ukasukag 2014年6月11日発売、Mr.Childrenの桜井和寿とEAST ENDのGAKU-MCが結成したユニット・ウカスカジーのファーストアルバム。配信限定シングル「でも、手を出すな!」「勝利の笑みを 君と」、FM802のキャンペーンソング「春の歌」のウカスカジーバージョン、過去に二人の連名でリリースした「手を出すな!」のユニット名義バージョンを含む全10曲+ボーナス2トラック収録。

 サッカーのチームメイトとして親交がある桜井とGAKUが、2014年のFIFAワールドカップブラジル大会を盛り上げるべく制作された本作は、彼らの交友関係や人脈をフルに活用しまくったのか、サウンドプロデューサーとして亀田誠治、寺岡呼人、RIP SLYMEのDJ FUMIYA、参加ミュージシャンに布袋寅泰、田中義人、蔦谷好位置、スキマスイッチの常田真太郎や、ミスチルの鈴木英哉などなど、ざっと挙げただけでも日本のポップス界の有名どころが集結した超豪華な1枚。ミスチルプロデューサーの小林武史は「手を出すな!」の原曲プロデューサーとしてクレジットはされているものの本作にはノータッチの模様。ということで、桜井関係の作品では珍しく小林とのタッグではないアルバムでもあります。

 前述のオールスター(?)キャストと共に作り上げられた10曲の方向性はボーカル+ラップを軸に展開されていくのを基調に、JFA公式応援歌でワールドカップ期間にも流れた「勝利の笑みを 君と」のような王道の応援歌から、ミスチルっぽさを多分に含んだ「春の歌」や「MY HOME」、ラップを前面に押し出したGAKUの土俵っぽい「縁 JOY AMIGO」、両者の音楽性を融合させたような「mi-chi」まで、参加ミュージシャン、プロデューサーの色を出して各曲を自由に作り上げている印象。1枚を通しての統一感という点ではむしろ歌詞にあり、目的に向かって心を一つに、人と人との心の繋がり、皆で盛り上がろう的な曲が多いのはサッカーを通じて結成された彼ららしいテーマだと思います。スポーツ各種競技のみならず、日常レベルにおいても通じるメッセージが込められている曲もあり、現実を見つめながらも前向きなメッセージの楽曲は聴いていて心地良いですね。
 ただ、歌メロとラップのバランスが不自然な曲がいくつかあり、どちらかの主導で作っていたものに別の要素を無理にねじ込んだ形跡も見られたのが少し気にはなりましたが、近年の大御所ミスチル=壮大なメッセージソングという世間的な足枷から解放されて、伸び伸びと音楽を楽しんでいるように見える桜井和寿の姿は爽快に映りました。

 ボーナストラックは本編後、13トラック目に「勝利の笑みを〜」のコメンタリー、14トラック目にペスカドーラ町田の応援ソング「勝て!ペスカドーラ町田」を収録。特に前者は打ち込みデモ段階からだんだんアレンジで色を付けて完成形に近づく様が分かる、なかなか公開されない舞台裏のコメンタリーが聞けて興味深かったです。