
本作も水野良樹、山下穂尊の半々のバランスの楽曲クレジットに吉岡聖恵が1曲作詞作曲というバランス、亀田誠治や本間昭光などの複数の著名アレンジャーの手によって彩り豊かなアレンジといった、従来通りの「いきものがかり印」感が満載。極端な実験には走らず、恒例の振り切り曲(?)「ぱぱぱ〜や」「MONSTAR」や、歌謡曲風の「恋愛小説」などの少々の変化球程度を織り交ぜながら作品を構成していくのも相変わらずで、まあ新鮮味には欠けますが、良くも悪くもポップスの王道をひた走る彼らのポリシーが貫かれた1枚になっています。
…と書いて、ではこのアルバムについて否定的な感想を抱いているのかというとそうではなく、実際は結構楽しんで聴けました。というのは、今回収録された楽曲はシングル曲をはじめ、軽快なアップテンポ〜ミディアムの曲が多く、バラードらしいバラードは昨年末の「バラー丼」に続いて収録された「風が吹いている」ぐらいなので、アルバム1枚の風通しが非常に良く、いわゆる中弛みの部分をほとんど感じさせず聴き終えることができました。また、近年の音楽界の流行りでもあるストリングスはほとんどの曲で導入されていますが、どの曲も全体のバンド演奏を覆うことなく、メロディーに寄り添って軽く鳴っている程度で、過剰なところはほとんどなしという点も好印象。
さすがに収録時間が70分超というのはオリジナルアルバムにしては満腹すぎる、とは思いますが(苦笑)、ここ数作のいきものがかりのオリジナルアルバムの中では一番好きかも、と思える作品でした。彼らのファンはもとより、ポップス好きの方にもお薦めです。
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