2014年4月9日発売、井乃頭蓄音団のセカンドアルバム。全10曲収録。前作「素直な自分」から3年、途中ライブアルバムを挟んでの久々のオリジナルアルバム。この1年間でメンバーの脱退と加入があり、現時点ではボーカルギター、ツインギター、ベースの四人のメンバーという、バンドとしてはやや変則的な編成に、サポートでドラムス二人+曲により鍵盤系が入ってレコーディングが行われた模様。「素直な自分」では更にバイオリンや女性コーラスなどが入って大所帯の様相を呈していましたが、本作ではそれらの要素はなく、基本的なバンドの音で構成されています。サウンド的には「フォークロック」というカテゴリーに分類されるのではないかと思いますが、「この人は誰だろう」や「けんちゃん」などではマンドリンやラップスティールの音も入っており、これは昨年秋リリースの「松尾よういちろうと井乃頭蓄音団」名義のシングルからの延長、発展系と捉えてもいいのではないでしょうか。
一方、歌詞のほうは前作と比べ、ある意味衝撃的なほどの(笑)変化に驚かされます。従来の彼らの十八番的な「どうしようもなくダメな自分」を自虐的だったり下品な言葉で曝け出すという作風は見受けられません。これは今までほぼ全ての作品で作詞を担当してきた松尾よういちろうが本作では10曲中6曲、残りの曲は作曲も含めて他のメンバーが手掛けているからかな?と思いましたが、インタビューで本作では下品さを意図的に減らしたとのことが語られているように、松尾本人の作品にもお決まりのエロいフレーズ(苦笑)は一切登場せず、「泣き上戸」など、自分の弱さ、もどかしさをどこか別視点から叙情的に描写しているかのような曲が目立ちます。
「渋谷ステーション」や「東京五輪」など、自分自身の身近な出来事をモチーフにして作品を作っている、という点においては今までと変わりませんが、表現方法が普遍的になり、聴きやすくなった一方で、あの強烈な下品さが彼らの個性でもあったわけで、その色を失くすことで今までのような独自性が減った、という点は否めないと思います。それを目当てに聴いてきたファンにとっては少々物足りない内容ではあるかも。かくいう筆者も全面的にエロ歌詞は求めませんが(苦笑)本作唯一の訳が分からないけどパワーに満ち溢れた「アンゴルモア」のような曲がもう1、2曲ぐらいあっても良かったかも…と思いました。本作を受け入れられるか否か、井乃頭蓄音団からリスナーへの挑戦状的なアルバムであるのかも?
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