
4年前にリリースされた「角打ブルース」同様、アコースティックギターを基調にしたブルースナンバー、コミカルかつ哀愁漂う「オール日田弁」の歌詞、歌い方によって英詞にも聴こえる空耳的な楽しみ方、そして標準語/日田弁の「歌詞対訳」の歌詞カードがもれなく付いてくる辺りも前作を踏襲しています(笑)。構成もオリジナルに混じって洋楽のカヴァーや短いインストを挟みつつということで、CD1枚が1本のステージのような印象を受けるのも前作の路線を引き継いでいる、発展系といったところ。
前作と異なる点は、曲によってはバンドでレコーディングを行ったり、ライブ録音のチョイスも1曲あったりと、編成的には幅が広がったところですが、それに反比例するかのように歌詞に関してはちょっとマニアック度数が増したような気がします。バンドバージョンと弾き語りバージョンで収録された、亡き母のことを歌った「大鶴村のサイレン」はグッと胸に迫るものがありますし、なぜか日田弁のサンタが登場する(笑)「クリスマス×(ばってん)ブルース」の掛け合いには笑わせてもらいましたが、前作では実父をネタにした曲が多く、リスナー的にもとっつきやすい内容だったのに比べると、私のような普段ブルースをほとんど聴かない層にとっては、少々コージー大内自身のプライベートに斬り込んだ曲が多いということもあり、若干ハードルが上がったかな、という気もしました。
ジャケットで不敵な笑みを浮かべている大内氏の姿はなかなか決まっていてカッコ良いのですが(笑)、「角打ブルース」が初心者向けという位置付けとすれば、本作はその応用編といった趣で、ブルースというジャンルに慣れていない、あるいは日田弁がストレートに理解できない層には、本作からいきなり彼の音楽世界に入るのは結構リスキーだと思いますので、「角打〜」から入って気に入れば本作も、という流れで聴いていただくのをお薦め。ブルースに馴染みのあるリスナーであれば、すんなりと聴ける1枚だと思います。
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