selected_best 2014年1月22日発売、2010年元旦に2枚同時リリースされたデビュー20周年記念ベスト「Best LIFE」「Best LOVE」の中から13曲をセレクトして収録したベストアルバム。日本全国の高速道路PA、SAでの販売がメインですが、一部地域のサークルKサンクスでも販売されているようです(筆者は旅行先の宮城県のサンクスで入手)。

 いわゆる高速道路での売店専用流通CDとして企画されたと思われる本作ですが、販売・発売は原盤制作のエイベックスが引き続き担当。槇原本人の公式サイトにもリリース告知がされるなど、公認作品のようです。選曲は「Best LIFE」から6曲、「Best LOVE」から7曲とほぼ半分ずつ。曲順も新たに組み直され、歌詞カードは原盤のセルフライナーノーツやスタッフクレジットこそないものの、歌詞掲載部分は原盤のレイアウトを色付きで再現しているなど、細かい拘りが感じられます。

 さて、「LIFE」「LOVE」からのセレクト基準ですが、ワーナー、ソニー、東芝EMIと、様々なレコード会社を渡り歩いてきた彼の作品をレーベルの壁を越えてまとめた2枚のベスト盤の中から、当時在籍のエイベックスが権利を持つ曲を12曲(残りの1曲「遠く遠く'06」のみは東芝EMI版権を例外的に)収録し、「エイベックス期(2007〜2010年)の槇原敬之ベスト」としてまとめ直した印象。原盤発売当時にリメイク済みだった「もう恋なんてしない'08」や、原盤の売りでもあった「どんなときも。」「冬がはじまるよ」「世界に一つだけの花」といった往年のヒット曲をリメイクした「Renewed」も8曲中7曲選ばれており、オリジナル音源ではないものの、耳馴染みのある曲が並んでいます。
 以前から何度か書いている通り、筆者は90年代の彼の作品を中高生時代に愛聴した身であることもあり、「LIFE」「LOVE」ではやはり後者のほうに思い入れがあったのですが、本作はいわゆる「ライフソング」「ラブソング」のカテゴリを取り払い、上手くシャッフルして1枚に収めており、代表曲の他、「君は僕の宝物」「LOVE LETTER」のような隠れた名曲、「GREEN DAYS」「君の後ろ姿」などの近年の楽曲が取り揃った点では、実は2枚のベストを別々に聴くよりも聴きやすいかも・・・と感じました。

 「Best LIFE」「Best LOVE」がありきの作品であり、この2作を持っていれば特に所持の必要のない抜粋ベストではありますが、代表曲のリアレンジたっぷり&近年のシングル曲+αを1枚に収めて2,000円ちょいというのは、ネットには流通しておらず手に入れるのに少々手間がかかるという難点を差し引いても、90年代の彼の作品は聴いていたけど最近は…というリスナーにとっては買って損はないかも。ヒット曲もある程度揃っているので、ドライブのBGMにも適していると思いました。