hataever 2014年10月29日発売、秦基博の弾き語りによる初のベストアルバム。CD2枚組全21曲収録。初回生産限定盤はBlu-spec CD2が採用されているのに加え、スペシャルブックレット封入の三方背ボックス仕様。なお、通常盤も初回プレスはスリーブケース仕様。

 選曲されたのはオリジナルアルバム未収録の「言ノ葉」「ダイアローグ・モノローグ」、そして「ひまわりの約束」を含む、これまでの全シングルタイトル曲+「僕らをつなぐもの」「Girl」といった非シングルの代表曲。収録にあたりライブ音源を新たにミックスしたもの、新たにスタジオで録音されたものの2パターンがあるようですが、歌詞ブックレット巻末に収録会場(日本武道館やNHKホール等)が羅列されているのみで、曲ごとのクレジット表記は特になし。
 明確に新録と発言しているのはこちらによると「ひまわりの約束」「Girl」「グッバイ・アイザック」の3曲。「キミ、メグル、ボク」「シンクロ」「水無月」などは手拍子などが聞こえるので明らかにライブ音源だな、というのが分かるのですが、ニューミックスの効果か、全体を通してライブ、スタジオの決定的な違いは感じられない聴き心地に仕上がっていると思います。なお、弾き語りベストなのでアコギ一本での伴奏が大半ですが、アップテンポの曲では攻撃的な演奏アプローチだったり、曲によってはループマシンをリアルタイムで操作してのテイクもあったり、比較的幅のある内容だと感じました。

 さて、冒頭に「弾き語りによる初のベストアルバム」と書きましたが、既に弾き語りをコンセプトにライブ音源から当時のベスト選曲でリリースした「BEST OF GREEN MIND'09」というアルバムが2010年にリリース(こちらも2枚組)されていますので、本作はその事実上の続編といった印象。同コンセプトですが選曲的には約半分被っており、どうせなら2010年以降のアルバム曲やカップリング曲からも選りすぐった「2010〜2014年の楽曲が対象の弾き語りベスト」という形で制作してほしかったかも。特に「鱗」や「アイ」などは既にスタジオでの弾き語りバージョンが世に出ているので食傷気味なのが正直なところです(苦笑)。

 全シングル曲収録のベスト選曲とはいえ、歌+アコギというシンプルな演奏の曲が続くので、これから秦基博を聴きたい層にはバリエーション的な意味で少々敷居が高い内容なのは否めません。オリジナルアルバム数枚や2013年リリースの自薦ベスト「ひとみみぼれ」などを聴いた上で、弾き語りパフォーマーとしての彼を堪能したいリスナーにお勧めの作品ですね。