tmpia 2014年4月21日発売、TM NETWORKのデビュー30周年記念日に「ぴあMOOK」として発売された、TM特集本。

 主なコンテンツは、メンバー三人が集っての「TM NETWORK座談会」、エピック・ソニー時代の彼らにとっての重要人物・丸山茂雄と小室哲哉の対談、TMのプロデュースを務めた小坂洋二や、TMと深く関わりを持った渡辺美里、小室みつ子、浅倉大介、葛城哲哉等への各インタビューなど、まさにTM一色。小室哲哉の「プロデューサー」としての軌跡や功績などを一冊に、という本は多々見かけますが、彼の原点であるTMの活動を総括したような書籍は実はほとんどといっていいほどなく、TMファンとしては今回ようやく発売されたな、といった気持ちです。上記の面子からも分かるように、1994年の「TMN終了」以前のエピソードが深く語られており、1999年以降の再開後の活動については軽く触れられているのみなのですが、個人的にはリアルタイムで体験していなかったデビュー〜ブレイク期の様子を関係者の言葉から知ることができて満足な内容になっていました。

 中でも目玉と言えるのは「小室哲哉によるTM全曲解説」。オリジナルアルバム単位で「RAINBOW RAINBOW」から「SPEEDWAY」までの全12枚を6時間を費やして小室が一曲ずつレビューしているという、お疲れ様な企画。歌詞の内容を熱く語ったり、製作当時の周辺の音楽流行などを解説したり、木根尚登作曲のとある作品は「あんまり覚えてないですね…」で済ませたり(←ひでぇ・笑)と、曲によって温度差がまちまちなのですが、彼らしいといえばらしいかも(苦笑)。他にオリジナルアルバムには未収録だった「Get Wild」を2ページを割いて解説しているのもポイントですが、他のアルバム未収録曲「DIVE INTO YOUR BODY」や「Nights of The Knife」などの節目のシングル曲もできればレビューして欲しかったところです。

 また、TMメンバーや関係者が直接登場しないページでも、読んでいてライターが熱心なTMファンだなぁ、と思えるような記事やコラムがちょくちょく登場するのが面白いところ。中でもTMのゆかりの地を探訪する「C'mon! TM NETWORK'S PILGRIMAGE」では、テキストの端々にTMの曲名や歌詞のフレーズを上手くはめ込んで文章化しており、ファンなら読んでいて吹き出すこと必至(笑)。TMだけでなく木根尚登のソロアルバムのタイトルもさりげなく使われているあたり、マニアも大喜びだと思います(私のことです・笑)。

 そんなこんなで充実な内容で、ファンなら買って損なし!な点は間違いないのですが、気になったのが誤植の多さ。読んでいて気づく誤字脱字はともかく、ぴあ公式にも掲載されているように、全曲レビューの抜け落ちや、ライブ開催日の掲載漏れ、ジャケット写真の間違いなど、せっかくの記念本なのにチェックミスが多かったのは残念です。今年の秋には同シリーズで小室のソロ活動やプロデュースワークにスポットを当てた「TK編」が刊行されるそうですが、今回のようなミスがないようにお願いしたいものです。