magokorosing 2014年11月19日発売、真心ブラザーズ通算14枚目のオリジナルアルバム。シングル「消えない絵」(新録)、「I'M SO GREAT!」を含む全12曲収録。初回限定盤はPVとライブ映像を収録したDVDが付属。

 結成25周年を機に、デビュー以来所属してきたソニー(EPIC→キューン)系列から独立し、徳間ジャパンコミュニケーション内に自主レーベル「Do Thing Recordings」を設立。クレジットにもある通り、マネージメントはソニーが引き続き担当しているようですが、制作スタッフを一新しての再スタートを切った彼ら。オリジナルアルバムとしては2012年4月の「Keep on traveling」以来約2年半ぶりのリリースとなります。前作が全19曲70分超えという超大作(?)だったのに対し、本作はトータル47分と比較的コンパクトな収録時間。

 その前作はラップあり、カバーあり、ディスコビートもありと、何でもありのアルバムでしたが、今回は半年前に先行してリリースした「I'M SO GREAT!」以外は基本的に真心二人+ベース、ドラムスの四人の完全固定に、曲によってはエレピやパーカッションがゲスト参加する形態のバンド編成で1枚を通しており、演奏に統一感が生まれています。なお、キューン時代のシングル「消えない絵」もこのバンドで新たに再録されており、その際のサブタイトルの一部「Low Down Roulettes」がバンドの名称とのこと。

 そんな彼らが奏でた楽曲は、全編通じて良い意味でキャッチーなメロディー。そしてオーバーダビングを最小限に抑えた、「四人のバンド」ならではの風通しの良いライブ感。世界観まできっちりと作り込まれた音楽の対極にある、例えば「ジャーン」とロングトーンでエレキのコードを鳴らした時の高揚感のような、本能を脳から直結で楽器に送り込んだ(?)「聴いていて気持ちの良い音の出し方」をしているような感想を抱きました。その最たる曲が「I'M SO GREAT!」(この曲はメンバーは違いますが)かな、と思うのですが、この曲のノリが好きならば間違いなく楽しめるような作品だと思います。
 歌詞に目を向けると、ノスタルジーを感じさせる「グライダー」、「わけ」「君がそばにいるだけで」のようなシンプルなラブソング、桜井秀俊の実体験を歌にしたというストーリー性のある「あいつが夢所からやってくる」、「ふりかけ」のような何気ない日常を描いた歌詞など、様々な切り口の曲が並んでおり、総じて地に足を付けたような「真心らしい」ポジティブなテーマが好印象でした。

 新レーベル設立で、気合…という言葉は彼らには似合わないので控えますが(笑)、いい感じで気の入った一作。代表曲「どか〜ん」や「サマーヌード」ぐらいしか聴いたことがない、というリスナーにも真心入門編としてお薦めしたい好盤です。