deensummer 2014年6月11日発売、DEEN初の洋楽カバーアルバム。ボーナストラックとして収録された「瞳そらさないで」の英語バージョンを含む全9曲収録。初回生産限定盤はライブDVD+歌詞カードを兼ねたオールカラーフォトブックレット付きのトールサイズパッケージ仕様。

 DEENの近年の夏の活動の定番となっている「リゾートライブ」に焦点を合わせたかのような本作。この度選曲されたのは70年代末〜80年代を中心とした、ビーチ・ボーイズやビージーズなどの往年の名曲の数々。それらの曲をアコギや爽やかなコーラスワークで構成したアレンジは、同じくリゾートライブ用のアルバムとして制作された2010年夏の「クロール」と同一のコンセプトを感じさせます。今回は「So Much In Love」ではカサリンチュ、「Lucky」では彩葉をゲストボーカルとして迎え、池森以外のメンバーもボーカルとして目立つような出番が用意されているのが特徴でしょうか。全体的に「クロール」同様、真夏の暑さの中でというよりも、それこそリゾート地のような涼しい場所で聴きたいアルバムだと思いました。中でもメンバーのコーラスを存分に活かした「How Deep Is Your Love」がお気に入りです。ただ、「瞳そらさないで」の英語バージョンは以前のリメイクアレンジを再利用してボーカルだけ英語で録り直したようなので、トラック的に変化は欲しかったところですが…。

 ところで選曲に関してですが、本作の謳い文句に「あの頃がよみがえる」とあるのですが、現在のDEENのメインのファン層は私ぐらいの30代中盤〜アラフォー世代ぐらいだと思うのですが、今回選ばれた曲は聴いたことはあっても、青春時代とはほとんどリンクしない曲ばかりで、筆者の世代よりもだいぶ上の世代の「あの頃」を意識したような節があります。最近では上海ロックスターやライブの振付など、固定ファンをターゲットにした(と思われる)活動が目立っていた彼らですが、今回はナタリーのインタビューで全曲解説もしていますし、少なくともコアなファン世代以外に向けてのアピール的な選曲、プロモーションをしてくるとは意外でした。

 DVDは年跨ぎで行われた最新ライブツアー「DEEN LIVE JOY-Break18 〜CIRCLE20→21〜」の最終日、2014年3月9日の中野サンプラザでの公演を抜粋して収録(約72分)。こちらはアルバム「CIRCLE」収録曲を中心に、「このまま君だけを奪い去りたい」などのどうしても外せない代表曲、そして当日のみのダブルアンコール曲「Birthday eve〜誰よりも早い愛の歌〜」など、全16曲(メドレー含む)が選ばれています。
 中野サンプラザ公演が映像化されるのは2011年のBreak15以来ですが、その時よりもVTRの数も増え、カメラワークも良くなって、迫力のライブ映像が楽しめる作品になっていると思います。また、当日私もライブに参加しており、ライブレポートにも書きましたが、2人のホーン隊がステージを盛り上げる様子もバッチリ収録され、DEENと他のサポートメンバーも含めた「7人の大所帯バンド」としてのステージが映像作品として世に出たのは嬉しいところです。欲を言えば、これから演奏されなそうな「永遠のジャンヌダルク」や田川伸治のソロ「Twist of fate」も収録して欲しかったのと、長時間作品にも関わらずメニュー画面が存在しないのは何とかならなかったのか…ということぐらい、でしょうか(苦笑)。

 ライト層を狙った本編CD、コアなファン向けの特典DVDと、相反する二つの組み合わせの本作。とりあえずコアファンな私としては、DVDをリピートして観まくっています(笑)。