デビュー30周年イヤーを様々な作品とライブで楽しませてくれたTM NETWORK。
 そのアニバーサリーイヤーの最後を締めくくる、横浜アリーナ2daysライブ「TM NETWORK 30th FINAL」の初日、3月21日の公演に行ってきました。
 今回のライブレポートでは、その模様を詳しくご紹介。ネタバレ全開です。「続きを読む」からご閲覧ください。
TM NETWORK 30th FINAL
2015年3月21日 横浜アリーナ



 筆者が前回横浜アリーナに行ったのはいつだったか・・・と調べたら、1998年春の槇原敬之のライブ以来でした。
 それから実に17年ぶり。そりゃあさすがに駅からの行き方を忘れるわけです(苦笑)。
 そんなわけで当日はJR新横浜駅から入念に道順を調べて(笑)横浜アリーナへ。

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 (久々すぎて建物自体もほとんど覚えていない。こんな街中にあったのか)

 17時開演のところを16時半ぐらいに到着したのですが、会場前の人だかりが凄かったです。
 これは会場限定販売CDももう売り切れかな?と思いきや、十分在庫があったようで、結構スムーズに入手できました(内容は後述)。
 グッズはメモリアルタグ、ラムネ入りバトンケース、タオルなどが早々に売り切れた模様。

 会場に入ると、場内には定番の花輪がズラリ。そして最新アルバム「QUIT30」のハイレゾ配信の販促か、ハイレゾ音源視聴コーナーなんてのもありました。
 さて、今回の座席はチケットによると「アリーナ席」とのことでしたが、横浜アリーナのアリーナ席(紛らわしいな)に相当する席は「センター席」と呼ばれているそうで、通された席は会場右奥の見晴らしの良いスタンドっぽい席でした。
 なお、前回観に行ったTMライブ(2013年さいたまスーパーアリーナ。以下「2013年」)ではかなり気合の入った舞台セットが組まれていたのですが、今回はステージ奥と左右に置かれたスクリーン、ステージ頭上の巨大円形LED装置(?)以外は極めてシンプルなステージセットでした。

 会場BGMは彼らのCD音源をランダムに流していた模様。「Beyond The Time」「Jean Was Lonely」「Maria Club」「The Point of Lovers' Night」「Castle In The Clouds」等々。

 開演時間を若干押して、17時05分頃にスタート。
 「Just Like Paradise」のEDM風アレンジが暗転した会場に流れる中、スクリーンでは小室哲哉がジェット機(?)の中で「TM NETWORK」と書かれたバトンを眺めて云々…という映像が。
 そのバトンを地上に投下して映像が終わると、バンドメンバーが登場。今回はTM三人の他、ドラムに阿部薫、ギターは葛城哲哉と松尾和博のツイン、パーカッションにRuyという計7人編成。2013年の時と異なり、特に登場時の演出などはなく、普通の登場の仕方でした(笑)。

1.Rhythm Red Beat Black
 オープニングは90年のシングル曲。
 葛城哲哉がこの曲の代名詞でもあるトーキングモジュレーターをギュンギュンやり出したので一気に沸き立つ会場(笑)。TMN期(1990〜1994年)の曲は結構不遇な扱いを受けていると思うのですが、今回は一曲目に抜擢!

2.Children of the New Century
 5thアルバム「humansystem」収録曲。
 2013年の時は演るかと思わせてインストで肩透かし(ちなみにその時に使用されたインストバージョンが今回の会場限定販売CDに収録)だったので、今回フル演奏が聴けたのは嬉しかったです。ただし、曲中の英語コーラスやアウトロの英語語りなどは今回は省略。

3.Here,There & Everywhere
 4thアルバム「Self Control」収録曲。スクリーンの星空をバックに。
 この曲のみ宇都宮隆(以下、ウツ)はギターを抱えて歌っていました。

4.Screen of Life
 2004年のシングル曲。木根尚登のちょっと長めのエレアコのソロでの繋ぎが直前にあり。
 オリジナルはトランス風味だったのですが、生演奏主体で聴くと良い方向に印象が変わりました。
 なお、この曲が終わるとウツが一旦ステージから退場。

5.Birth
 昨年発売の最新アルバム「QUIT30」収録の、「QUIT30組曲」の一曲。
 小室・木根+バンドメンバーはステージで演奏&コーラス。ウツだけが登場せず、スクリーンの映像の中で歌う演出が。(ということはボーカルは音源使い回し?)

