
アルバムタイトルは自動車部品の名称。そんなタイトルを反映してか、本作では自動車の商品名をそのままタイトルにした「2CV」や、ストーリーの展開で登場する「モータータウン・スイート」、そして「ドライヴ!ドライヴ!ドライヴ!」など、車をモチーフにした内容の歌詞の曲が多数。まあ元々彼らの曲の詞は自動車、ご当地、情事の三点セットというのが定番なのですが(笑)今回はアルバムジャケットやブックレットも徹底して自動車ネタで飾られていて、ある意味コンセプトアルバムのような印象。
楽曲・アレンジ面では、昨年発売されたコンピ盤「middle & mellow of Crazy Ken Band 2」からの流れを連想されるメロウな作品が目立つのが特徴。1曲目の「ドライヴ!〜」に「GT」みたいなスピード感を期待してCDを再生すると意表を突かれるのをはじめ、「ハートブレイクBBQ」「あせだく」などインパクトがあるタイトルに反してミディアムなお洒落ナンバーだったりします(笑)。「というわけで」「もうねぇ」「世界、西原商会の世界!」などのアッパーな曲もありますが、従来のCKBに見られるかっ飛ばし感からテンションをやや低めに落とした雰囲気で、彼らのアピールポイントのひとつでもあった「昭和歌謡感」を意図的に排した感があります。
これは前々作「ITALIAN GARDEN」辺りから感じていたのですが、本作ではいよいよそれが本格的になったかな、と。とはいえそれは決して悪いことではなく、むしろ「middle & mellow〜」で意外とCKBのこういう面が好きだったんだ、と再確認させられた筆者にとっては、近年のオリジナルアルバムの中では一番良かったかも、と思いました。ただし、アイキャッチ代わりのしりとりで3トラックも使われているのはさすがに蛇足だと思いましたが…(苦笑)。
以上のように、全体的にかなり落ち着いた雰囲気。「タイガー&ドラゴン」や「香港グランプリ」のような中毒性のある曲がないので、そちらの路線を期待しているファンにとっては肩透かしな内容かもしれません。逆にミドル&メロウやAOR的な演奏を好むリスナー層へ向けて、新たなイメージをアピールしているのかな?とも思った1枚でした。
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