりと言いますか、1984年〜1994年、デビューから「終了」までの10年間に絞った映像になっています。構成は、それらの映像を振り返りながらのメンバーのインタビューやナレーション…などといったものは一切なく、最初から最後まで若干時系列を前後しながらライブ映像(曲によっては短縮バージョン)のみが進んでいくというダイジェスト的なもの。
更にセレクトされた映像は、限定生産作品も含めてほぼ商品化され世の中に出ているものばかり。彼らのライブ映像作品を全て所持しているというようなコアなTMファンにとっては見慣れた映像ばかりなわけで、公開当時の「今までに発売された商品に収録されることのなかった数々の貴重な映像を含む〜」という煽りは眉唾ものだったわけですが(一応、少々の未発表映像はあり)、「CAROL」ツアー以前の映像を持っていなかった筆者にとっては、パルコでの「1974」、よみうりランドEASTの「COME ON LET'S DANCE」、日本武道館での「Get Wild」、本編ラストに収録の、新たに編集された歴代の「ELECTRIC PROPHET」の繋ぎ映像など、映像版ベスト的な楽しみ方としては(値段の安さも含めて)アリだと思いました。
特典映像は、1988年〜1992年のテレビ東京系の深夜にEPICレーベルアーティストのライブ映像やPVをオンエアしていたTVプログラム「eZ-TV」の中で、TMが登場した出演回をセレクトした「TM NETWORK on “eZ-TV”」。こちらも既に商品化されている映像もありますが、1989年のライブ「CAMP FANKS!!'89」のダイジェスト映像(後に商品化されたライブ映像の短縮版)、1991年の「RHYTHM RED」ツアーからの蔵出し映像「WORLD'S END」「69/99」などの初商品化映像もそこそこあり、こちらのほうがむしろ本編と呼びたいファンの方もいるかも(笑)。かくいう筆者も一番熱心にTMを聴いていたのは「RHYTHM RED」の頃で、今回収録された映像は当時ビデオに録画して何度も見返していたので、懐かしく鑑賞することができました。残念なのはこの「eZ-TV」、TMNが活動休止するまで番組が存続していたのにも関わらず、「EXPO」期のライブ映像がオンエアされる機会がなかったということ。ホールツアーの映像のオンエアでもあったらなぁ…と思わずにはいられませんでした。
既発内容ということに目をつぶれば(苦笑)TMのライブヒストリーを辿るのには楽しい内容。TMはCDは持っているけどライブ作品までは…というようなライト寄りに向けた映像作品だと思います。
…しかし、これでEPICレーベルは持ちネタ全部出したとは思えないんですよね。本編の1989年横浜アリーナの「CAROL」パートでいきなり前年の東京ドームの企画ライブ(未商品化)の映像らしきものが挿入されていたりと、30周年時の放出チャンスにも関わらず、まだ残りのカードを切っていないっぽいところはイヤらしいです。まだ隠し玉があるのなら、35周年辺りに出して欲しいものです(笑)。
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