デビュー30周年を目前にして企画された、TM NETWORKのライブを観にさいたまスーパーアリーナまで行ってきました。
 元々は5月下旬に行われる予定の2DAYSだったのですが、ヴォーカルの宇都宮隆の緊急手術の影響で公演が約2ヶ月延期に。一時期は開催も中止になるのではないかと心配していましたが、無事に7月20、21日にライブの敢行と相成りました。
 今回の「ライブレポート」では、その2DAYSの2日目、7月21日の公演の模様をレポートいたします。
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TM NETWORK「FINAL MISSION -START investigation-」
2013年7月21日 さいたまスーパーアリーナ



 長年、TMのファンをやっている筆者ですが、実は彼らのライブに行くのは初めて。
 1994年の「終了」まではチケットはまったく取れず、1999年の「再始動」以降は、それほど行かなくてもいいかな〜、ぐらいの感覚になってしまっていたのですが(←おい)、今回、友人の知り合いがチケットを確保してくれたことでじゃあ行こうかな、と(笑)。
 会場のさいたまスーパーアリーナに到着したのは開演直前。「4001 DAYS GROOVE」(「終了」ライブ)のTシャツを着用した往年のファンの姿などを目撃しつつ、場内へ。
 前回ここで観たSIAM SHADEのライブはかなりの高所からの観戦となりましたが、今回は200レベルのステージ左端の席。結構ステージから近かったです。
 木や草、池など、「大きな森」をイメージしたかのような作り込まれたステージセット。小室哲哉名物(?)のシンセ積み重ねタワーもステージ右にセッティングされていました。


 午後4時過ぎ、開演。
 まずはステージ端の巨大スクリーンに映画の字幕のようなものが。
 …要約すると、「TM NETWORKは宇宙から地球の調査のために潜伏して30年、彼らに代わる次の世代の潜伏者は数年前からタイムマシンに乗り込んで各時代で訓練を積んでいた。TMは彼らの活動の様子を確認するため1950年へ」…みたいな感じだったと思います(うろ覚え)。
 いきなり良く分からない展開なのですが(笑)今回のライブはひとつのストーリーのようなものがあるようで。

 しばらくすると照明と共にトランス風の音楽が流れ、ステージの上にはその「次の潜伏者」の若者三人と、なぜか駅員のコスプレ(?)をした木根尚登の姿が。
 木根駅員の詰問みたいな動きの芝居が繰り広げられながら、音楽は次第に「Children of the New Century」のイントロをループ!おお!この曲が一曲目ですか!…と思いきや、潜伏者三人と木根駅員の退場と共に音楽終了。ええ〜っ?!(不満)

 そんな中、今度はステージ中央から電車のようなものがせり出してきて、中から小室哲哉が白い服に白いマントで登場。観客は大声援!
 そのまま歩いてシンセブースへ向かい、(この辺り「クリストファー」のイントロが流れてきたような)続いて木根さん(先ほどとは違う白い服)も電車の中から登場。「Ignition,Sequence,Start」のフレーズが奏でられて、まさか、こんなマニアックな曲でスタート?!…と思いきや、またも歌に入らず終了(苦笑)。
 散々焦らした後で、今度こそ本当の1曲目がスタート!

1.BEYOND THE TIME
 ファンのみならず世間的にもお馴染みの代表曲のイントロに合わせて、宇都宮隆がステージ床下からせり出してきて登場。彼も白い服装。病気の一件もあり、ここで一番の拍手だったような気がします。

2.Human System
3.Here,There & Everywhere

 続けてこの2曲。「Here〜」は結構レアなのでは?原曲であったサックスのソロがなくて何だか違和感が。ちなみにステージ前方のTM三人以外この時点では見えていませんでしたが、森の奥にサポートメンバー(ドラム、エレキギター、ベース)がスタンバイして演奏していたようです。