6.A Day in the Girl's Life
7.CAROL(Carol's Theme I)

 6thアルバム「CAROL」から。ここで「CAROL組曲」が登場。今年初頭のライブツアー「QUIT30 HUGE DATA」で久々に演奏されたものを、映像を含めての再演のようです。
 個人的には2013年ライブでは外国人による口パク演奏が残念だったので、ようやくTMが演奏するCAROL組曲が観れた〜!という喜びが(笑)。

 この後、スクリーンに1988〜1989年の「CAROL TOUR」でキャロル役を演じた女性バレエダンサー(パニーラ・ダールストランド)が現在の姿で登場。「17歳の時の私を観てください」みたいなことが字幕で表記。

8.Gia Corm Fillippo Dia
 引き続き組曲。ウツは登場せず、LEDレーザーが会場を飛び回る中、インストでの演奏。
 スクリーン映像には「CAROL the LIVE」や「CAROL DELUXE EDITION」のDVDに収録されている、1989年当時のツアー「CAMP FANKS!!'89」でのキャロルの姿が。むしろキャロルより敵の手下が踊っている映像の方が多かったような(笑)。

9.In The Forest
10.CAROL(Carol's Theme II)

 ここからはボーカル復帰。スクリーンに同じ曲を演奏する1989年当時のTMメンバーが映し出され、メンバーの今昔見比べ映像みたいな感じに(笑)。

11.Just One Victory
 一連の組曲の大トリを飾る…はずが、1コーラス目は現在のキャロル(パニーラ)がウツ、木根にメッセージを伝える(小室には確かなし。一緒に映像に映っていたからか?)セリフが挿入されるためか、歌が入るのは2コーラス目から。
 最後のリフレイン「Just One Victory Now〜♪」を観客のみに歌わせる演出などが入り、大団円的に終了。


 ここで開演前にもアナウンスされていた、「15min.intermission」
 要は休憩です。無機質なリズムが淡々と会場に流れる中、サイドスクリーンには2012年からのライブの映像(たぶん商品化済)のダイジェストが流されていました。

 …15分後、ステージ中央にピアノがセットされ、木根、葛城、Ruyの三人が登場。


12.月はピアノに誘われて
 8thアルバム「EXPO」収録曲。木根リードボーカル曲。
 木根は歌&ピアノ、葛城がエレアコ、Ruyがパーカッションという編成。この曲を大会場で弾き語りするのは慣れていないのか、二番のサビをミス。その後の間奏でニヤっと苦笑いするところがスクリーンで見事に捉えられていました(笑)。

13.あの夏を忘れない
 同じく「EXPO」収録曲。今回はTMN期の曲も結構演奏してくれていますね(インスト含めて5曲)。
 キーが下がったのでイントロだけでは何の曲か分かりませんでしたが。なおウツはピンクのカジュアルなシャツを着て爽やかに登場。

14.小室キーボードソロ
 「Self Control」のイントロのリフから始まったのですが、そのイントロが延々と繰り返されてなかなか先に進まず。
 いつの間にかステージは小室一人になり、乱舞するLEDレーザーと共に、組み上げられたシンセ要塞の中でアルペジエイター(機械でアルペジオを自動で鳴らし続けるやつ)が流れる中、ちょっとキーボードを弾いて〜の繰り返し。クラブDJっぽい演出でしたが、これで15分近くやっていたような…。

15.Get Wild
 小室ソロから引き続いて、1987年のシングル曲。
 なかなかイントロが始まらない、TMらしい(笑)新アレンジ。先述の会場限定CDに収録されている「Get Wild 2015 -HUGE DATA-」を基にした、EDM正調進化形、とでも言うべきアレンジだったと思います。

16.小室キーボードソロ
 再びのソロ。今度は一台の赤いシンセをキーボードスタンドから外してステージ中央に持っていき、縦にしてツマミをギュインギュインチュイ〜ン♪と弄り回すのを延々。
 …これは正直冗長でした。どうせソロなら「終了」ライブの時のような、TM曲を鍵盤で即興メドレー方式で弾くとかしたほうが会場的にも盛り上がったと思います。
 最後はステージ下にシンセを投げ捨て、その瞬間にドカーンと爆音が炸裂!!

