higuchigolden 2014年1月15日発売、レコード会社各社によるベストシリーズ「ゴールデン☆ベスト」の一環としてリリースされた、樋口了一のベストアルバム。ジャケットイラストは本人によるもの、ブックレットには1ページ分を使った彼自身の現在の写真付きのコメントも掲載されているなど、公式作品扱いのようです。ボーナストラックを含む全16曲収録。なお、当初は11月頭の発売予定が延期されたものの、無事に発売となりました。デジタルリマスター仕様。

 ベスト盤としては、2006年の「ベストコレクション〜あの頃の僕がいるなら〜」に次ぐ2作目となる本作。前作以降は2009年にライブアルバム、2010年にオリジナルアルバム、2012年にミニアルバムをそれぞれリリースしていますが、今回の収録範囲は1993年のデビューから2010年までに発表された楽曲が対象で、前ベストに漏れたシングル曲「Sugar Kiss」「Memories」をはじめ、各アルバム曲からのピックアップもあり。二度目のオールタイムベストなので前作と被る曲も結構あるのですが、「エレンディラ」や「朝花」は別バージョンを収録しているという配慮が。また、彼の一番の代表曲である「1/6の夢旅人2002」は意外にも彼名義のアルバムでは初となるオリジナルバージョンで収録され、その意味では存在意義の高いアルバムとなっていると思います。

 曲順は若干時代が前後するものの、基本的には東芝EMI期→インディーズ期→テイチク期と、時系列に沿って収録。デビュー当時のAOR風、サウンドが尖った主張をする時期を経て、アコースティックサウンドに柔らかな歌声が乗る曲調に移り変わっていく、樋口了一の音楽性の変遷を体感できる構成になっています。個人的には「GOGH」や「Please be my love」(今回は初音源化のリミックスで収録)といった挑戦的なサウンドを歌いこなす時期が一番好きなので、これらの選曲は嬉しいところ。どうせなら前ベストとの被りをもう少し減らして、インディーズ時代のシングル「風の呼び声」「windy train」、未だにアルバム未収録のシングル「グラフィティ'70」のどれかでも収録してくれたら…というのは欲張りすぎでしょうか(苦笑)。

 なお、ボーナストラックには昨年真駒内競技場にて開催された、北海道発のバラエティ「水曜どうでしょう」のファンフェスで披露された「Anniversary Song」の替え歌(!)ライブバージョンを収録。見事に「どうでしょう」の内容に沿った歌詞で内輪なノリになっているのですが、まあボーナストラックですので番組未見の方もご容赦願います(笑)。
 2006年のベストと今回リリースのベスト。選曲は甲乙付け難く、どちらも樋口了一入門に最適なのですが、定価2,000円と安い分、こちらのほうが手に取りやすいかな?と思います。