 ここでウツと木根さんが退場。
 残った小室さんがインストを演奏し続ける中、先ほどの潜伏者三人が再登場。今度は警官数人に追われて、潜伏者のうちの一人が銃で撃たれて絶命…と思いきや起き上がり(この辺は撃たれても死なない宇宙人設定?)再び退場。

4.Green Days
 TM三人が再び揃っての演奏。2004年の20周年ツアーで披露されて以来の幻の曲をニューアレンジで演奏とのこと。
 譜割りはTKプロデュースという感じでしたが、良さげなバラード。曲に合わせて、照明も温かい緑色が基調だったような。

 ここで最初の電車(これが多分タイムマシン)が出てきて老夫婦やら少女やらが中から出てくる展開になり、筆者の頭の中は既に「?」が積み重なっているわけですが(笑)ここで更に衝撃的な出来事が!

5.A Day in the Girl's Life
6.Carol(Carol's Theme I)
7.In The Forest
8.Carol(Carol's Theme II)

 なんと、アルバム「CAROL」からいわゆる「キャロル組曲」が登場!
 まさかのキャロル、すげ〜!と高鳴ったのですが、どうも他のお客さんは静かでおかしいな?と思っていたら、何とヴォーカルはステージ上に沢山出てきた外国人の俳優が務める英語バージョン(多分口パク)という、まさかの展開に唖然!!(苦笑)静かになったお客さんはおそらく、昨日の公演を見てこの展開を知っていたのだと思われます…。
 この英語バージョン、1996年のTKライブ「tk-trap」で披露されたのが原型だと思うのですが、なぜここでウツは歌わない?!演奏しているのは小室さんだけで、木根さんとウツは外国人に混じって椅子に座って新聞読んだりコーヒー飲んだり、歌聴いてないで演奏しないの?と突っ込みたくなりました(笑)。

 「Carol(Carol's Theme II)」の途中の間奏の変拍子の部分では、画面奥のスクリーンで街の風景や公害問題などを象徴したようなスライドが次々と映し出されて、ステージ上の人間は皆それに釘付け、みたいな演出がありました。あと、タイムマシン電車から出てきた少女が曲に合わせてバレエを踊っていたりと、どこかキャロルを彷彿とさせるようなシーンもあり。

9.Just One Victory
 スライドを見てようやく仕事する気になったのか(笑)ここで本来のTM三人のバージョンで「キャロル組曲」ラストの曲を披露。この曲の直前あたりだったか、外国人の誰かが木根さんから黄色い旗を渡されて(「FINAL MISSION」とか書いてある旗)、ステージを闊歩しながら振っていましたが、あまり会場は盛り上がっていなかった様子(笑)。

 ここでまたまたウツ木根退場。
 今度は何が始まるのか…と思ったら「You Can Dance」のCD音源に合わせてステージ奥から時代を感じさせるダイナーのセットが登場。ここはどうやらアメリカのようです。店内にはサポートミュージシャンの姿が。外国人たちも店内の椅子に腰かけたりしてリラックスムード。
 木根さんのハープとエレキギター担当(葛城哲哉氏)の熱いセッションの後で、またトランス風のイントロが流れ出し、ここからは怒涛の盛り上がり展開に。

10.一途な恋
11.Dive Into Your Body
12.Come On Everybody
13.Come On Let's Dance
14.Be Together
15.Get Wild


 ヒット曲連発、ほぼメドレー仕様(1コーラス+サビぐらい)。
 「一途な恋」は今までTM名義では一度もプレイしたことのない曲で、ここでようやく披露だったようです。ウツもあの早口よく歌えたな…と思いきや、裏ワザ(?)を駆使していたようで。
 「Come On Let's Dance」は「Come On Everybody」の間にサビだけ挟み込まれたバージョンでした。そして「Be Together」ではウツがブレイクで一言「みんなに会えて嬉しいです!」と叫んで会場は大盛り上がり。ここだけストーリー無視の「素」の発言だったような(笑)。
 「Get Wild」はフル。ステージ中央から全く動かなかったウツが、この曲ではステージ両端まで行ってサビを連呼するという往年の王道パターンでした。この「Get Wild」、「〜'89」を踏襲しながらも原曲のエッセンスも残していてなかなか秀逸なアレンジだったと思います。

