ukabros 2014年3月12日発売、1998年末から長らく「休眠」状態であったブルースバンド・憂歌団の活動を昨年から再開させた、メンバーの木村充揮と内田勘太郎によるVo&Gtのユニットのオリジナルアルバム。販売形態はLP盤と、同内容を収録したCDが付属している「LP(重量盤)+CD」のみ、という驚きの(?)1種発売。全12曲収録。

 リリースにあたってのインタビューはこちら。憂歌団活動休止から約15年、近年ではライブでの共演もたまにあったものの、基本的にそれぞれの音楽活動を続けてきた彼らが久々に交わった、そのきっかけの一つはおそらく、憂歌団のドラムス・島田和夫の一昨年の突然の訃報とというのが何とも切ないのですが、ともあれ久々に作り上げられた本作は、沖縄のスタジオでレコーディングメンバーを従えての一発録音。前半(LPのA面)は木村&内田のみの演奏をメインに、後半(同B面)はバンドとのアンサンブルが中心。バンド録音に関しては4曲あるのですが、4曲すべてに憂歌団のベーシスト・花岡献治が、3曲には新たに後任ドラマーとして憂歌団に加入した新井田耕造(元RCサクセション)が参加していることもあり、新生憂歌団のプレ・お披露目的な側面もあるのかも。

 収録楽曲は洋楽ブルースのカバーが2曲ありますが、他は全て新曲。木村、内田それぞれの単独作曲から共作もあり、憂歌団時代に多くの名(迷?)歌詞を残した沖てる夫も2曲に参加。相変わらず飄々とした作風の「つぼ」という曲が素敵です。「地獄谷クロスロード」のような、二人の真剣勝負!的な曲もありますが、基本的には穏やかで緩やかな作品が多め。個人的に気に入ったのは「オウエン歌」、「空高く」、そして故・島田和夫を偲んだとも思える「はるか遠い景色」あたり。

 久々に木村充揮のダミ声ボーカルの隣で、内田勘太郎のジャキジャキとしたアコギが響く曲を堪能でき、なおかつ花岡献治のベースにコーラス(叫び声?)も聴けて、ああこれは憂歌団だな、と思いました。今回はユニット名義ということで、木村&内田両氏のセッション的な曲が多かったので、いずれは憂歌団名義でのバンドアンサンブルのアルバムも作ってもらいたいところです。ただその時はLPプレイヤーを持っていないリスナー向けに、CD盤の単独発売を是非とも希望いたします(苦笑)。