paradisesoul 2013年10月16日発売、斎藤誠の5年9ヶ月ぶりとなる通算12枚目のオリジナルアルバム。ボーナストラックを含む全12曲収録。今回ご紹介するのはCDのみの通常盤ですが、限定盤の「Deluxe Edition」にはライブ映像などが収録されたDVDが同梱。

 現在はギタリスト、アレンジャー、サザンオールスターズや桑田佳祐のサポートギターとして主に活動している斎藤誠ですが、ソロ活動のほうも今年でデビュー30周年を迎える大ベテランのシンガーソングライターでもあります。そんな彼の久々のオリジナルアルバムは、従来のアルバム同様、河村智康や深町栄、成田昭彦など、気心の知れた悪友(?)の音楽仲間をレコーディングに招き、ポップ寄りの生音ロック、という聴き心地の良さは相変わらず。曲によってはゲストヴォーカリスト(K、馬場俊英、福原美穂、山根麻衣)を招いていますが、彼(彼女)らが大々的にフィーチャリングされるのではなく、あくまで斎藤誠自身の歌声を立てる付かず離れずの起用の仕方、というのもいつも通り。

 そんな感じで久々のアルバムも安定路線…といったところなのですが、今までと少し変わった点がひとつ。2001年頃にAOR路線を提唱したあたりから、甘々なラブソングが多めの傾向があった彼の歌詞ですが、本作もそういった定番はあるものの、「明日の空に」やタイトル曲の「Paradise Soul」では、先の見えない未来でも一緒に進もうといった、一見ラブソングの体裁を取っているようでも別のメッセージが込められている(と思う)曲が増えたのは印象的です。特に「明日の空に」は本編のバンドバージョンの演奏も良いですが、ラストにボーナストラックとして収められているアコースティック・バージョンは、シンプルな演奏でより彼が歌詞に込めた想いが伝わってくるナイスアレンジでした。他には青春時代の1コマを描いた「飛ばせドライバー」「思い出の宝物」あたりもテーマ的には筆者的にツボ。
 比較的穏やかな曲が多いので、聞き流してしまいそうな歌詞(ついでに桑田佳祐の影響なのか、若干歌い廻しが聴き取りにくくなっている歌い方もあり)ではありますが、歌詞カードをじっくりと読んでみたい作品だと思いました。余談ですが、各フレーズの語尾に英単語が出てくるあたりは、昔からの彼の個性が今でも続いているということで(笑)。

 21世紀以降では本作でようやく3枚目のオリジナル…という、他の活動で多忙なのか不定期な活動が続いており、音楽ファンの中では「斎藤誠=裏方」というイメージがついているのは仕方のないことなのかもしれませんが、シンガーソングライターとしての斎藤誠も好きな筆者としてはファンとして久々の「斎藤節」を楽しませてもらいました。次は何年後になるかは分かりませんが(苦笑)、これからもマイペースでもいいのでアーティスト活動を継続して欲しいものです。