12aoi 2015年1月7日発売、山崎あおいのセカンドアルバム。シングル「スクランブル」「ふたりで歩けば」を含む全12曲収録。初回限定盤はライブ映像が収められたDVDが付属。また初回限定盤と通常盤初回プレスには応募者全員に「未発表新曲スペシャルCD」がプレゼントされるハガキが封入されているそうです。

 山崎あおいは北海道出身の21歳。2012年にメジャーデビューを果たした女性シンガーソングライター。本ブログにはあまり登場しないタイプのアーティストだと思いますが(笑)、昨年11月のシングル「ふたりで歩けば」が某アニメのエンディングテーマとして耳に入り興味を持ったところ、上手いタイミングでアルバムがリリースされたので借りてきた次第。
 ほとんど予備知識ナシで本作を手に取ったのですが、クレジットを手に取ると島田昌典、本間昭光、根岸孝旨といったサウンドプロデューサーや、笹路正徳、内田敏夫、河村智康、林部直樹などのミュージシャンといった、ジャパニーズポップス界の名手達が名を連ねていることもあり、楽曲アレンジはまさに王道中の王道。山崎あおい自身はギターを弾き語るタイプのシンガーのようですが、本作ではアコギを前面に押し出した曲はほぼ皆無。適度なバンドサウンドにストリングスやピアノ、オルガンが潤沢に乗った曲がたっぷりで、例えるならカラフルなクレヨンで色を重ねに重ねた…とでも表現すればいいのか、各プロデューサーやアレンジャーがしのぎを削って楽曲をポップなカラーに染め上げた結果、若干オーバープロデュースの感も。

 一方、作詞作曲はすべて本人ということで、彼女のパーソナルカラーがうかがえる作風になっていると思うのですが、本作の印象は「君と僕」あるいは「私と君」の世界。情景描写などは少なく、作品の主人公のモノローグを綴った曲が大半で、特定の相手に語りかけているような文体もあわせて、何だか若いカップル二人の交換日記を読んでいるような気恥ずかしさを感じた…のは筆者がいい年だからなのかもしれません(笑)。意外だったのは将来への不安や焦燥などを吐露した曲(「サカナ」や「モシモボクガ」)や、男女関係でもどこか漠然とした不安を抱えているような「Charade」など、結構ネガティブな詞が多かった点ですが、こういった迷ったり悩んでいる一面も本人の個性として出せるあたりは彼女と同世代ぐらいのリスナーには等身大イメージで共感を得やすいのかも、と感じました。

 歌い手としてはそれほど特徴のある声質やテクニックを駆使するわけでもないので中庸といった聴き心地であり、ポップなアレンジで楽曲に表情を付けている印象。そのアレンジが本作では全体的に一本調子でメリハリにやや欠ける、という点で損をしている面はあります。そこが改善されれば一段階上のステップに上がれるのではないでしょうか。まだまだ若くて発展途上でしょうから、今後も守りに入らずに挑戦的な姿勢で攻めていってほしいものです。