17.We Love The Earth
 1991年のシングル曲。先ほどの爆音に関しては何の説明もなし(笑)。
 葛城哲哉の野太いコーラスが当時を思い出させてくれて、何だか懐かしかったです。
 スクリーン映像は地球を俯瞰していく(地球から遠ざかっていく)ようなものに。

18.Be Together
 「humansystem」収録曲。
 今やシングル級に知名度のある曲。ウツの「Welcome to the FANKS!!」の掛け声や、サビ前のターン(これが盛り上がる)、テープの乱舞があり。
 演奏終了直後に「RHYTHM RED TOUR」での三人の姿に始まり、これまで30年間のライブ映像の静止画がスクリーンいっぱいに放出。

19.I am
 2012年のシングル曲。
 30周年に向けてのここ数年のライブのテーマソング的な曲。サビに高揚感があって会場大盛り上がり。小室がショルダーキーボードを抱えて木根と一緒にステージを駆けたのもこの曲だったような。
 演奏終了後、静寂の中で「Yes I am.I am a human.We are human」というウツのセリフ有。

 TM NETWORK30年の歴史を総括したようなコメントがスクリーンに表示され、いよいよ本編ラスト。

20.Fool On The Planet
 「Self Control」収録曲。
 筆者お気に入りのキネバラです。レア曲というわけではないようですが、最後に聴けて良かった。


 アンコールは無しで、「Electric Prophet」のインストを流しながら、小室、ウツ、木根の三人がステージ中央に集合。手を振る中、スモークの中に消えていく…という退場方法でした。
 スクリーンにはスタッフクレジットのエンドロールが流れ、地上に突き立てられたTMバトンの映像、「TM NETWORK FINAL」の文字、続いて「THANKS the FANKS!!」の文字が映し出され無事ライブ終了…と思いきや、

 「このバトンを預かる意志のある方は、QRコードを読み取って下さい」

 みたいなメッセージが最後に出て、会場は一気に撮影会状態に(笑)。

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 (撮影会の模様。光っているのがQRコード。遠すぎてガラケーでは無理です)

 さすがに撮影は諦めましたが、なんと出口の各扉にQRコードが貼り出してありました(笑)。
 内容は当日来場の皆様の心の中に、ということで。 
 なお、客出しBGMで「You Can Dance」、スクリーンには30年間の全ライブツアーの公演名やサポート出演者(B'zの松本孝弘やaccessの浅倉大介の名前もあり)がスクロールで流されていました。


 そんなこんなで終演は19時半過ぎぐらいでしたか。休憩を入れて約2時間半のライブでした。
 この30周年に向けて、2012年の「Incubation Period」、2013年の「FINAL MISSION」、2014年の「the beginning of the end」「QUIT30」、そして2015年の「QUIT30 HUGE DATA」まで、TM NETWORKは宇宙から地球を調査するために来訪した潜伏者、という設定を軸にしたコンセプトライブを敢行してきたわけで、今回の「30th FINAL」でもそのキーワードが盛り込まれていましたが、アリーナ開催ということもあり難解な要素を取り除き、「30年間の活動報告」という体裁を前面に出して、今までのライブに参加してこなかった観客でも(キャロルの発言など一部を除いて)楽しめるような演出方法にしたのかな、という印象です。
 なお、今回は休憩時間を挟んでの二部構成。手術明けの身体で一年間ライブを続けてきた宇都宮隆の体調面を考慮してのことでしょうか。セットリストもなるべく彼に負担をかけないような配慮がされていたように思えます。出来れば長尺の小室ソロコーナーを短くして、あと2〜3曲ぐらい演奏して欲しかったかな…と思いますが、これがギリギリのラインだったのでしょう。ライブ全体としてはとても楽しめた公演でした。

 さて、横浜アリーナ2days、今日22日の公演でファイナル。
 そしてTM NETWORKの30周年アニバーサリーも本日をもって完結、ということになると思います。
 以前にも書きましたが、20周年の時があまりにもアレだったので(苦笑)、去年からの1年間、予想以上の活動をしてくれた彼らには感謝の言葉以外見つかりません。
 30周年が終わったらひとまずTMは休止になるでしょう。それがどれぐらいの長さになるか分かりませんが(特にウツはゆっくり静養して欲しい)、また再び動き出す時を心から楽しみにしていたいと思います。