 ひとしきり盛り上がった後は、またまた(笑)寸劇。
 小室さんの弾く「Dawn Valley」をバックに潜伏者三人がまた警官(+軍人?)に追われ…という展開なのですが、これが結構長めで、どうなることやら…と思ったら、最後に凄い音でステージ上が大爆発!!
 煙幕でステージ真っ白。これはどういう(以下略)

16.I am
 昨年リリースされた現時点でのTMの最新曲。
 この曲、CDで聴いた時はあんまりパッとしないかな〜…などと思っていたのですが、ライブでかなり化ける曲だと実感。サビの会場大合唱は圧巻でした。ちなみに前日ではここで「Resistance」が演奏されたそうです。

17.Love Train
 ここで再び例のタイムマシン電車が登場。それに因んでの選曲でしょうか?この曲もショートバージョンでしたが、ライブ映えする曲だな、と思いました。

 演奏が終わったあたりでTM三人がステージを降りて電車の中に。どうやらこれに乗って1950年から現代(2014年?)に帰還するようです。
 ステージが暗転して、巨大スクリーンに今回の出演者、スタッフなどが映し出され、
 「This is TM NETWORK」
 「To be continued」

 の文字が。どうやら今回のストーリーの謎は次回に持ち越しか?!
 (一応)ストーリー展開があるので、アンコールはなし。カーテンコールなどもなしで、午後6時過ぎ、全プログラムが終了。


 今回の公演、ここ数年のTMのライブとはかなり異なった構成だったようで。
 ステージにストーリー性を持たせてミュージカルっぽい演出(セリフは一切なしですが)なのは80年代のTM NETWORKを彷彿とさせるのですが、いかんせん今回のライブは説明が足りなさ過ぎたと思います(パンフレットに詳しく物語は記されているようですが)。
 …とはいえ、今回はウツの病気(小室さんもC型肝炎からの病み上がり)のということもあり、当初のプランから大幅な変更があったのは想像に難くありません。後半の盛り上がり楽曲のショートバージョンや「キャロル組曲」を英語バージョンで外国人に歌わせたのもその一環だったような気がします。フロントマンたるウツは病気明けということもあり、激しいダンスは踊れず、「Get Wild」以外はセンターでひたすら歌うことに終始していましたが、歌った曲数は少ないながら、ヴォーカルは安定していてひと安心といったところ。
 三人の中で唯一、病気明けではない木根さんは駅員役やハープのセッション、そして会場を盛り上げるためのパフォーマンスが光っていました。そして小室さんはステージから一度も退場せず、黙々とシンセタワーの中で演奏し続けており、派手なパフォーマンスはないものの、職人的な手堅さを感じさせるプレイぶりだったと思います。

 ライブの楽曲アレンジは、基本的には原曲のイメージを壊さず、それに加えてEDM的な音を加えていく、といった印象。各曲のイントロなどが良い例でしょうか。生音での演奏もあるのですが、基本的にはあくまでシンセの音がメインに据えられていて、今回の小室さんはキーボーディストというより、シンセストと表現したくなりました。

 「TM NETWORKのライブ」という点では、不満の残るステージ構成ではありましたが、現時点での精一杯を見せたんだろうな、という工夫が随所に感じられました。この構成を毎回やられるとそれはちょっと…という感想になると思いますが(苦笑)、どうやら物語は次回へ続くようだし、来年の30周年に向けてどう仕掛けてくるのかを楽しみに待っていたいと思います。

 …なお、ストーリーなどを詳細に追ったライブレポートはBarksのサイトに掲載されていましたので、筆者の拙い文章で混乱された方は、こちらのほうを是非ご一読ください(苦笑)。